第6話 オーナー
別に気持ちの良くない朝が来た
朝食は軽いもので済ませ
歯を磨いて、顔を洗って
早朝の身体清めを水で行う
これで大体、目が覚めてくる
結局、昨日の夜は
ロクサスとあのまま
何もなく普通に家に帰った
予定とか聞いてきてたけど
何か俺に用事とかあったのかな?
それは会った時、直接聞くとするか
とりあえず、今日は
何よりも先にしなければ
いけないことがある
昨日の拘束したままにしている
あの3人の回収だ
回収して、門番に預けて
国に提出してもらう
3人が何か重要な情報を
持っていないといいがな
もし、持っていたりしたら
その3人を見つけた俺が
責任持って、最後まで
問題を解決しないといけないから
毎回思うけど
この国はギルド職員1人の
仕事が多すぎる!
過労死してもおかしくないだろ!
もっとギルド職員を
雇ってもいいと思うのだが
そうすれば、ギルド職員の
全体的な戦闘力の質を
下げかねないからな
これも難しい問題だ
まぁ、出世できれば
その後は、割と楽に贅沢して暮らせるから
それを目指して死ぬ気で頑張るか
気合を入れて、外に出る
「おはようございます!リクスさん!一緒にギルド、一緒に行きましょう!」
外出て、家の門の前にロクサスがいた
「なんで、いるの」
「だから、一緒に行くためです」
「1人で行けよ」
朝から勘弁してくれ
「俺はギルドに行く前に用事があるから、一緒にいけないよ」
「じゃあ、それもついていきます!」
なんで。まぁ、いいか
手伝ってもらおう
「分かった。その代わり手伝ってもらうからな」
「了解しました!」
「はい、じゃ、手押し車頼むわ」
「雑用じゃないですか!」
「手伝いを了承したのは誰だっけ」
怪訝そうな顔をしたが
なんだかんだ手押し車を
3人のところまで押してくれた
××××××××××
「ありがとう、お疲れ様。って言いたかったんだけど」
「はい、そうですね」
「3人はどこ行ったのやら」
昨日、拘束した場所に行ってみたが
俺の氷も、3人も消えていた
綺麗さっぱりに
やばい、頭がおかしくなりそうだ
「リクスさん」
ロクサスは哀れみの表情で俺を見る
「うん。仕事が増えます」
「オーナーに報告しに、行きましょうね」
「…はい」
とんでもない事態になってしまった
こういう、どの問題と繋がりがあるか
分からない問題を見つけた人は
現在、存在している問題全部の
解決に参加しないといけないことになる
これは言い換えれば
休みがなくなるということ
けど、かなりの重労働だから
これを解決すると
かなりの功績になって
大出世しやすくなる
頑張るしかない
とりあえず、俺とロクサスはギルドに出勤した
××××××××××
「おはよーございます」
「おはようございます!」
俺は仕事が増えるという
ストレスから自然と
挨拶の覇気が小さくなった
それとは逆でロクサスは
元気いっぱいの挨拶をした
なんか、元気そうなロクサスが
凄く羨ましくなったので
何か特別なことをしているのかと思い
ロクサスに聞いてみる
「お前、いつも元気だよな。今日はその倍、元気だけど。何かしてるの?」
「何もしてないですよ。恋の力が私を元気にさせてくれるんです!」
「ふぅーん、そうなんだ。じゃあ、俺とは無縁だな」
「無縁じゃないですよ!」
年頃の女の子だから、恋もするか
いいな、恋で元気になれるのって
俺もそれで元気になるんだったら
100回は恋してるよ
恋の相手は誰だろうな
ルッツかな?
それとも俺が知らない人か
ま、いいや
今は仕事に集中しないとな
事務室に行くと
ルッツはもう出勤していた
「おはよー2人とも。一緒に来たの?」
「あぁ」
「はい!」
「いいねー。若いね~」
「いや、ルッツ。お前も若いだろ」
「そういう意味じゃないんだけどね」
ルッツ。昨日から何を言っているんだろうか
まさか!こいつが潜伏者か!?
そんな訳はないか
こいつはそんな素振り見たことないしな
「ルッツ。オーナーいる?」
「いるよ」
「おっけ、ありがと。じゃあ、部屋に行ってくるわ」
「了解~」
俺はオーナーの部屋に行った
~事務室~
リクスがオーナーの部屋に入っていったのを
確認したルッツはロクサスに話しかける
「んで、昨日は一緒に帰って、何か発展した?ロクサスちゃん」
「いえ、何も」
「ハハハ、リクスの奴、何しているんだよ」
「なんか、リクスさんに私の気持ち伝わってないみたいで」
「鈍感すぎないか?」
「ほんとそうですよ!」
ルッツは何故、ロクサスが
リクスのことを好きなのか気になった
「ロクサスちゃんさ。なんでリクスのこと好きなの?」
「んー。リクスさん、どれだけ仕事が多くても、しんどくても、文句を言っても、必ず最後は仕事を全うするでしょ?その真面目さに惹かれました」
「なるほどね。確かにね。あいつは真面目だ。でも悪く言えば、仕事しか考えれない奴だね」
「そうですね」
軽い冗談を交えて2人で笑った
××××××××××
「失礼します。リクス・シュベルツです」
「はい、どうしたんだい」
俺はオーナーに昨日あったことを全て報告した
「うん、なるほどね。仕事増えちゃったね」
「はい…」
「流石にしんどいと思うから、何か手伝うことにするよ」
「オーナーがですか!?」
俺がこのギルドに努めてから1年経つが
ギルド職員がどのような状態でも
今までオーナーが
こういう問題に直接干渉することはなかった
そのオーナーが手伝うっていうんだから
今回の俺の状態は
ほんと、相当酷いんだろうな
なんか、悲しくなってきた
でも、オーナーの勤務姿
今までも勤務はしていてたが
こういう問題にどう対処するのか
見てみたいものがある
なんか、そう考えると楽しみになってきた
「あ、そうだ。リクス」
「はい、何でしょうか?」
「潜伏に関しての新しい情報だ。潜伏している奴の職業は運搬業者だと」
「運搬業者ですね…っすぅー。心当たりある人が1人」
「うん、私もあるよ。貿易運搬担当のダリア・バウマンでしょ?」
「そうです」
そして、俺とオーナーは
ダリア・バウマンを監視することになった