幕間②
二階回廊の窓辺に立ち、学院中央の中庭を見下ろす。
それがジョンにとって、暇なときの一番のお気に入りだった。
彼はずっとキャンパス内で暮らしており、家に帰ることはほとんどない。
なぜなら――ここにいるときだけ、すべてを支配している感覚を味わえるからだ。
家に戻れば、父の前では自分は何者でもない。
それに、夜ごと仲間たちと街へ繰り出す今の生活を、彼は心底楽しんでいた。
内閣の一員である父が、決して許さない類の遊びだ。
学院の頂点に立つ金髪の青年は、下を行き交う学生たちを眺める。
まるでガラス箱の中の動物を観察するかのように。
人間とは違う。
動物には、しつけが必要だ。
犬を何匹も檻に入れれば、吠え続ける。
だからこそ、黙らせるための「手段」が要る。
そこへ新入りの犬を放り込めばどうなるか。
環境に慣れず、無駄に吠え立てる。
放っておけば、他の犬まで落ち着かなくなる。
だから、影響が広がる前に介入する必要がある。
そうすれば、静かで秩序ある環境が保たれる。
もしその新入りが賢い犬なら、周囲を見て学ぶだろう。
最初から口を閉ざしていれば、悲惨な目に遭わずに済む、と。
――もっとも。
犬にも、犬なりの差はある。
そうなれば、現実を理解させるしかない。
ジョンは、拳を強く握り締めた。




