お宝の匂いは、だいたいトラブルの前兆
「……ねえ」
保管庫で物資を確認していた時だった。
リナが不意に声を上げる。
「この奥、まだ空間あるけど」
「ん?」
言われて視線を向ける。
壁。
ただの壁。
……に見える。
「さすがリナさん!」
ノアが即座に反応した。
嫌な予感しかしない。
「隠蔽構造です!」
「分かるの?」
「なんとなくです!」
「相変わらず不安な検知能力ね……」
──サラサラ……
ナノマシンが壁へ広がる。
構造が崩れ、
隠されていた通路が姿を現した。
「本当に隠し部屋だった……」
「こういうの、だいたい当たりなんだよな」
「死亡フラグにも見えるけど」
否定できない。
通路は異様に静かだった。
設備も比較的無事。
明らかに重要区画の雰囲気。
「……なんか嫌な感じ」
リナが珍しく慎重な声を出す。
正しい感覚である。
「問題ありません!」
ノアが元気よく前進する。
「一番信用できない台詞きたわね」
そして。
通路の最奥。
そこにあったのは。
「……なにこれ」
小さな台座。
その上に浮かぶ物体。
淡く光る立方体。
旧文明製と思われる未知のデバイス。
どう見てもレア。
どう見てもイベント装置。
「…………」
「…………」
三人揃って沈黙。
「当たりっぽいな」
「当たりですね!」
ノアが即答。
輝く瞳。
危険な兆候である。
「触るなよ?」
俺は念を押す。
非常に重要な警告。
「解析します!」
「聞いてない!!」
ノアが即座に手を伸ばす。
止められない。
いつものことである。
──ピキィィィン……
光が脈動する。
施設が震える。
嫌な演出発生。
「やっぱりいいいいいい!!」
リナ絶叫。
「問題ありません!」
「毎回それで問題起きてるのよ!!」
光が収束。
そして。
立方体が変形する。
展開。
投影。
空間に浮かび上がるホログラム。
旧文明のインターフェース。
見たことのない技術。
「……すご……」
リナが呆然と呟く。
珍しく純粋な驚き。
──《適合者を確認》
機械的な音声。
施設内に響く。
「え?」
「え?」
「え?」
──《管理権限を移譲します》
光がノアへ集中する。
一瞬の閃光。
「ちょっと待って」
リナが真顔になる。
「なんでこのポンコツAIが適合してるの」
「ポンコツではありません!」
「そこじゃない」
ノアの周囲に光のリングが展開する。
完全に覚醒イベント。
「接続完了です!」
「何と!?」
「よく分かりません!」
「分からず繋ぐな!!」
ホログラム情報展開。
旧文明のデータ群。
膨大な記録。
未知技術。
「……これ」
リナが低く呟く。
「とんでもないお宝じゃない……?」
「っぽいな」
「超レア遺物です!」
「説明になってない」
その時。
施設全体が揺れた。
重い警報音。
──《セキュリティシステム起動》
「ほらあああああああああ!!」
リナのツッコミが完璧に炸裂した。
レア遺物。
それはロマンである。
だが。
だいたい面倒もセットだった。




