第2話 北の森①
「んで、お前らがSS級の会員か」
「はい!そうです!」
「お願いします!」
2人とも女の子なのに
俺よりも背が高い
俺よりも高いなんて中々やるね
それは置いておいて
SS級がこの仕事に同行する理由
ギルド会員階級昇格のシステムにある
SS級の上、最高階級が
Ably級というのだが
それに昇格するためには
昇格試験、上位公務員推薦
と国家級依頼10個達成という条件がある
今回の仕事が国家級依頼なのだ
「とりあえず、何ができるか自己紹介頼む」
「じゃあ、私から」
そう言ったのは
ショートの目がくりんとした
可愛らしい女の子
「私はSS級のジーナ・レンジャーです!氷魔法と気術を合わせた体術の攻撃をします。前線で切り込みをしています」
「おっけ、そっちは?」
もう1人のロングで
目が細くクール系の女の子に話を振る
「私はジーナと同じくSS級のライム・キャロディ。風魔法と大剣を使った一撃を重視する戦闘スタイルです」
「なるほど、1つ疑問なんだがライム。普通の大剣使いだったらSS級までは来れないはずだが」
そう、大剣は威力は高いが
動きや攻撃の遅さが原因で
大剣使いがSS級になるのは
ほぼありえない
なるには何かカバーする
絶大な技術が必要になってくる
「私は風魔法を使って動きの速さ、攻撃発生の速さを底上げしているので、シーフや双剣士並みに速いのです」
「そういうことか!聞かせてくれてありがとう!」
SS級は例外なく
自分の戦闘スタイルが
普通と違うから
聞いていて面白い
それはそれとして
まだ国から出て
少ししか経ってないのに
もう嫌な気配がする
そんなにも北の森に
大きい何かがいるのだろうか
いてもいなくても
警戒して調査しないと
今回は具体的な調査内容は
言われなかったからな
これの場合、ほとんどは
どうってことない調査になる
でも低い確率でジョーカーを引くんだよ
今、感じた気配からして
ジョーカーを引く気がする
「ねぇ、君ら2人。多分、大丈夫だとは思うんだけど。一応、いつでも戦闘できるようにしてて」
「はい」
「はい!」
SS級が、しかも肉体戦をしている
者が2人もいれば安心だろう
そして、北の森の入り口についた
「さて、鬼が出るか蛇が出るか」
俺たち3人は森の中へと入っていく
かなり寒いだけで
見た感じ何もおかしいところはない
森の中は何もおらず
気が変に腐ったり崩壊したりとか
荒地になっているのもない
「何もなさそうだけど、とりあえず、北の祠まで行くよ」
「分かりました」
「了解です」
北の祠とは昔の人が
災害が起こった時に
災害を鎮めるために
祈りものを捧げるために
使われていた建造物だ
建造物と言っても
石を祠型に積み上げただけにすぎないが
「さて、着いたものの」
この森が寒いからか
祠に小さい氷柱がついていた
やはり何も置かれてもいない
おかしな点は見当たらない
ただ、1つを除いては
この祠に着いてから
森に入る前に感じていた
気配が2つになったのだ
俺はSS級2人に目配せした
2人が武器を取り出す
「おい、出て来いよ。さっさと問題を解決して仕事を終わらせたいんだ」
そう言って少し時間が経った
その時、祠の後ろにある木から
右左同時にガサガサと
速いスピードで何かが逃げていく
それに咄嗟に俺は判断して
2人に指示する
「お前らは右を追え!俺は左を追う!任せたぞ!」
「はい!」
「了解!」
2人は右側へと走っていく
俺も左側のやつを全力で追いかける
「この野郎、道なき道を進みやがって!よくこんなとこスイスイ進めるな!」
この道を進んでいたら
絶対に追いつけないと思った
かと言って近くには
ちゃんとした道がない
どうすればいいか
答えは簡単
道を使って追いかけるのをやめ
木から木へ渡って追いかければいい
俺は木を足場にして
蹴って蹴って進んでいく
やはりこれの方が早かった
すぐに逃げた奴に追いつき
確実に捕まえた
「よし、捕まえたぞ!ってあれ?」
捕まえたのは
ただの野生のモンスターだった
逃げていた奴の身代わりかと思って
目を凝らして先を見てみるが
逃げているような奴はいない
それに祠の前では
あった気配が2つともなくなっていた
「これはおとりだったか。じゃあ、あの2人の方が正解か。向こうへ行くか。にしてもここは寒いな」
あれ?と
おかしな点に気が付く
祠の前で気配は2つあった
そして左右で逃げ出した
逃げる時の植物の揺れから
左右、1人1人だったはずだ
そのうちの1人は野生のモンスターで
おとりだったが
でもこいつからは気配がしない
ということは向こうに
2人逃げないといけない
でも1人だった?
祠には氷柱があって、
「あっ!ライムが危ないなこれは!」
俺は風魔法を使って
スピードを上げて
全速力でライムの方へと向かった
俺の予想が合っていれば
ライムは2人を相手に戦っているはずだ
SS級は強いのは分かってはいるが
感じた気配、2つが相手となると
絶対に勝てない
最悪の場合、殺されてしまう!
それだけは阻止しないといけない
「ライム、待ってろ。やっぱり今回の仕事、ジョーカー引き当ててんじゃねぇかぁ!」