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40 ルバンスのお土産 (改訂-1)

【ルバンスのお土産】をお送りします。


宜しくお願いします。

 しかし、なんだな〜


 ライラックの勉強会だから、もっと堅物な連中の集まりか、宗教みたいな厳かで遊びの無い感じかと思ったけど、女の子の方が多いじゃないか……特にあの三人はライラックが視線を投げかけるだけで顔が真っ赤だな。あ、鼻血出してる奴までいる。フェロモンか? 臭いが違うのか?



「……君は、何をやってるんだ? 」

 自分の脇の下の臭いを嗅いでいたところをライラックに突っ込まれた。


「先輩と何処が違うのかな〜ってね」


「本当に真剣にやる気があるのか? 」


「ありますとも! 大有りですよ! 」


 ライラックは後から入って来た下級生の女の子から、手土産を受け取っていた。よく見ると結構な数の手土産があり、それをライラックはテーブルに広げている。お菓子や果物が多い。自分はと言うと、何も持って来ていなかった。


(しまった! 最初から駄目駄目じゃないか……)

 ふと、そのときルバンスの頭にナイスなアイデアが浮かんだ。神が降りて来た瞬間だ。流石おれ! なん〜んだ、いつも通りでいいんじゃないか!


(先輩! 俺からのささやかなお土産を受け取って下さい)

 

 パチン!


 ルバンスが指を鳴らした。


「?! なんだ? 」

 ライラックが握り込んだ右手の中に布の様な感触が急に現れた。それは発生したと言えるかもしれない。嫌な気がする……皆んなに見えない角度で、恐る恐る手の中を見てみると、そこにはピンク色のフリル感満載の小さな可愛らしい布が……って言うかパンツが!!! 


「なななんじゃこりぁ?! 」



「どうされたのですか? ライラック様?! 」



 ライラック付きの侍女が慌てて寄ってくる。さすが公爵家のボンボンだな〜などと、呑気な事をルバンスは考えているが、自分のしでかした事が波紋を呼んでいるとは考えていない。先ほどの三人の女の子の一人が、うつむきながら、スカートのお尻を押さえている。顔が更に真っ赤だ。



「いいいや、アイリス、大丈夫だ。申し訳ない。君は皆の飲み物を用意してあげてくれ」

 パンツをぎゅーっと握り締めて、背中に隠す。


「はい……わかりました。何か有れば仰って下さいね」

 アイリスと呼ばれた侍女は皆にドリンクを用意し始める。メイド服が眩しい。ドリスに是非ともメイド服を着せてみたいと思って妄想し始めた。


 パチン!


 思わずノリで指を鳴らす。


 今度はライラックの左手の中にまた布の感触が……恐る恐る覗いてみると、今度は紫のレース布のパンツが………


「うっぉほお! 」

 思わず奇声を発してしまった。だが直ぐにいつもの冷静なライラックに戻る。がそれは表面だけだ。

(なななんなんだ! さっきからこれは? 攻撃されてる? ってどんな攻撃だ! 両手に女子のパンツを握り締めているなんて……ヤバすぎだろ? ととりあえず、これを何とかしなければ……)


「そそうだ、たしかここにペンがあった筈」

 何か棒読みみたいなセリフを呟きなが、ライラックは右手を、そーっと机の引き出しに入れて、パンツを奥に押し込みながら、ペンを掴んで取り出した。そして今度は左手を突っ込んで、今度は定規を取り出す。


(何とかパンツを手放したぞ、これでよし! )


 ライラックは冷や汗を拭う為に、胸元のポケットからハンカチーフを取り出して、顔の汗を拭く。

 妙にいい臭いがした……

 ふと手元を見ると、そこには純白のパンツが握られていた。


「ふぅぇえ! 」

 また変な声を出してしまった。皆んなの注目が集まる前に、素早くポケットに仕舞い込んだ。こんなところで居合斬りの修練が役に立つとは……もう変な汗まみれだった。思わずルバンスと目が合うと、ルバンスは親指を立てて満面の笑みでアピールしてくる。


「……そうか……成る程ね……貴様だったのか……貴様だったか!!!! 」

 ライラックは腰の愛刀を抜き、ルバンスを真っ二つに切ろうとしたが、流石に皆に抑えられてしまう。


「はなせ! このふざけた所業! たたっ斬ってやる! 」


「なななんで? お土産をあげただけなのに? うおお! 」

 ルバンスの鼻先を白刃が通り過ぎてゆく。

【ルバンスのお土産】をお送りしました。


(映画【シャッター】を観ながら)

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