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7 運動法則の支配者 (改訂-3)

【運動法則の支配者】をお送りします。


「俺は魔闘技部部長2年のクロトワだ。このスルトはうちの部員だ。女子生徒に対する狼藉は許しがたし! 」



「ま、まって下さい部長! 私は何もしていない」

 身振り手振りで言い訳しながら後ずさるがクロトワは容赦しなかった。



「俺は言い訳が一番嫌いだ! 」



 そう言ってスルトの頭を掴み、体重六十キロスはあるスルトを片手で持ち上げた! スルトはのたうち回るが、容赦ない。

そのまま五メルデぐらい放り投げられてスルトは意識が飛んだ。


「これで制裁は終わった。だが、うちの部員に手を出した事は別の話しだ! 俺と立ち会え!! 」

 身長は百八十メル、体重は八十キロスはあるだろうか。魔闘技はゴドラタン帝国騎士が、素手で戦う場合に身につける無手格闘術だ。



「ルバンス様、無茶です!! 」

 ドリスが血相かいて立ち塞がる様に前にでる。勇気のある子だ。



「大丈夫だよ、ドリス。 下がってて」



 ルバンスはドリスの前に出る。

 魔闘技部の部員連中から揶揄する声が聞こえるが、クロトワが睨みつけると静かになった。



 睨み合う二人。



「……これは喧嘩かい? 」

 ルバンスが問いかける。


「…….いや、稽古だ! 」

 クロトワが答える。


「なら問題ない! 」

 ルバンスから動いた。クロトワの左側に回り込む。凄じい速さだ!



「!? 」

 クロトワが一瞬ルバンスを見失う。クロトワの掌が光出し、閃光が走る。



「閃光拳!! 」



 エルトリアが叫ぶ。拳に真空を纏い、振動させる事で凄じい破壊力を生む無手攻撃だ。ルバンスがクロトワの側面から蹴りを浴びせる。凄じい速さだ。



「速いが、軽い!! 」



 クロトワは避けもせずに蹴りを受け、そのまま閃光拳をルバンスの顔面に叩き込んだ!……様に見えた。



「き貴様! 何だそれは?! 」



 ルバンスは人差し指で、クロトワの閃光拳の最大出力を受け止めてしまった。正確には拳と人差し指の間に僅かな空間が空いている。スルトの攻撃を止めた不可視の障壁と同じだ。威力を相殺したかと思ったら、今度は凄じい威力でクロトワが吹き飛んだ!!



「うぐっぐ!! な何だ今のは?! 」



 何が起こったのかクロトワを含めて誰にもわからない。まるで磁石が反発するように弾け飛んだ。が、直ぐにクロトワは起き上がり、身構える。


「……どうやら、本気でやらねば、俺がやられるな……」

 そう言って、腰を低くし、両掌を正面にゆっくり突き出す。掌がまた光だす。一気にルバンスに向かって、クロトワが飛び込む! 両手をルバンスの鳩尾に添える。



「閃光通背拳!! 」



 ゼロ距離からの衝撃波がルバンスを襲う! 発勁と呼ばれる技だ! まともに喰らったと思われたが、直ぐにルバンスは体制を整えて、風獣と呼ばれる召喚獣を拳に纏わせてクロトワの脇腹にフックをみまった! 発生した衝撃波に襲われ、クロトワが崩れ落ちる。



「……ぅっつ!! おお俺の……負けだ。凄じい技だな? 今のは何だ? 」

 クロトワは降参だと言わんばかりに両手を挙げて見せた。


「いまのは風獣っていう召喚獣を腕に纏わせて攻撃したんだ」



「風獣? 風の精霊か? 」



「正確には運動法則を支配する異世界精霊と言うべきかな? 」



「?? 」

 クロトワを含めて、この場にいる者はまったく意味がわからない。


「例えば、ボールを投げるよね? 投げるとまっすぐ前に飛ぶ。そのボールには前に向かっていく力が働いている。その力の働きを支配できる存在だよ。前に行く力を右や左に強制する事が出来る」



「何だそりゃ?! そりゃあ〜魔法なのか? そんなの無敵じゃないか? 」



「ああ、自作した召喚魔法だよ」



「……ふ、ふふぁははは!! やれやれだ。完全に俺の負けだな……」

 大笑いしながら、クロトワがルバンスの背中を叩く。案外いい奴かもしれない。



(…….クロトワを子供扱いか……凄じいなルバンス…….)

 エルトリアは何か考えを巡らせている様だ。



「ルバンス様! 無茶しすぎです! 」

 泣き顔になっているドリスに、ルバンスが珍しく優しく語りたりかける。



「泣くなよ、無茶なんかしてないからさ。ほら涙を拭きなよ! 」

 優しく涙を柔らかい布で拭いてくれる……



「まままた私のパンツじゃないのよ!! 」




◆◇◆



 窓から木漏れ日が入る……


 何処から、生徒達の賑やかな声が聞こえてくる……


 学園に似つかわしく無い豪華な調度品に囲まれたここは生徒会室である。この魔導学園は生徒による生徒の為の自治が認められているため、生徒会はある意味で、教師達よりも権力を持っている。



「……クロトワが撃破されたな」


「何者だ? 」


「どうも訳ありみたいだな……」


「妾が探ってみましょうか? 」


「……風紀委員会が動けば波風が立つ。俺が行こう」


「君が? いいのか? 」


「ちょうど身体が鈍っていたところだ」


【運動法則の支配者】をお送りしました。

凄じい戦闘力を発揮するルバンス。

(映画 【新宿スワン】を観ながら)


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