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59 人ならざる者

【人ならざる者】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 顎を蹴り上げられたカーリーは、直ぐに身体を捻り着地する。こんな事が起こる事自体有り得ない事だった。アスラ族の戦士と戦って、蹴られた記憶など無い。だが目の前の少年は神族でも巨人族でも無い、ただの人間だ。



「どうやら唯の人間では無いようだな。ならばそれ相応の相手をしよう」

 周囲の大気が鳴動している。カーリーの額に細い縦筋が入り、ゆっくりとその筋が左右に開く。そこにはもう一つの眼が現れた。第三の眼が開かれた瞬間、更にカーリーの魔力が強まる!



「人間ごときにチャクラを使う事になろうとは、はぁ! 貴様何者だ? 」



「ただの学生だ! 」

 そう言ったルバンスは指を鳴らした瞬間、姿が消えた。


「?! また高速で!? いや、本当に消えた? 」

 いつの間にかルバンスが真後ろから、こんどはカーリーの右肩から肺までを切り裂いた、



「貴様、何をした?! 」

 カーリーの傷は一瞬で塞がる。だがどの様にして背後から攻撃して来たのかわからない。カーリーも高速攻撃を繰り出し、ルバンスと剣戟を繰り返す。


 そしてまた、指を鳴らす。


 パチン!


 またルバンスの姿が消える!


 今度は、カーリーの側面から、太腿を両足共に刺し貫いた!



「がぁぁあ! 貴様! ……そうか、そう言う事か! 人間の魔導士如きが、なぜそんな事が出来る? 」

 また傷口が直ぐに塞がる。



「何故? と言われてもな〜、物心ついた時には出来てたんだよ。血の成せる技かな……」

 正直、こんな技に意味は無いと思った。



「刻の中を移動したな? 熱エネルギー的に動くのでは無く、刻の停止した世界の中で、貴様だけが移動した。普通の人間ならば、魔導演算が膨大な為、脳が焼き切れるぞ! 」

 そう言うカーリーにはまだ余裕が見える。

 


「化け物みたいに言うな! 将門のおっさんにも言われたな」



「確かに貴様は規格外だ。だが、これは避けきれまい! 」

 カーリーが手に持った剣を掻き消すと、両手をルバンスに翳した。不可視の力場に捕らえられたルバンスが、地上から三メルデの位置の空間に強制的に固定された。両手両足を力場に広げられ、凄じい暗黒のエネルギー波動にさらされる。



「ガガガがガァぁあああ!!!! 」

 激痛が全身を駆け巡り、神経という神経に莫大な負荷がかかり、ルバンスは昏倒した。



「我が暗黒の神気はどうじゃ? 人間風情が、我に傷をつけた報いを思い知れ! 」

 悦にいるカーリーの周囲から光の筋が飛び、光のリングで身体を拘束される。カーリーに届く前に、防御障壁で阻まれたが、それを砕いてカーリーに届いた!



「何だと?! 」

 その瞬間、ルバンスを取り囲んでいたエネルギー波が消え、地上に落下した。



「貴様らゴミ共が! この様な拘束魔法で我を止められるとでも! 」

 カーリーは足掻くが、足掻けば更にリングの締め付けが強くなる。いつのまにか、カーリーを囲む様に皆が手を翳して魔力を流し込んでいた。



「神の一柱と言えども、様々な属性の魔力を集約したこの魔導循環障壁陣、破ってみるか! 」

 ナルザラスは更にリングとカーリーの同調を進め、カーリーの魔力をリングに巻き込んで行く。



「ルバンス! ルバンス!! 眼を覚まして! 」

 ドリスが駆け寄って、ルバンスを抱き起こした。意識が戻らない。


「クリス! 」


「わかっている! だけど気を緩めると、こいつの拘束が解けてしまう! 兄様! 兄様は術式から離れて、ルバンスに! 」

 クリスが声をかける前にジークはルバンスに走り寄っていた。



「ルバンス様、わかりますか!? いまからルバンス様に私の気を送り込みます」

 ジークが手をルバンスの額に乗せると、その手が発光を始める。ルバンスに自らの気を送り込み、精神と肉体の回復を促してゆく。更にドリスが回復魔法をかける。だが既にルバンスは暴走を始めていた。



【人ならざる者】をお送りしました。。


(映画【パニックルーム】を観ながら)

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