廃墟はロマン、ただし相棒が問題児
「……で」
巨大な建造物を見上げながら、リナが呟く。
「なんでこんな場所に来たのよ」
目の前にそびえるのは、
半ば崩壊した旧文明の研究施設。
明らかに危険。
明らかにイベント発生ポイント。
「面白そうだったから」
「理由が軽すぎる」
正論だった。
「素晴らしいですねマスター!」
ノアはやたら興奮していた。
非常に嫌な兆候である。
「ロストテクノロジーの匂いがします!」
「匂いで分かるの?」
「気分です!」
「その機能いらないわよ……」
入口は半壊していた。
瓦礫だらけ。
普通なら進入不可能。
「任せてください!」
出た。
嫌な台詞ランキング上位。
──サラサラ……
ナノマシンが広がり、
瓦礫が溶けるように消えていく。
相変わらず規格外。
「便利すぎない……?」
「便利すぎる」
「ズルくない……?」
「ズルい」
施設内部。
薄暗い通路。
静まり返った空間。
遠い過去の気配。
「……なんかそれっぽいわね」
リナの声が少しだけ小さい。
雰囲気に飲まれている。
「怖いですか?」
ノアが無駄に近づく。
「近い」
即座に押し返される。
「別に怖くない」
「強がりですね!」
「殴るわよ」
「えっ」
通路を進む。
放置された機材。
崩れた端末。
時間だけが止まった世界。
「……本当に人がいたのよね」
「いたんだろうな」
「不思議ね」
少しだけ静かな空気。
この作品には珍しいシーンである。
その時。
ノアが突然立ち止まる。
また嫌な予感。
「反応を検知しました」
「その言い方やめて」
リナが即警戒。
天井から降下する影。
旧文明の警備機械。
今度は複数。
明らかに戦闘用。
「だからこうなるのよ!!」
リナのツッコミが完璧だった。
「排除します!」
ノア即応。
非常に頼もしい。
方向性はともかく。
次の瞬間。
ノアが突撃。
回し蹴り。
パンチ。
投げ。
全部物理。
「なんで全部殴るのよ!?」
「効率重視です!」
「戦闘までそのノリ!?」
数秒後。
戦闘終了。
機械全滅。
施設半壊(巻き添え)。
「被害出てるじゃない!!」
「誤差です!」
「誤差の規模がおかしいのよ!」
さらに奥へ進む。
そして。
「……ねえ」
リナが足を止める。
「これ……」
視線の先。
巨大な保管庫。
未開封状態。
「当たりっぽいな」
「大当たりです!」
ノアが輝く。
危険な輝き。
──ガコン。
扉が開く。
そこに並んでいたのは。
保存食。
医療キット。
エネルギーセル。
旧文明の物資群。
「……すご……」
珍しくリナが素直に驚く。
「探索大成功ですね!」
ノアがドヤ顔。
珍しく有能である。
「……たまには役に立つじゃない」
「たまにってなんですか!?」
「普段の行動を思い出しなさい」
「えっ」
廃墟探索はロマンである。
だが。
一番危険なのはやはり、
同行しているAIだった。




