4「もう少し、前が良かったです」
「お前との婚約は破棄させてもらう!!」
ハッと意識が浮上した時には、婚約破棄宣言をされた公の宴。水を頭から被ったように頭がどんどんと冷え始める。
この後、私は両親と一緒に投獄される。
目の前の男が別の可愛らしい女性を抱き寄せ、カトレアを親の仇のように睨む。
ザクロさん、もう少し前から回帰したかったです。
カトレアはなぜこんな最悪の1回目と同じ取り返しのつかない場面で覚醒させたのかとザクロを問いただしたい。
しかし、回帰してしまったものは仕方がないカトレアは覚悟を決めるために息を思いっきり吸い込んだ。
「承りました」
カトレアはニコニコでカーテシを決め、颯爽とこの場から立ち去ろうと踵を返す。
「は?お前、婚約破棄だぞ?!」
それを言い出した本人が逆に狼狽えている。
「だから何でしょうか?ヴァイス」
猫を被る必要のなくなったカトレアは元婚約者に対して低い声で返答する。
「俺は王太子だぞ」
「そ、そうですよ。ヴァイス様に向かって…」
カトレアのあまりの代わり振り、身代わりの速さにこの場の者たちは騒然とする。
この冷徹な目をしている女性は誰だ?
この場の大半の知るカトレア・ツィーアは常に慈愛に満ちた笑みを浮かべているまさに、聖女と呼ぶに相応しい人物だ。
「お聞きしますが、婚約破棄の正式な書類をお書きになっていますの?」
「それは…」
ヴァイスは口籠もる、この場の勢い余って宣言したことなのだから。
「私の方からお父様にご相談し、正式な婚約破棄の書類を作成していただきに行ってまいります。では、」
カトレアは唖然とする周囲をよそに出口から自分の存在を知らしめるようにゆっくりと馬車の止めてある場所へ向かった。
カトレアは強かですね〜。
ヴァイスは王太子で、カトレアは赤子の頃からの幼馴染兼婚約者です。




