表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/65

8 魔法剣闘部 (改訂-3)

【魔法剣闘部】をお送りします。


宜しくお願いします。

 森の木々の間から、


 木漏れ日が降り注ぐ……


 キラキラした光の帯が、行く道を照らす……


 帝都スタージンガーから少し南に行くと、マースの大森林が広がっている。この辺りは人里が近いから、強力なモンスターなどは出てこない。

 入学式から十日がたった。今日は数人でパーティーを組んでの山岳行軍の訓練だった。

 魔導を志す者は体力も必要だと考える学園だけに、かなりハードな行軍だった。



「はぁ、はぁ、はぁ、あ〜ぁ! もう嫌!! 」

 ドリスが不平を漏らす。



「こんなの、はぁ、はぁ、殆ど、山登りじゃない! はぁ、はぁ、誰よピクニックみたいなもんだとか言ってたのは?! 」

 人が二人通れるかどうかの細い山道をかれこれ一刻は登っている。



「仕方ないだろ? 話しをすると体力が落ちるぞ」

 そう言うルバンスは軽やかにヒョイヒョイっと登って行く。



「ルバンス君みたいに進めないよ〜」

 エルザまで泣き言をいいだした。



「ルバンス! 君はペースが早いから、一番後ろの方が良くないか? 」

 エルトリアは何とかルバンスについて来ている。



「そんな事したら、またパンツを抜かれるわ! 駄目よ! 」

「駄目よ! 」

 エルザも同意見だ。



「……たっくぅ……仕方が無いな……みんな足出して」

 そう言ってルバンスが何事かを呟き、簡単な印を切り、その指で皆んなの足首に触れて行く。



「わっ! わ! なな何? これ? 」

 ドリスがその場でジャンプする。



「風獣を付与した」

 


「わわ私も! 凄い軽い! 」

 エルザも、エルトリアも軽々と登っていける。



「卑怯よ! こんな術を使っていたのね? 」

 ドリスがめくじら立てて詰め寄ってきた。



「ち違うよ。俺は使って無い」



「じゃぁ、私達だけ? 」



「そうだよ。たしかドロア先生は、魔法は使っては駄目とは言っていない」



「これなら楽々だが、ルバンスも術を使わなくて大丈夫なのか? 」



「俺は大丈夫だよ。それより先を急ごう。昼食が無くなるよ」


 さらに五百メルデほど進むと、開けた場所に出た。先客が大きな木の下の木陰に座っている。先行していた第二学年の上級生の班だ。俺たちを見つけると、すぐに立ち上がりこっちに向かってくる。



「……君、ルバンス君だよね? 」



「……そうですけど? 何か? 」



「……君に別段の恨みは無いが、俺たちと立ち合って貰うよ」

 そういっていきなり男は木刀を抜き放つ。



「ちょっと! 何よあんた達!! 」

 ドリスが食ってかかるが、ルバンスは彼女を後ろに引っ張り、自分が前にでる。



「ひょっとして、魔闘技部の関係者か? 」



「いや……俺は魔法剣闘部主将、二年のフェルナンデスだ。宜しくな」

 木刀を青眼に構えながら、短い詠唱を行う。付与魔法だ。



「戦う理由は?? 」



「この学園が戦国魔導学園と呼ばれる意味を知っているか? 」



「……いや」



「この学園では強い奴が正義でな。生徒会長が一番格付けが上、おれはランキング八位だ。君が倒したクロトワは十一位。強さによって学園での発言権や部の予算まで決まる。現生徒会を潰して、新たに支配権を握りたい反生徒会勢力に、君は興味を持たれている。取り込まれる前に、叩かせてもらう。もし君が生徒会側に入るならば、引いても良い。そうでなければ……」



「くだらない……要するに権力が欲しい連中の争いだろ? 興味ないな。俺はどっちにも入る気は無い。自由に魔法研究がしたいだけだ」



「そうはいかん。君が良くても回りは黙っていない」



「……やれやれ。エルザ、このリュックを持っててくれる? 」

 ルバンスは背負ったリュックをエルザに渡して、屈伸運動を始めた。



「やるからには手加減しないよ」



「望所だ。此方は木刀使用だ、君も武器を持ってくれていいよ」



「いらねーよ」



「……そうか、なら行くぞ」

 そう言って一瞬でルバンスとの間合いを詰めた! 上段からの斬撃!!



「きゃぁああ! 」



 思わずエルザが声を上げる。

 ルバンスが斬られたと思ったのだ。だがすでにそこにルバンスは居なかった。凄じい速さでフェルナンデスの右側面に移動し、フェルナンデスの顔面に左ストレートを放つ!

 その攻撃をギリギリでかわし、左上から剣で突きを放った! だがすでにルバンスはそこにいない。

 射程圏から既に離脱している。



「凄じい動きだな。クロトワがやられたのも頷ける」

 そう言いながら、ルバンスとの間合いを詰めて斬撃を繰り出す。木刀が何故か二重に見える。残像が見えるのだ。なんとかその残像攻撃をかわして体制を整える。



「飛燕もかわすか? 何者だ君は? 」



「ただの学生ですよ」







【魔法剣闘部】をお送りしました。

次々と刺客が送り込まれてきます。


(映画 【十三人の刺客】を観ながら)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ