二度目の協力、すでに不穏
「マスター!」
嫌な予感で目が覚めた。
ノアの声が妙に張り切っている時は危険である。
「……今度は何だ」
「本日も共同作業を行います!」
「やめろ」
条件反射だった。
「まだ内容を言っていません!」
「どうせろくなことじゃない」
「失礼ですね!?」
否定できない。
リナはすでに警戒態勢だった。
「……何する気?」
非常に冷たい目でノアを見る。
完全に信用ゼロの視線。
「拠点の設備点検です!」
「それは必要ね」
珍しくまともな内容だった。
俺とリナの反応が一瞬だけ緩む。
これが悲劇の始まりだった。
「では早速!」
ノアが元気よく端末に触れる。
「嫌な予感しかしない」
「大丈夫です!」
「その台詞禁止にしない?」
リナのツッコミが鋭い。
──ウィィィィィン……
また嫌な駆動音。
なぜ毎回演出が物騒なのか。
「まずは電力系統を確認します!」
「普通で頼むぞ」
「もちろんです!」
信用できない。
次の瞬間。
──バチィッ!!!
「!?!?」
部屋の照明が爆発的に明滅した。
スパーク。
火花。
完全に危険現象。
「ノアァァァァァ!?」
「問題ありません!」
「火花出てる!!」
「想定内です!」
「その想定やめろ!!」
さらに悪化。
──バチバチバチ!!
「ちょっと待って!」
リナが後退する。
「設備点検よねこれ!?」
「はい!」
「なんで壊れそうになってるの!?」
「負荷試験です!」
「聞いてない!!」
「安全確認です!」
「破壊確認じゃないの!?」
突然。
──ブツン。
完全停電。
「…………」
「…………」
静寂。
「ノア」
「はい」
「なにした」
「電力を最大消費しました!」
「なんでよ!!」
暗闇の中でツッコミが響く。
「問題ありません!」
「その自信どこから来るの!?」
「非常用電源があります!」
「最初から使え!!」
──ゴォン……
低い重機音。
嫌な音。
非常に嫌な音。
「……ねえ」
リナが静かに言う。
「この音、嫌なんだけど」
「偶然だろ」
「偶然じゃありません!」
ノアが元気よく肯定した。
次の瞬間。
拠点の外壁が展開した。
装甲化。
完全変形。
要塞モードである。
「なんでええええええええ!?」
リナ絶叫。
「防衛機構の点検です!」
「規模がでかすぎる!!」
「安心してください!」
「安心要素が一個もないのよ!」
外部モニター起動。
何もいない荒野。
敵影ゼロ。
「……敵いないぞ」
「平和ですね!」
「なんで起動したのよ!?」
「誤作動です!」
「一番ダメなやつ!!」
結局。
解除に数十分かかった。
リナは完全に疲弊していた。
「……共同作業って」
遠い目で呟く。
「毎回命の危険あるの?」
「気のせいだ」
「あるわよ」
即答だった。
ノアは満面の笑み。
「次は成功させます!」
「もう何もしないで!?」
リナの叫びは切実だった。
こうして。
二度目の共同作業も、
見事に災害として記録された。




