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25 我も出るぞ!

【我も出るぞ! 】をお送りします。


宜しくお願いします。

 屍と鉄が燃え盛り、その炎が寄り集まって火炎流となり夜空を焦がした。強烈な死臭が吹き付けるなかで、ルバンスは将門と対峙した。


(……こいつが首魁か。成る程、並の悪霊ではない)

 ルバンスは右掌を空に向け、周囲から吹き付けてくる風の力を増幅し、将門にぶつけた。火炎流を纏った暴風が巨馬に跨がる魔人に襲いかかる。



「ほう……どの様な仕組みでこんな事が出来るのだ? 興味深い」

 将門の巨馬が燃え上がった。凄じい絶叫を放ち、たまらず崩れて落ちる。



「貴様には通用しないか」

(……魔法の火炎も、物理的な火炎も奴を焼く事が出来ない……ならば)

 将門は崩れ落ちた騎馬の上に音もなく着地した。

 ルバンスは剣を腰にさして、両手で複雑な印を高速で結び始める。次の瞬間、将門を囲うように四角形の結界が現れる。

 ルバンスが印を結んだ掌を将門に向け、広げた掌を力強く握り込んだ。結界内で連続した大爆発がおこる! 結界の外にはその衝撃波は影響が無い。



「な、なんだ……圧倒的じゃないか? 一体貴方は? 」

 ソリウリスとミランは絶句した。フォローする事すら出来ない。

 


「まだだ。あんまり効いていないよ。あれは異次元のアンデットだ」

 ルバンスはあっさりと言い切る。



「え?! まさか? 」

 ソリウリスの言葉と同時に結界が弾け飛んだ。



「貴様もただの人間では無いな、小童よ! 」



「人を化け物みたいに言うな! 」



◆◇◆




 スタージンガーの城塞都市。その壁面に楔を打ちながら壁を登る灰色の一団がいた。ヴァイアの情報ギルドからの話しによると、ギルド・マスターは現在、丁度スタージンガーの街にいるとの事で、内側から城への手引きを行うと言ってきた。夜陰に紛れ城壁を越えて、朝までにその銀髪の男と接触する手筈となった。



「ルーべリア団長、あの屍人の軍勢は結局なんなんです? 」



「殆どは、ただ生者に惹かれているだけだろう。だがあれの中心にいるあの東方の鎧武者……あれは真の化け物だ。まともにやれば我らでも太刀打ちできん。精々ラウンズと潰し合ってくれたらいい。それによい揺動になる」

 国境に布陣したアリストラス軍に従軍した宮廷魔道士のスターズ殿によると、あれは一度消滅しかかった魂を再度呼び戻し、使役する事が出来る化け物だとの事。そんな事が出来るのはエルダーリッチ以上の上位者だ。そんな者がなぜスタージンガーを攻めているのかは不明だが……



「あと数刻で約束の時間だ。急ぐぞ! 」




◆◇◆



 グラウス皇帝は、当初からの違和感が拭えずにいた。テラスから遠目に見えるルバンス達の戦いぶりは見事と言える。騎士団による後方確保の為の戦闘も優位に運んでいる。だがそもそも、この状況は意図して作り出された感があると思えてならない。

 


「……狙いは余の命では無い……はなからルバンス、いやクライン殿を引き摺り出す事が狙いか? 」

 先日、ジークフリードより、クラインが暴走状態になった報告を聞いた。それと関係があるのか?



「いかん。ランドルフ伯、我も出るぞ! 」

 グラウスはマントを翻し、戦場に出る決意を固めた。



「陛下、それはなりません! 」

 ランドルフは慌てて皇帝を留めようとする。だが一度決意を固めたグラウス皇帝の意志をかえる事は出来ない事も知っている。



「余は椅子を温めるだけのお飾り皇帝では無いぞ。賊の思惑がわかった以上は捨て置かぬ。我が剣を持て、そしてアレもな! 」




 ◆◇◆




 ルバンスは正直らちが開かないと思っていた。この怨霊にはほぼ物理攻撃は通用しない。かといって魔法攻撃も効果が薄いときた。徐々に太刀を抜いた怨霊に押され始めた。ラウンズも良くフォローしてくれるが、奴の太刀はかなりヤバい。



「皆、後方にさがれ! 奴の太刀は掠るだけでも強烈な呪いの効果がある。魂を持って行かれるぞ!! 」

 ルバンスは必死に【風獣】を操り、将門の太刀が触れない様に立ち回るが、奴の動きが速く、対処するのが精一杯になっていた。

 【妖刀村正】を使えば、奴の怨霊としての核を斬る事が出来るかもしれないが、また暴走する可能性がある。




【我も出るぞ! 】をお送りしました。


(映画【クライマーズ・ハイ】を観ながら)

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