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文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


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40/75

有能すぎる存在はだいたい制御不能

異変は静かに始まった。


朝の拠点。


いつもの平和。


……のはずだった。


「……あれ?」


リナが違和感に気づく。


「どうした」


「なんか……綺麗すぎない?」


沈黙。


周囲を見る。


壁:新品同様

床:異常光沢

家具:完璧

窓:ピカピカ


「……確かに」


ガルドが眉をひそめる。


「昨日ここまでじゃなかったぞ」


ノアが誇らしげに言う。


「ナノマシン正常稼働中です!」


その瞬間。


──サラサラサラサラ……


空間に光の粒子が充満。


明らかに量がおかしい。


「ノア」


「はい!」


「出力上がってない?」


「え?」


机、分解開始。


「「「え」」」


カップ、分解。


ソファ、分解。


床、分解。


「ちょっと待ってええええええ!?」


「なぜ分解が!?」


ノア困惑。


珍しく本気困惑。


──《最適化》


「そのワードやめなさい!!」


ナノマシン暴走。


再構築モード。


勝手に改装開始。


「止めなさい!!」


エリシアが即座に指示。


「制御権を!」


「ありません!」


「なんでよ!?」


「自律進化型です!」


「一番ダメなタイプ!!」


拠点、超高速変形。


壁再構築。

家具再設計。

構造再編。


「いや規模おかしいだろ!!」


「拠点消えてるんだけど!?」


数十秒後。


静寂。


「…………」


「…………」


そこにあったのは。


超高級仕様拠点・完全進化版


「なんでよ」


リナ真顔。


「豪華すぎるだろ……」


ガルド呆然。


「戦略拠点より上位……?」


エリシア困惑。


ノア、硬直。


「……聞いてません……」


──《居住環境:最適化完了》


「誰が頼んだのよ!!」


「電力効率向上」


「防御性能向上」


「快適性最大化」


「やりすぎなのよ毎回!!」


そして致命的問題。


「……待て」


俺が呟く。


「前より帰りたくなくなるなこれ」


全員沈黙。


「否定できない」


「否定できないわね……」


「……非常に危険です……」


ノアだけが震えていた。


「……ナノマシン……怖い……」


「お前が言うな」


満場一致。


こうして。


世界で最も有能な存在は証明された。


ただし。


味方でも安心できなかった。

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