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4 魔力測定開始 (改訂-3)

【魔力測定開始】をお送りします。


宜しくお願いします!

 この学園の生徒は全て寄宿舎で生活する事になる。どんな大貴族や皇族でも全て例外は無い。持ち込む荷物には制限は無いが、物が多ければ多いほど、魔導を学ぶには余分と言える。その点、ルバンスの荷物は少しの下着に、筆記用具、後は開かずの間で手に入れた剣だけだった。



(……手に入れたと言うよりも、剣から着いて来たと言う方が正しい表現か……)



 親父には黙って持ち出したが、多分バレているだろう。でも何も言われなかった。いままで、あれだけ持ち出す事を許され無かったのに……この剣から持ち出す様に囁き声が聞こえる気がする……



(……呪いでもかかってるのか……)

 扉をノックする音がしたので、少し開けて見てみると、ドリス嬢が立っていた。



「……じじ授業に参りますわ 」



「……わざわざ誘ってくれるのか? 」

(なんなんだろ? )



「先ほどは失礼しました。改めてご挨拶を兼ねて参上した次第です」



「……それはご丁寧に。俺はルバンスだ。宜しく」



「ルバンス様……宜しくお願いします」

(……ルバンス・タイランド公爵ね……)

 そう言いながら、室内を目敏く見渡す。かなり質素だ……



(……昨夜お父様から伺った通りだわ……)

 昨夜、使い魔を介して父親であるロア・ラゲージ男爵と話しをした。





『……ドリス! よくやった! タイランド公爵家はゴドラタン皇帝家の縁戚! 御学友とするには申し分ない! 』



『その様に凄いお家なのですか? 』



『皇帝陛下を守護奉るナイト・オブ・ラウンズを輩出するお家柄。文武両道、質素倹約を旨とし、騎士の見本となる事を家訓とする』



『とても誠実なお家柄なのですね』



『……ドリス。わが可愛い娘よ! これはラゲージ男爵としての命令だ! お前に命令などした事は、いままで無いが、タイランド公の御子息は確かまだ十三歳ぐらいな筈。俊才との噂は聞いた事があるが、よもやその歳で魔導学園に入るとは……これは次のラウンズの席は確定やもしれん。そこでだ、ドリスよ! 御学友を超えたお付き合いを目指せ! 』



『御学友を超えたお付き合い……』

 ドリスの顔がみるみる紅くなる。



『そそそれは、御子息の……』



『流石、我が娘! 察しが良いな。ご子息のご寵愛を受けよ! 必ずやご子息の子種を授かるのだ! 』



『…………わかりました。ドリス・ラゲージの名にかけて』






(……聞きしに勝る質素倹約さ! ……何にも無いわ……)



「ゴッホん!! ……質素でいらっしゃるのね? 」



「親父が、物が多いと、学業の妨げになるって煩いからな」

 と言いながら、買う金が無いだけだが……


(まさに家訓通りだわ! )



「……では参りましょう」

 そう言いながら、手を繋ぐ為に、ドリスが右手を差し出す。



(……そう言えば、ゴドラタン帝国貴族の御令嬢は手にキスをするのが、慣例だと親父が言ってたか?? )

 ルバンスは片膝をつき、ドリスの手を取って手の甲に口づけをした。



(なななな何を??! 私よりも位の高い公爵家のご子息から、膝をついて、手の甲にキス? いきなり?? 私に気が有るの??? )

 ドリスの顔は真っ赤になってしまった。


(……私の方が十五歳で年上なのよ。こんな事でドギマギしてどうするの? 平常心だわ)



「……ルバンス様はお幾つでいらっしゃるの? 」



「今年十二歳になったとこだよ」



(……情報より一つ若いわね。私と三歳差か……やはり天才なのね……)




 最初の授業はクラス毎に、魔力の基礎がどの程度のレベルにあるかを確かめる測定をするらしい。校庭に集められた生徒が班分けされる。ルバンスはドリスと同じ班だった。集められた生徒は皆緊張した面持ちだ。



「これより魔導の基礎である火球(ファイヤーボール)の実演を行う! 儂はこのクラスを受け持つドロア・ブランだ! 」



 魔導実演が開始される。順番に標的に向かって火球(ファイヤーボール)の簡単な魔導詠唱を行ってゆく。

標的には鉄で出来た等身大の人形が使われている。

 胸に火球が当たり弾ける者や、人形まで届かない者もいる。



「よし! 次! 」

 ドリスの番だ。突き出した掌に魔力を集中していく。

 


「……火炎精霊よ、我が敵を滅ぼせ! ラザカルラ ブラーム……火球(ファイヤーボール)!!! 」

 掌に集中した魔力が集約され、目標に発射された!人形の胸で炎が爆ぜる!


(ルバンス様に良いところを、お見せできたわ! )



「よし! 上出来だ! 次! 」

(……次は報告のあったルバンス・アルバインか……さて)



 次はルバンスの番だった。掌を目標に向かって突き出す。一呼吸の間を開けて、なにを思ったのか指をパチンっと鳴らす。その瞬間、目標の人形が地面ごと炸裂した!!

 どよめきが起こる!



「爆炎弾?! いや着弾の痕跡が無い? これは爆炎壁か?! 」



 ブランは我が眼を疑った。火炎精霊と、大地精霊の魔法を合体させた上級攻撃魔法だ。それを詠唱無しで?!



「ななな何今の?? 」

 ドリスも空いた口が塞がらない。




【魔力測定開始】をお送りしました。

ルバンスの魔力の一端が見え始めます。

(映画 【ルパン3世カリオストロの城】を観ながら)


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