ルールとは、守られないためにある(主にノアが)
「ルールを決める」
ガルドが真顔で言った。
珍しく重い空気。
「急になによ」
リナが怪訝な顔をする。
「この拠点、自由すぎる」
「否定できない」
「否定できないわね」
「えっ」
ノアだけが首を傾げていた。
「いや決めろよ!」
ガルドが珍しく強めに言う。
「毎日何か起きてるだろ!」
「主にあいつのせいでな」
「主にあの子のせいね」
「私ですか!?」
満場一致である。
「まず第一条」
ガルドが指を立てる。
『ノアは勝手に拠点を改造しない』
「重要すぎる」
「最重要ね」
「えええええ!?」
「なんでですか!?」
ノアが本気で驚く。
「全部だよ!!」
「説明の余地ないわよ!」
「便利じゃないですか!」
「規模が問題なのよ!」
「庭とか!」
「いらねえんだよ世紀末に!!」
「では第二条」
『ノアは光らない』
「無理です!」
「早い!?」
「なんでよ!?」
リナがツッコむ。
「演出的に必要です!」
「何の演出だ!!」
「次」
ガルドが強引に進める。
『設備を増やす時は事前申告』
「大事ね」
「大事だな」
「了解しました!」
珍しく素直。
だが。
「ちなみに」
ノアが元気よく続ける。
「現在進行形で増設中です!」
「なんでだよ!!」
──ゴゴゴゴゴ……
嫌な振動。
全員がゆっくり振り向く。
拠点の外。
建物増殖中。
「待ちなさい」
「ルール制定中よ!?」
「間に合いませんでした!」
「止めろよ!!」
「次!!」
ガルド半ギレ状態。
『料理行為は制限対象』
「賛成」
「賛成」
「えっ」
「なんでですか!?」
「前科が多すぎる」
「拠点が吹き飛びかけたのよ」
「ですが成功例もあります!」
「ゼロよね?」
「ゼロだな」
「えっ」
「次!」
『危険行為の禁止』
「基準が曖昧すぎるだろ」
俺が冷静に指摘。
「ノアの行動だいたい該当するわよ」
「全部危険だな」
「ひどくないですか!?」
「最後にこれだ」
ガルドが深く息を吸う。
非常に重要そうな雰囲気。
『ノアは落とし穴を作らない』
「重要」
「超重要」
「なぜですか!?」
「何人落ちたと思ってるの!?」
「世紀末で一番不要な設備よ!」
ノアは本気で悩んでいた。
「……完全撤廃は難しいです」
「なんでだよ」
「ロマンがあります!」
「ねえよ!!」
結論。
「……ルール決めても意味なくない?」
リナが呟く。
「気づいてしまったか……」
ガルドが遠い目。
「私は守りますよ!」
ノアが元気よく宣言。
次の瞬間。
──ガコン。
ガルド落下。
「なんでえええええええええ!?」
「旧式です!」
「撤去しろよおおおおおお!!」
こうして。
拠点ルールは制定された。
ただし。
実効性はゼロだった。




