No.551 どちらがボスなのか
【諸注意】
読み返して感想を書いてくださる方へ
その話数よりも先の展開を含めた内容を含んだ感想は他の方のネタバレになるのでおやめください。
その感想は消します。
どうしても聞きたいことがあったりする時は最新話の感想とかで[〜〜話の〜〜の事なんだけど]って前置きしてくれればいいので、御対応よろしくお願いします
改善が見れらなかったら
一回警告
二回目で(´・ω・`)出荷よ~
します。気を付けてね★
「さて赤、青、ユニーククエストと基本を押さえたところでいよいよ涅色の遺跡についてだ。これは復習がてら聞いてみよう。エロマ、赤が監視、青が身分の歪みをそえぞれモチーフとしていると仮定すると、黒は何をモチーフにしていると感じた?」
若い塾講師の様に話を続けると、ノートはパチンと指を鳴らして皆の気を改めて引き締め、エロマを指名する。
「言葉を選ばず、そして今までの重ためのテーマを踏まえると…………『薬物』がテーマと私は感じた」
「Good。そう、黒の暗示は『薬物中毒』って感じだったな。何故そう思った?」
涅色の遺跡に出没するアンデッドは、赤銅やベビーブルーの遺跡の様に個体によってハッキリと強い弱いが別れていなかった。ノート達の印象では、全体的に強い。
その代わり、重装備のやたら頑丈な奴か、高火力で脆い2タイプに大まかに分かれていた。そして最大の特徴は、どのアンデッドも状態異常に特化している事。赤銅のアンデッド達が得意とした精神系の状態異常よりかは、毒などの肉体に害を及ぼす状態異常だ。むしろ精神に対してはその毒を受けることで一時的に見ればバフに近い効能すら起きた。
「――――――この毒が蓄積がする事で、幻覚などの精神系に状態異常に繋がった。これはドラッグに近い作用に似ている。体には毒だが、極々短期的に見れば精神を高め、長期で見れば精神を蝕む。これ見よがしに煙を体から発する敵もいたからな。普通の生き物であれば、他者に害を与えるほど体に毒を蓄積すればまともに生きてなどいられない。けどアレらはアンデッドだから薬物のデメリットを無視できる。だから桁外れの馬鹿力を発揮してくる……と私は考えた」
「Excellent。そう。特にあの都市のアンデッドは死ぬまで追いつめた時に発揮する火事場の馬鹿力が通常のアンデッドと比較しても異常なレベルだった。大げさに言えば、体感ランク5くらい上がってないか?って感じだったよな。ユリンやツナが防御してても通常攻撃1発で落ちたのは異常としか言いようがない。恐らく、生前からして薬物で脳のリミッターがぶっ壊れていたんだろう。その特性がこれ以上になくアンデッドと適応した。だから俺達は奴らを手早く確実に殺す必要があった。赤銅やベビーブルーで味わった苦労とはまた違った苦労をしたわけだな」
更に補足すると、他の遺跡同様に存在した寺院のボス達も薬物を連想させる要素を持っていた。高耐久高威力を持ったうえで、寺院事態にガス散布のギミックが在ったり、毒液が降り注いだりと、薬を連想させる要素があったのだ。
ある種、アンデッドの特性をキッチリ高めてきたようなスタンダードな強さ。そこに状態異常の付与が加わる厄介さ。防御特化型の対決戦兵器としてGingerが大活躍しなければもっと攻略は遅れていたことが予想された。
今後は本人が希望するなら考察班に入れてもいいかな?と思うくらいにしっかりとした回答をするエロマに満足しつつ、ノートは続ける。
「じゃあいよいよ今日の本題だ。この薬物エリアと言ってもいいほどのこの遺跡を束ねる黒の女王、コイツが何をしてくるか」
赤も青も少し場当たり的な部分はあったが、それでも何とか勝った。
しかし、先日の地下ダンジョンのスズラン腕の死体に対し、アサイラムは戦術的敗北をしている。土壇場でノートが切り札を切ってひっくり返したが、そんなもの勝利ではない。ノートが追いつめられた時、負けを選ばなかったのはティアが原因だ。
ティアはユニーククエストの肝となる存在で、臆病な気質でありながらノート達が黄土雲の都の攻略に出発すると必ずついてきて援護する。また、アサイラムが何らかの形で全滅した際、彼女はアサイラムのミニホームのすぐ近くにリスポーンする。
あの時、もしティアを残す形でボスに負けたら、ティアは今まで通りリスポーンしただろう。
だが、ノートは思う。
本当に、こんなヌルゲーをALLFO裏ルート産ユニーククエストが許容するのか、と。
ノート達よりも先にティアが死ぬ、というケースが一度も発生していないので分からないが、それは確定で地雷案件に見える。だからノート達は今までボス戦にティアを参加させ、負けそうになっても、ティアを最優先で生かす立ち回りをした。
スズラン腕の死体に後手を打ったのも、ノートがいつもよりティアの生存に気を配りすぎたというのがある。
このティアのリスポーンは、なんの代償もないのか。
ティアからヒアリングをしたところ、どうにもこのティアのリスポーンは彼女の能力、というより彼女の意思で行われていなのではないか、という疑いがあった。
おまけにブローチの記憶断片と、ノートの習得したオリジナルスキルのポエム鑑定文。何らかの文字化けクラス、しかも明確に意思を持っているレベルの存在がノート達周辺に干渉してきているのは確定である。
その状態で無制限のリスポーンが許されるのか。
また、今回のアメリカ遠征で暫くアサイラムのメンバーの誰もティアと接触していない時間が発生している。
実際はケバプが遠征後も暫く残っていて、ラヴァーリザード戦だけ参加し、それが終わると厄介な事になる前にそそくさと単独で帰還するという有能ムーブをしているので長い放置にはなっていないのだが、それでもクエスト放棄に取られてもおかしくない期間があった。
この時、ノートはケバプが帰還した時の反応を直接知る事は出来なかったが、帰還した時のティアの様子がなんだか変だった、という報告をケバプから受けている。つまり、ノーデメリットではないのだ。
だからこそ、これ以上ティアをリスポーンさせるのは避けたかった、特に、アメリカ遠征で放置された影響が残っていてそうな今は。
なので残りのメンバーが個より集を優先できるエロマとJKになった事で、ノートは2人にティアの徹底防衛だけを命じると単騎でスズラン腕の死体と殴り合いを開始。そして勝った。勝っちゃったのである。
その戦い方を見ていたエロマとJK曰く『完全に人間をやめていた』との事だった。
戦略的に勝つ、皆を楽しませる、ティアを防衛するなど、常に戦闘時に脳内に置いている複数の目標を全部捨てて、脳の処理を『勝利』だけに一本化するとこんなヤバい奴だったのか、とエロマ達は思い知らされた。
簡易死霊の常時同時50体操作、秘到外道魔法複数起動、火力特化魔法連打、ドレイン能力を悪用しまくった強制リソース削り、ラヴァーリザード討伐で得た“新しいオリジナルスキル”、そして謎多き『黒砂』。最後の方はどちらがボスなのかよくわからないビジュアルになって殴り合い、最終的にギリギリでノートが勝った。格上に相手によくやる相打ちではなく、ノート生存状態での勝利である。
その後、帰還して非常に機嫌悪そうなバルバリッチャに呼び出しを食らうというオチが付いたが。
そんなノートではあるが、あんな真似はもうやりたくない、疲れる、などと色々と述べ、改めてアサイラムとして黒の女王に勝つことを宣言。今こうして予測を立ているのだ。
※スズランと黒の女王は別です
感想見てて思ったんですけど、作中年表とか欲しかったりします?
一応言っておくとこの時点で作中1年経過してないんですけど
4月スタートで今2月です
ノート達のランクアップペースがだいぶヤバいのこれで分かりますよね
まあ毎回死にかけるような戦闘してるからなんですけど
あと設定ゲロしておくと、初期特持ちやその周囲のプレイヤーは熟練度上がりやすいしランクアップしやすくなったりします。




