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文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


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11/45

協力とは、だいたい災害の前触れ

「共同作業を行います!」


朝。


ノアがやたら元気だった。


この時点で嫌な予感しかしない。


「……何をするのよ」


リナは露骨に警戒している。


非常に正しい判断である。


「拠点の清掃です!」


「やめなさい」


「即答!?」


ノアがショックを受ける。


「掃除って……」


リナが周囲を見る。


妙に綺麗な室内。


ほぼ汚れなし。


「必要ある?」


「あります!」


「なんでよ」


「気分です!」


「AIが気分で行動するな!」


「問題ありません!」


ノアが胸を張る。


このポーズ=事故前兆である。


「最新型清掃モードを起動します!」


「待ちなさい」


間に合わなかった。


──ウィィィィィン……


低い駆動音。


空間に展開されるナノマシンの光。


嫌な演出。


非常に嫌な演出。


「……なんか嫌な光り方してない?」


「最適化です!」


「信用ゼロなのよその言葉!」


次の瞬間。


──ゴォォォォォ!!


「風!?」


突風が発生した。


室内で。


ありえない勢いで。


「ちょっと待ってええええ!?」


リナ絶叫。


家具が揺れる。


物が飛ぶ。


カーテンが暴れる。


完全に災害。


「ノアァァァァァ!?」


「効率重視です!」


「掃除に台風いらないからな!?」


「停止しなさい!」


リナが叫ぶ。


「止まりません!」


「なんでよ!?」


「最大出力です!」


「なんで最大にするのよ!!」


さらに悪化する風圧。


「ちょっ……髪が……!」


リナのクールな雰囲気が崩壊する。


必死に耐えている。


非常に珍しい光景。


「ノア!」


「はい!」


「掃除って何か分かるか!?」


「綺麗にすることです!」


「物理破壊じゃない!!」


数秒後。


──ピタッ。


急停止。


静寂。


「…………」


「…………」


部屋を見る。


惨状。


クッション消失。

本棚転倒。

紙類壊滅。


「どこが掃除だ!!」


「……あれ?」


ノアが首を傾げる。


不穏。


非常に不穏。


「想定と違いますね」


「毎回それだな!?」


「次は微風モードで!」


「段階調整を覚えろ!!」


再起動。


──そよ……


「……お?」


今度は普通。


非常に平和。


「最初からそれでいいのよ!」


リナが安堵する。


だが。


──ビュンッ!!


「え?」


掃除機能付きドローンが高速射出された。


ミサイルの勢いで。


「なにあれ!?」


「自動清掃ユニットです!」


「速すぎるわよ!!」


ドローンが室内を超高速旋回。


「危なっ!?」


「ちょっ、待っ……!」


リナが回避する。


クール系常識人とは思えない運動量。


──ガンッ!!


「痛っ!?」


「リナァァァ!?」


直撃した。


やっぱりである。


「医療モード起動します!」


「加害者がお前なんだよ!!」


数分後。


リナはソファでぐったりしていた。


「……なんなのこのAI……」


「高性能です!」


「絶対違う」


「共同作業って」


リナが真顔で言う。


「命がけなの?」


「場合によります!」


「場合が多すぎるのよ!」


「でも」


ノアが少しだけ嬉しそうに言う。


「一緒に掃除できましたね!」


「結果だけ拾うな!!」


俺はため息をついた。


「……まあ賑やかではあるな」


「あなたもだいぶ感覚壊れてるわよ……」


完全に否定できない。


こうして。


記念すべき初の共同作業は、


だいたい予想通りの惨事で終わった。

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