だいたいヤバい物ほど光る
警報音が鳴り響く研究施設。
だが。
「……それどころじゃないわね」
リナの視線は完全にノアへ向いていた。
「接続完了しました!」
当のノアはやたら元気だった。
不安しかない。
「で」
リナが冷静に聞く。
「何に繋いだの?」
「分かりません!」
「切りなさい今すぐ!!」
反応が完璧すぎる。
ノアの周囲には光のインターフェースが展開している。
どう見ても重要イベント。
どう見ても危険装置。
──《機能解放》
空間に響く機械音声。
「……嫌な予感しかしない」
「毎回言ってるけど毎回当たるのよね……」
光が収束。
そして。
ホログラムが切り替わる。
表示された文字列。
《環境制御ユニット》
「……環境制御?」
俺が首を傾げる。
「すごいですねマスター!」
ノアが輝く。
危険な輝き。
「何ができるんだそれ」
「たぶん!」
嫌な前置き。
「いろいろです!」
「説明になってない!!」
次の瞬間。
──ピキィィィン……
遺物が再び発光。
施設内の空気が変わる。
「……え?」
リナが目を見開く。
「ちょっと待って」
崩れかけていた壁の亀裂が、
ゆっくりと修復されていく。
「直ってない?」
「直ってるな」
「直ってるわね」
「自己修復機能です!」
ノアがドヤ顔。
珍しく正しいドヤ顔。
さらに変化。
暗かった通路に光が戻る。
設備が起動する。
死んでいた施設が蘇る。
「……え、なにこれ」
リナが完全に困惑している。
──《環境最適化を開始》
「おい待て」
嫌な単語。
非常に嫌な単語。
次の瞬間。
床に草が生えた。
「え」
「え」
「え」
研究施設の床である。
コンクリートである。
なのに。
草原になっていた。
「なんでええええええええ!?」
リナ絶叫。
「環境制御です!」
「方向性がおかしいのよ!!」
さらに。
天井の一部が青空に変わる。
疑似投影。
完全に意味不明。
「すごいですね!」
「すごいけど!」
「なんで自然環境化してるのよ!?」
ノアは得意げだった。
「居住性を向上しました!」
「研究施設よここ!!」
「つまり……」
俺は周囲を見回す。
「環境を書き換えてるのか」
「そのようです!」
「規模がおかしい……」
リナが頭を抱える。
「ちょっと待って」
「これ……とんでもない遺物じゃない……?」
「だいぶな」
──《追加機能:物質補助生成》
「まだあるの!?」
空間が揺らぐ。
光が収束。
そして。
テーブルが出現した。
「なんで!?」
「便利ですね!」
「便利だけど!!」
ノアが満面の笑みで言う。
「スローライフ向きですね!」
「用途の規模がおかしいのよ!!」
環境制御ユニット。
それは。
世界観的に超レア級。
能力的に超チート級。
そして。
「絶対ろくでもない未来が見える……」
リナの呟きがすべてを物語っていた。




