12 学園最強は? (改訂)
【学園最強は?】をお送りします。
宜しくお願いします。
午後三時、
第三校舎、格闘技棟、
ここが指定してきた時間と、場所だった。
すでに生徒会の主だった面々は到着している。
「……ルバンス・アルバイン……十二歳」
書記総長のエレノアール・フリューゲルは調査報告書を見ながら信じられないという顔だった。調査部の項目がほとんどシークレット扱いで、抹消されている。
「こんな履歴書が学園の審査を通過する筈がない……なんなの? 」
履歴書のほとんどの部分が黒塗りになっている。
「……帝国の誰かが、審査を無理やり通している」
生徒会長のジークフリードが、小声で呟く。あまり関心は無いようだ。
「そんな事は学園長でも無理です。生徒の素性は帝国の調査機関が全権を持って行っています。それを覆す事が出来る人間となると公爵以上の……公爵以上?! 」
「そうだ。公爵以上の爵位がなければ無理だな……ルバンスは、そう言う人間と言う事だ」
「……だが学園に入った以上は学園のルールが勝る。そうだろ? 」
副会長のヨシア・グローリアスが会長に確認をする。
「ああ、その通りだ。この学園では肩書きは関係ない。力こそ全てだ」
そんな話しをしていると、ルバンス達が入って来た。ルバンス、エルトリア、そしてドリス、エルザもいる。ルバンスがブラームスを引きずって来る。
「……エルトリア、君か? ブラームス? 」
「会長、ブラームスがやり過ぎた。やつは一線を超えた……」
ことのしだいをエルトリアが説明し、ブラームスを会長の目の前に転がした。
「……愚か者め、ブラームスは我が風紀委員が処分致します」
「……それではレッドブランド子爵家まで取り潰しになる。あの御仁に罪はない。だからブラームスは我らで処理する……」
ジークフリードから殺気が漏れ出すが、それも一瞬の事だった。副会長のヨシアがブラームスを拘束した。
「……か、会長?! 」
ブラームスは恐怖に顔を引きつらせている。生徒会での処理とは……
「……ルバンス君手間を取らせたね。今回の件は生徒会の不始末だ。この通りお詫びする。エルザ嬢にも改めて詫びに行く。が、今回のこの件とはまた別だ……」
「……ああ、わかっている……」
「きみの素性を調べさせて貰った。だが何一つ情報が出て来ない……訳ありだと理解したが、もし私が勝ったら聴かせて貰えるかな? 」
「ああ、了解した……勝てればね」
「会長自ら?! 我らにお任せ下さい! 」
風紀委員長のフェルミナが、慌てて間に入ろうとする。
「よい! 君たちでは、ルバンス君に勝てないよ……彼と相対して理解したよ。彼の魔力は異常だ……さあ、始めようか……」
ジークフリードは腰の剣を抜いて、青眼に構えた。ルバンスはまだ剣を抜かない。右足を後ろに引いて、正拳突きの構えを取る。周りの者達は、二人の間に無限の時間が経過した様な感覚を覚える。
一気にジークフリードが間合いを詰めた! 袈裟斬りに剣を振り下ろす。
「きぁぁあ!! 」
ドリスはルバンスが斬られたと思ったが、そこにはルバンスの斬られた残像が残された。
「ちぃ!! 残像だと? 」
ジークフリードは返す白刃で横薙ぎに振るう。だがそこにもルバンスはいない。左に回り込んだルバンスは、風獣を纏わせた拳をジークフリードの顔面に放った! だがジークフリードはその拳をかわして、爆裂魔法を放った!
閃光と共に爆裂音と、爆風が周囲に広がる。だがルバンスは全くの無傷だ。
「その纏った術……あらゆる物理的ダメージの方向を操作出来るのか? 素晴らしい! 」
「……あんた、強いね。見ただけでわかるの? すこし本気を出すよ」
ルバンスが言いながら、右手の指を鳴らした!
その瞬間、ジークフリードの立つ地面から炎が吹き上がった!! が、その炎がかき消えた!
「!? なんだと! マジックキャンセラー? 無詠唱で? 」
その一瞬の隙をついてジークフリードが神霊力のこもった剣を振り切った!、真空の刃がルバンスに飛ぶ! だが信じられない事に、その真空の刃の上にルバンスが乗った!
「おれの真空剣の刃を踏み台に?! 」
ルバンスは真空の刃を踏み切って、真っ直ぐジークフリードに向かって飛び、強烈な拳の一撃をジークフリードの顔面に炸裂させた!! 立ちあがろうとするが、ジークフリードは立てなかった。
「か、会長!! 」
フェルミナがジークフリードに駆け寄って助け起こす。
「……お、俺の負けだ……君はいったい何者だ? 」
【学園最強は?】をお送りしました。
(映画 【機動戦士ガンダムダブルオー】を観ながら)