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33 魔導兵器

【魔導兵器】をお送りします。


宜しくお願いします。

 黒曜の祭壇のある入口の上空二百メルデに浮かぶ影が二つ。


 絶妙な魔力コントロールで滞空するその影は、フードをまぶかに被った銀髪の男と、白装束の男だった。上空二百メルデにも関わらず、風の影響を全く受けていない。不可視の障壁に守られている様だ。眼下では、鎧武者の一団と、入口に配置されたゴーレムとの戦端が切って落とされたところだった。



「始まりましたか。将門公を誘き寄せ、蛇頭にぶつけるとは……いやはや先が楽しみな方だ。一国の皇太子などでは勿体ないですね。それ相応の役割を与えてみますか……」



「蘭丸殿、あの岩陰にいる少年が例の? 」



「そうです。あの少年が災厄の渦のキー・デバイスですよ」



「成る程、では転生者の発現を急がねばなりませぬな。あの鎧武者も転生者では? 」



「ああ、平将門は私が呪物を用いて転生させたに過ぎません。彼では災厄の贄にはならない。貴方の様に宝珠で冥府魔道を開いて、災厄の渦の呪いを使った転生でなければ、意味が無いのですよ」



「成る程……では我はロード・グランデ大迷宮にて、魔獣の軍勢を整えるとしましょうか」



「宜しくお願いしますよ。蘆屋道満(アシヤドウマン)殿」




◆◇◆




 黒曜の祭壇に向かってルバンス一行も入口を潜って慎重にすすむ。奥から炸裂音と怒号が響き渡る。蛇頭騎士が放った爆裂魔法だ。鉄が焦げる匂いがする。暗黒騎士達が大剣を振るい、蛇頭騎士達に切りかかってゆくが、単調な攻撃などではかすりもしない。だが蛇頭側も、暗黒騎士に対して決定的に攻撃力が足りない様だ。あの分厚い装甲に阻まれている。



「暗黒騎士は全部で残り五体、そして鎧武者、蛇頭騎士は十五人か……あの騎士団長が居ないな? あの大扉の向こうか? 」

 ルバンスは直ぐ様、敵の戦力を勘定して状況変化を待つ。この蛇頭は以前戦った連中より強いと感じた。それぞれの技能もそうだが、魔力量もかなり高い。



「こいつら、王弟直轄の黒の蛇頭か……たしか団長はルーベリアだったか……」

 昔、宮廷の騎士団代表と挨拶を行った時に会った事がある。思えばあの頃から命を狙われていた。

 鎧武者からドス黒い神霊力が立ち昇り、周囲の暗黒騎士へとそのエネルギーが供給される。すると一気に暗黒騎士のパワーが増幅され、蛇頭騎士団に襲い掛かる!



「暗黒騎士達は、個体というより、あの鎧武者の一部という事か? 何という神霊力だ」

 アトワイトは、妖弓を構えているが、あの神霊力が作り出す結界は容易に突破は難しいだろうと考えた。すると今度は、大扉の向こうから地響きに似た音が聴こえてきた。更に機械的な金属と金属が擦れる様な音が鳴り始めた。



「大扉が内から破られるぞ! 」

 蛇頭騎士の一人が叫びを上げる。大扉の中心が赤く熱せられ、膨れ上がり爆発した。高エネルギーの熱線が照射されたのだ。



「なんだ? 」

 ルバンスは眼を見張る。あれは超帝国の文献でみた事があった。

 巨大な鋼鉄の塊に見えるが、四肢があり己の意志がある様に動く。眼の様な器官が紅く輝きを増した。


「……ハヌマーン……存在したのか? 」

 ルバンスは左手で印を結び始める。


「ハヌマーン? なんだそれは? 」

 ライラックも危険を察知して、皆に身体強化の呪文をかけてゆく。


「超帝国の魔導機械兵器だ。機械とミュータントを融合させた呪われた兵器だよ。あまりにも非人道的な研究だったから、当時の超帝国皇帝の逆鱗に触れて、その研究者派閥は殲滅された。その生き残だよ」

 ルバンスは全員に物理障壁の呪文をかけ終えて出ようとする。



「どうするのです? 」

 ジークが慌てて呼び止める。


「計算が狂った。あんなのを出されたらドリスが危険だ。俺も参戦する! 」

 ルバンスは前に出て行く。どうも鎧武者はわかっていた様だ。



「遅かったな小僧! 怖いならもう少し隠れていたらどうだ? 」

 平将門は振り向きもせずにルバンスに話しかける。だが意識は目の前の機械兵器に集中していた。

 その声を聞いたルバンスは思わず笑みをこぼした。




 




 


【魔導兵器】をお送りしました。


(映画【スターウォーズ エピソードⅠ】を観ながら)

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