入隊宣誓チキンレースをしたら、元100人隊長の伯父さんにブチギレられた
古代ローマの街角、フォロ・ロマーノを見下ろす屋上。夕日がコロッセオを赤く染める中、二人の若者がカメラに向かって語りかけていた。
「やあ、みんな! 今日の俺たちは一味違うぜ! ローマ軍入隊宣誓チキンレースに挑戦だ!」
陽気な声で話すのは、ユーチューバーのマルクスとルキウス。ローマ帝国の日常を面白おかしく配信し、若者を中心に人気を集めている二人組だ。
「チキンレースってのは、簡単に言うと度胸試しだ。宣誓の直前まで行って、誓わずに逃げれるか? 誓ったら最後、死ぬかおっさんになるまで兵士としての人生が待ってるんだぜ!」
ルキウスが説明すると、コメント欄は「マジかよ!」「こいつら正気か?」と大盛り上がり。
二人は軍団兵の募集所へ。入団審査を済ませ緊張した面持ちで上官の前に立つ。上官は厳格な声で宣誓文を読み上げ始めた。
「我はローマ市民として、忠誠を誓い、ローマ軍の規律に従い……」
マルクスの額には汗が滲む。ルキウスは唇を噛みしめ、視線を彷徨わせる。上官の声が続く中、二人は互いにアイコンタクト。
「……ローマのために戦い、命を捧げることを誓う!」
上官の声が響き渡った瞬間、二人は一斉に踵を返し、全速力で駆け出した。
「逃げろー!」
カメラは二人の疾走する姿を捉え、視聴者は固唾を飲んで見守る。兵士たちが追いかけるが、二人は路地裏へと姿を消した。
息を切らしながら隠れ家に戻った二人は、カメラに向かって高らかに宣言した。
「俺たちは逃げ切ったぞ! 親愛なるローマ軍よ、今回は見逃してくれ!」
コメント欄は歓声と爆笑の渦。「さすが!」「伝説のチキンレースだ!」と称賛の嵐。
しかし、その瞬間だった。二人の目の前に立ちはだかる巨漢が一人。
「よくも俺のメンツを潰してくれたな!」
怒号と共に現れたのは、なんとマルクスの伯父、元百人隊長のアッティクスだった。
「伯父さん!? なんでここに……」
マルクスは言葉を失い、ルキウスは恐怖で震え上がった。
アッティクスは二人を睨みつけ、
「貴様ら、推薦状を書いてやった恩を仇で返すとはな! 誇り高きローマ軍を愚弄するとは、一族の恥さらしだ!」
と怒りをぶちまけた。
「ご、ごめんなさい! ですが、まだ兵士になる覚悟が……」
マルクスが弁解しようとするも、アッティクスの怒りは収まらない。
「逃げるな! ローマ人なら、自分の行動に責任を持て!」
アッティクスは二人を追い詰め、ローマ中を逃げ回る羽目になった。
「もうダメだ! どこまで逃げても、伯父さんの追手から逃れられない!」
マルクスは絶望し、ルキウスは涙目になっていた。
「諦めるな! まだチャンスはある!」
ルキウスは最後の望みを託し、ローマの果てにある港町を目指した。
「もし船に乗れれば、伯父さんの追手から逃れられるかもしれない!」
二人は全速力で港へと向かい、ギリギリで出航間際の船に飛び乗った。
「やった! これで助かった!」
マルクスとルキウスは安堵の表情を浮かべたが、その背後には、怒りに燃えるアッティクスの姿が…。
「貴様ら、どこまで逃げても無駄だ! ローマ帝国の果てまで追いかけてやる!」
アッティクスの怒号が港に響き渡り、二人はほとぼりが冷めるまで逃亡生活を送る羽目になったのだった。