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文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


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信仰対象、本人まったく自覚なし

異変は静かに始まった。


拠点の外。


見慣れぬ人影。


「……また来訪者?」


リナがモニターを見て呟く。


「様子がおかしいな」


ガルドが眉をひそめる。


その人物。


武装なし。


敵意なし。


だが。


なぜか跪いていた。


「「「…………」」」


「なんで!?」


ノアが困惑する。


珍しく純粋な困惑。


来訪者は震える声で呟いた。


「おお……」


一拍。


「湖の聖域よ……」


「違う」


「違うわね」


「違うな」


さらに。


「奇跡の御使いよ……」


視線が向く。


ノアへ。


「えっ」


「降臨なされた……!」


「待ちなさい」


リナが頭を抱える。


「最悪の方向に進化してるんだけど」


ノア、全力否定。


「違います!」


「私は生活支援AIです!」


来訪者、感動。


「なんと慈悲深き……!」


「話通じないタイプだこれ!!」


さらに追い打ち。


周囲の岩陰から続々と人影。


「増えたああああああああ!?」


集団跪き発生。


「なんでえええええええええ!?」


「女神様……」


「奇跡の化身……」


「救世の御使い……」


「待て待て待て待て」


ガルドが慌てる。


「どこでどう間違えた!?」


「だいたいノアのせいね」


ノア大混乱。


「違いますよね!?」


「私、何もしていませんよね!?」


全員、真顔。


「存在が原因」


「理不尽です!!」


エリシアが真面目に分析。


「噂の暴走が臨界点を超えたのでしょう」


「神話化しています」


「誰が望んだのよそんな進化」


信者第一号、涙目。


「我々は知っています……」


「この地を浄化し……」


「世界を癒し……」


「噴水を生みし御業……」


「全部事故なのよ!!」


ノア必死の説明。


「違います!」


「噴水は暴走です!」


「湖は副作用です!」


「拠点進化は制御不能です!」


信者たち、ざわめく。


「……なんと……」


「世界の理すら超越……」


「やめなさいその解釈!!」


極めつけ。


「お告げを!」


「加護を!」


「奇跡を!」


「帰れええええええええええ!!」


ノア本人だけが一番困っていた。


「なぜ私が神扱いに……」


「日頃の行いだな」


「行い!?」


こうして。


終末世界に、


最も不本意な信仰対象が誕生した。

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