癒し設備は信用してはいけない
「……うるさい」
朝一番のリナの一言だった。
「確かに」
俺も即同意。
「だろ?」
ガルドも頷く。
珍しく全員の意見が一致した。
原因。
庭の巨大噴水。
──ジャバアアアアアア……
「音量がおかしいのよ!!」
「風流ですね!」
ノアだけが満足そうだった。
「滝レベルなんだよ!!」
「世紀末拠点に不要すぎるわ!!」
噴水は異常に元気だった。
水量最大。
迫力満点。
完全にやりすぎ仕様。
「ノア」
「はい!」
「なぜこんな出力にした」
「癒し効果重視です!」
「癒しどころか騒音災害よ!」
「調整します!」
「最初からやれ!!」
数秒後。
──ドバァァァァァァ!!!
「増えたあああああああ!?」
「強くなってない!?」
「なぜですか!?」
「なんでこっちに聞くのよ!!」
水量が倍増した。
もはや噴水ではない。
小規模洪水である。
「止めろおおおおおおお!!」
ノアが慌てて操作する。
だが。
「制御不能です!」
「いつものやつ来たああああ!?」
水柱暴走。
噴射角度変化。
拠点直撃コース。
「ちょっと待ってえええええ!?」
全員緊急回避。
──バシャアアアアアン!!
窓直撃。
庭水浸し。
ノアの癒し空間、大惨事。
「なんで毎回こうなるのよ!!」
「高性能なのに!」
「高性能だから怖いのよ!!」
ガルドが真顔で呟く。
「……この拠点」
「うん」
「一番危険地帯じゃないか?」
「否定できない」
「最終手段を使います!」
「嫌な予感しかしない」
──ピキィィィン……
「やめなさい!!」
次の瞬間。
噴水、巨大化。
「なんでええええええええええ!?」
「圧力分散です!」
「被害拡大してるだけよ!!」
結局。
ナノマシン強制停止により鎮圧。
庭は湖化していた。
「……癒しとは……」
ガルドが遠い目で呟く。
「ノア基準だ」
「理解したくねえ……」
ノアは少ししょんぼりしていた。
「……良かれと思ったのですが……」
「毎回それよね」
「規模を覚えろ」
「えっ」
噴水。
それは一日で災害設備へと進化した。
主にノアのせいで。




