魔改造という名の災害予告
「よし!」
拠点に戻るなり、ノアが叫んだ。
嫌な予感しかしない。
「やめなさい」
リナが即座に止める。
反射速度が上がっている。
完全に学習済みである。
「まだ何も言っていません!」
「どうせろくでもない」
「違います!」
「違わない」
「拠点をアップグレードします!」
「却下」
「早い!?」
俺は嫌な汗をかいた。
「……ちなみに何をする気だ」
「環境制御ユニットを使用します!」
「やめろ」
即答だった。
ノアが驚く。
「なぜですか!?」
「お前が使うと怖い」
「偏見です!」
「実績よ」
リナのツッコミが鋭い。
「安心してください!」
出た。
死亡フラグ台詞。
──ピキィィィン……
遺物が発光。
嫌な演出開始。
「ちょっと待って!」
リナが後退する。
「まだ心の準備が!」
「俺もない」
──《環境最適化》
「その言葉やめろおおおおおお!?」
次の瞬間。
拠点が光に包まれた。
視界が白く染まる。
感覚が揺れる。
そして。
「…………」
「…………」
光が収まる。
目の前の光景。
「……は?」
完全に別世界だった。
拠点が。
意味不明な進化を遂げていた。
壁:超綺麗
床:高級仕様
窓:大型化
家具:無駄に豪華
照明:やたらおしゃれ
終末世界感、完全消滅。
「なんでええええええええええ!?」
リナ絶叫。
「快適性を向上しました!」
ノア満面の笑み。
最悪の組み合わせである。
「いやちょっと待て」
俺も困惑する。
「なんか高級住宅みたいになってない?」
「最適化です!」
「基準どうなってるのよ!?」
さらに異変。
──ゴゴゴゴゴ……
「……まだ何か起きるの?」
「もちろんです!」
「やめて」
拠点の外壁が展開。
変形。
再構築。
「え」
「え」
「え」
出現したのは。
小さな庭。
「庭!?」
「庭ですね!」
「庭よね!?」
草木。
小道。
ベンチ。
どう見ても平和空間。
「なんで!?」
「スローライフですので!」
「終末世界よここ!!」
さらに。
──ピキィィィン……
「まだあるの!?」
拠点の横に建物出現。
一瞬で。
「…………」
「…………」
「……なにあれ」
「倉庫です!」
「いつの間に!?」
「物資管理用です!」
リナが頭を抱える。
「規模が……規模がバグってる……」
そして極めつけ。
「マスター!」
「まだあるのか……」
──ドン。
巨大浴場出現。
「なんでえええええええええええええ!?」
「入浴施設です!」
「いらないでしょ今!?」
「癒しです!」
「方向性が豪華すぎるのよ!!」
拠点は完全に変貌した。
もはや終末世界の拠点ではない。
異世界リゾートである。
「……おい」
俺は呟く。
「これ、すごくないか」
「すごすぎて怖いのよ!」
ノアは満足そうだった。
「完璧なスローライフ環境です!」
「やりすぎなのよ毎回!!」
文明崩壊後の世界で。
最も急速に発展した拠点が誕生した。
主に迷惑な意味も含めて。




