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第7話 監視

「私は上に監視許可を貰ってくるよ。早くて今日の夜にはもう監視を始めるから、それに対応できるように準備をしておいて。今日は準備のためにもう帰っていいよ」

「ギルドの仕事はどうしますか?」

「それは代理に来てもらうよ。だから心配しないで」

「そうですか。分かりました、ではお先に失礼します」

「はい。今日、監視することになったら、リクスの家に直接行くよ」

「了解です」


話がついて、俺は部屋からお辞儀をして出る

そうだな、ルッツとロクサスにも言っておかないと

探そうと思ったが、すぐに見つかった

まだギルド営業前だから2人とも事務室にいた


「ルッツ、ロクサス。今日は俺、もう帰るよ」

「お、久々の監視か」


ルッツは監視と言い当てた


「よく分かったな」

「そりゃあ、監視の時は毎回、早上がりするからな」

「なるほどな。ってことだ、ロクサス。じゃ、2人とも、仕事頑張ってくれ。すまないな、俺だけ帰って」


俺の言葉を聞いて

ルッツとロクサスは笑った


「気にすんな!リクス、お前より俺は、事務の仕事ができるからな!」

「そうですよ、リクスさん!監視、頑張ってください!」


こんなにも優しい2人を見て

元気が湧いてきた

流石、ギルド。暖かい職場だよ

そう思いながら、俺はギルドを出た


××××××××××


俺は監視に行くまでにまだ時間があったので

前の仕事で助けたライムのお見舞いしに

彼女が入院している病院に来ている

受付でライムの部屋番号を聞いて

ライムの部屋に大丈夫かなと思いながら

向かい、部屋に入る


「あ、リクスさん。どうも。先日はありがとうございました」


ライムは部屋に入った俺に気づいた途端

助けた時のお礼を言ってきた


「仕事だから、気にしないでいいよ。それよりも、元気そうでよかった。結構、回復したんだね」

「はい、お陰様で」

「これからはどうするの?」

「これからですか?」

「うん、完治した後。ギルド会員続けるの?」


この問いを聞くと、少し俯いた

悩んでいるようだった

それもそのはず

長い間、一緒に頑張ってきていた

相棒がいきなり消えたんだから

続けることに苦悩するのも無理はない

少し、嫌なことを聞いたかもな

ライムの気持ちをよく考えられなかったな


「ごめん、嫌な質問をしたね」

「いえ、そんな」

「じゃあ、俺はこれで失礼するよ。お大事にね」

「ありがとうございます」


俺は病室を後にした

家に帰ろうと出口の方へと

廊下を歩いていると

後ろから声が聞こえた


「お、リーちゃんじゃん」


そう言ってきたのは

腕がいいと、国民から評価されている

この病院の院長、アザミ・ルフレッド。男性

俺はリーちゃんと呼ばれている

アザミ先生は俺が小さい頃からの知り合いである

その理由は俺の母親の職業にある

俺の母親の職業は看護師で

その同僚でアザミ先生がいた

母親の仕事が遅くて

俺が母親が勤めている病院に行く時

いつも、アザミ先生が

母親の仕事が終わるまで

俺の話し相手をしてくれた

彼からしたら俺は

本当の子供のように

感じていたのかもしれない

彼はその時から腕が良く

並みの医師では治すのが難しい

怪我や病気は、全て

このアザミ先生が受け持っていた

しかも、医療ミスなどは一切なく

国が認める、医師の1人となった

そんな人と知り合いだなんて

俺は運がいい限りだ


「こんにちは。アザミ先生」

「だから、先生はいらないって!アザミでいいよ!」

「いや、それは流石に。随分と年上なので」

「いいって!そんで、今日はどしたの?」


アザミ先生は会う度に

この質問をしてくる

昔から俺のことを気にかけているのは

ありがたいんだけど

もう俺は子供じゃないからなぁ

18歳で立派な大人だし

でも気にかけているのには理由がある

それは俺の母親が何者かに殺されたからだ

その時から俺のことを

何かと気にかけてくれた


「僕が前の仕事で助けた子のお見舞いに来たんです。そして、今、それから帰るところですね」

「そっかそっか!まぁ、お茶でも飲んでいかない?」

「いえ、そんな毎回、申し訳ないです」


アザミ先生は俺がこの病院に来ると

必ず、お茶を用意してくれる

流石に毎回されると

申し訳なくなってくる


「気にしないで!ほら!」


結局、今回も院長室に連れていかれた


院長室は絵画や置物が飾ってある

家具類もどれも高級そうな物ばかり

お金があるんだなと思う


「はい、この街のローズティーだよ」

「ありがとうございます」


アザミ先生はバラが好きだ

自分の机に小さな植木鉢を置いて

そこでバラを育てているくらいだ

お茶も必ずローズティーを飲んでいる

どうしてそこまで好きなのかは謎

あれ?と思った

バラが植えられているが

2本くらい茎から

千切られているものがある


「アザミ先生。数本、千切れてません?」

「あぁ、これ?これはね、僕の付き人がバラの世話をしているんだけど、彼曰く、枯れていたから早くに処分したらしい」

「なるほど」


そういうことだったのか

付き人もしっかりしているんだなと思った


コンコン…


「失礼します」


俺が知らない若い男性が入ってきた

この病院の医師だろうか


「あ、こんにちは」


その人は俺を見ると挨拶をした


「こんにちは、お邪魔しています」


それに反射的に返事をする


「ロベリア、いいところに来たね。この子はリクス・シュベルツだ」


アザミ先生に紹介された

俺は紹介と同時に軽く会釈をする

入ってきた人はロベリアというみたいだ


「あぁ、よくアザミ先生がおっしゃっている人ですね。改めて、初めまして、私はアザミ先生の付き人のロベリア・ウォルマーです。よろしくお願いします」

「あ、こちらこそよろしくお願いします。俺はこの街のギルド職員をやっている、リクス・シュベルツです」


ロベリアは笑顔で俺に接した

いい人そうだなと感じる


「お話し中失礼ですが、アザミ先生。もう次のスケジュールが迫っています。今すぐ準備を」


そう言い残して

ロベリアは部屋から出て行った

忙しそうだなと思い

勝手にシンパシーを感じた


「ごめんね、リクス!すぐ行かないといけない!また来なよ!」


アザミ先生も出て行く

俺は部屋に取り残されてしまった

さてと、俺も監視の準備しに帰るか

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