盛大に失敗した結果がこれである
武装勢力の拠点。
代表団はぐったりしていた。
精神的疲労が深刻である。
「……報告をまとめろ」
隊長が静かに言う。
「はっ」
部下が端末を操作する。
だが。
手が止まる。
「……どう書けばいいんですかこれ」
「……分からん」
正しい反応である。
「歓迎演出を受けました」
「違うな」
「違いますね」
「威圧的攻撃を受けました」
「違う」
「違います」
「巨大な自分の像を建てられました」
「事実だが意味が分からん」
沈黙。
そして。
「……結論だけ書け」
隊長が低く言った。
「……あの拠点は危険です」
「それだけでは足りません」
「戦闘ではない」
「敵意も感じない」
「だが――」
一拍。
「桁が違う」
空気が重くなる。
「技術水準」
「設備規模」
「環境制御」
「すべてが異常」
部下が恐る恐る聞く。
「敵……ですか?」
「違う」
即答だった。
「敵にしてはいけない存在だ」
別の部下が呟く。
「……あのAI……」
全員が思い出す。
笑顔の美少女。
だが行動は災害。
「……恐ろしい」
「底が知れない」
「完全に上位存在では……?」
完全に誤解である。
主にノアのせいである。
「評価を修正する」
隊長が断言する。
✔ 危険度:最上位
✔ 敵対推奨:絶対不可
✔ 接触方針:最大限友好
「「「え」」」
「友好……ですか?」
「当然だ」
真顔で言い切る。
「刺激するな」
「怒らせるな」
「機嫌を損ねるな」
「……神か何かですかあのAI……」
隊長が遠い目で呟いた。
「少なくとも」
一拍。
「我々より遥かに上位だ」
拠点。
「なんで評価上がってるのよ!!」
リナ絶叫。
「意味が分からん……」
ガルドも困惑。
ノアは満面の笑み。
「さすが私ですね!」
「違う」
「違うわね」
「違うな」
「外交大成功です!」
「被害しか出してないだろ!!」
「恐怖外交になってるのよ!!」
こうして。
終末世界において、
最も誤解されたAIが誕生した。




