No.Ex 対米鯖第三≠五臨時偵察小隊 ⑨
ゲリラだぞ
ようつべで公式が公開しているシャンフロを全履修してからみてね、ね
私はこれからランスシリーズを1から完走してきます。探さないでください
アメリカのプロゲーマーチームはこちらの様子を窺っている。
魔人バブゥさんが異質すぎて誰も話かけてなかったが、彼はあくまで原因の1つでしかない。
我の強いプロゲーマー達でも女帝は軽く絡めるプレイヤーではないという事なのだろう。
実際、彼女の強さはプロゲーマーから見ても脅威と感じると聞いたことがある。
彼女はゲームが上手いのは当たり前として、戦闘そのものに関わる全てに関してのセンスがずば抜けている。
何をやっても一級品。
大富豪で言えば常に手札にJ以上の手札しかないし、当たり前の様にJOKERを2枚とも持っている。
そのゲームが合っているから強いというより、どんなルールでも強いという隙の無さ。
本能的に正解を選び取る力が人間離れしている。正解に自分を近づける為の能力が足りている。
アメリカではないが、他の国のサーバーから入ってきたプロゲーマーのPK集団をほぼ一人で圧倒した事で彼女の名はプロゲーマーですら感知するところとなった。
「発言権、か。確かにな。それならば、実際にそっちの隊を指揮する者に声をかけるべきだろう。お前は付いてこないのだからな。そちらの方が建設的だ」
「あら、冷たいですね」
「保護者気取りはしないのだろ」
強い。
少し遊ぶように軽い言葉の女帝に対して魔人バブゥさんはあまりに揺らがない。
癖が強すぎて常に首根っこを押さえていないと何を仕出かすか分からなくて危ない検証勢を取りまとめている人物はこれほど図太くないとやっていけないのだろう。
PKの基礎をアサイラム統領が教わり、それは仲間内に教導された。彼からすれば女帝ですら間接的な孫弟子くらいの扱いなのかもしれない。
「あ゛ね゛ざん゛」
「ん、あとは任せるわよ」
「はぁ゛い゛」
思わず2人のやり取りに気を取られていると、いつもの間にか女帝の後ろから声をかける人が。
十字架が墓標の様に根元に突き立つ桜のエンブレムのメダルを首から下げるその人物の第一印象は、異質。
周囲に馴染み過ぎて何処でも登場しそうなギャルズ三姉妹と対極。影が薄くてぬるりと現れるような。
背は170後半くらいか。
声はガサガサで耳障りが良いとは言えない。
おまけに左目から首元にかけて大きな火傷痕のようなものがある。更に右の口元から右耳にかけては縫合痕のようなものが。縫合の糸に指輪を通していて頬が引きちぎれそうに見える。
見るだけで少し痛々しいその顔から思わず目を逸らしそうになってふと違和感を覚える。
この世界は質感がリアル過ぎて忘れやすいが、ゲームだ。容姿はプチ整形くらいの範疇でしか弄れないが、声は大きく変えられる。実際、その良い例が私の目の前にいる。リアルであったことはないが魔人バブゥさんは絶対にこんな幼い子供のような声ではないはずだ。
つまり、これは彼女、髪が真っ青なベリーショートで中性的な格好で声もガサガサの為に一瞬判断に迷ったが、恐らく彼女は意図してこのような声に設定しているのだろう。
「あ゛、こ゛れ゛?キャラ゛メ゛イ゛ク゛限界ま゛でいじった゛ら゛どう゛な゛る゛か試し゛た゛結果です゛」
思わず火傷痕擬きに目線を向け続けてしまうと、彼女はおどけるように笑って説明をした。
続けて声も色々拘った結果だと言った。リアルでは普通の声らしい。
なぜ?
VRでは多少自分をよく見せようと少しくらい容姿をいじったりはする。そうでなくても肌がツルツルなのでリアルよりも見栄えが良くなり易く、VR3割増しみたいな言葉がある。
それをあえてマイナス方面に持っていくプレイヤーはなかなかいない。
そもそもALLFOはそのようなリアルの火傷痕のような古傷は最初の時点で自動で消去される。ほくろはどうだったか忘れたけど。敢えて入れない限りはほくろも消えたような。
むしろ限られた容姿改変要素の中でよくぞここまで火傷っぽく自分の肌を弄れたと褒めるべきだ。ちゃんと近くで見れば火傷とは違うと分かるが、それでも遠めならわからない程度にはクオリティが高い。制限に引っかからないように微細な変更をし続けたのだろう。
声も絶妙だ。
耳障りは悪いけど聞き取りにくいのとは違う。
遠くからでも雑踏の中でも嫌でも耳が反応するようなノイズボイスと言えばいいのか。
「その縫合は……?」
「実験の゛一貫です゛ね゛。装゛備判定と゛か肉体改造と゛か調べきれ゛て゛な゛い゛ん゛で」
喋る度に頬に縫い付けられた指輪同士がぶつかりカチカチと微かな金属音を響かせる。
衣服もシャーマンの様に派手で、インディアンを思わせる風貌だ。
ただ、随所に青が散りばめられており、髪色と相まって青が好きなのだと感じさせる。
こんなインパクトの擬似化みたいな人がいるだろうか。
と思ったが、ベビー服にヤンキーズボンをはいてラトルを腰から何本も下げてサングラスかけてる髭面のムキムキおじさんが視界に入って考えを改めた。慣れは怖い。
「自分は目立ちにくいから、指揮をする為にも容姿と声を覚えてもらうように工夫した結果だそうですよ」
「それがお前の弟子か」
「ええ、このゲームで出会いました。名前はромокрыл。容姿を武器にするのは、貴方の思想にも近い発想ですよね?目立つ格好をすると言うと、ミゴちゃんもそうですよね?」
VRMMORPGはPCのMMORPGは近いようでいてまるで別物だ。
将棋とチェスだと近過ぎる。
大富豪とババ抜きでは少し遠い。
ポーカーと麻雀も少し遠いけど、先ほどよりは近いかも。
役を揃える、点数の1番高い人物が勝ち、と言う一番の肝は同じだけど、使っている道具も諸規則も違う。
容姿の良し悪しがゲーム内に響く。
単純なキャラ性能とプレイヤースキルより、周囲から好かれているかも一つの明確な力になる。
『見た目』と言う数値化できない要素が重要視される。
特に指揮官タイプにはわかりやすさが求められる。
アサイラムの統領と女帝。この2人はわかりやすい。集団の中にいても自然とこの人がリーダーなのだと理解させられるカリスマがある。自然と周囲が特別視する。
考えてみれば、先生もそのタイプだ。周囲が自然と従うような雰囲気を纏っている。
けどその様な才能を持っているタイプは極小数。
ならカリスマは後付けするしかない。世の偉い経営者がブランド物で着飾るのは何も金持ち自慢だけではない。その身分、職位にあった空気を身につけるために高級品という外付けアイテムを使用するのだ。
綺麗なスーツに綺麗な靴。一目で高級とわかる腕時計。磨き上げられた外車。
素人が観てもこの人は金持ちだと1発でわかる見た目をしておくのは大事な事なのだ。
故に常人の指揮官はある程度奇抜な格好でいた方がいい。
私の仮面は趣味の部分が大きいけど、巫女服は正直コスプレじみてて恥ずかしいという気持ちはある。それでも奇妙な仮面と巫女服というトレードマークは周囲の耳目を集めるのに役立つ。
彼女のこの奇抜な見た目も、恐らく私と近い発想。
けど彼女と私では心構えが違う。
ALLFOのキャラクリは最初の一度きり。
このアバターと声を作るにはキャラメイクの時点で設計するしかない。
つまり彼女はこのゲームをスタートする時点で指揮官を担おうとしていたのだと考えられる。
「あ゛ねさん゛に゛代わ゛って゛私が゛ウ゛チ゛の゛指揮は゛し゛ま゛す゛よ゛。全体指揮はUADDでい゛きま゛し゛ょ゛う゛。喧嘩し゛た゛く゛な゛い゛ん゛で゛す゛よ゛こ゛っ゛ち゛も゛。そ゛ち゛ら゛もUADDと゛仲゛良゛いって゛わ゛け゛じゃな゛い゛ん゛で゛す゛よ゛ね?」
最初に女帝が魔人バブゥさんに話を振って、その答えが返る前に私に矛先をスライド。私が急な方向転換に返答を一拍遅らせてしまうとその空白を埋める様にグリモクロールさんが発言した。
今のはワザと?
打ち合わせ無しの連携なら空恐ろしい。
喧嘩をしたくない。
グリモクロールさんの目線の先に居たMCさんは黙り込む。
確かに彼女達の立ち位置は微妙だ。
彼女らはアメリカ第1位の勢力。UADDは第2位。本来手を貸す間柄でもない。むしろ方針が合わなくて仲が悪い。
それを取り持っているのは日本第1位の生産組組合。
女帝陣営はロシアの第1位とまで言えるほど圧倒的な戦力ではないが、彼女がトップにいるだけで幾らでも盤面をひっくり返しかねないという嫌な信頼感がある。
むしろよくこんな火中の栗を拾う様な案件に彼女達を引っ張り出したギャルズ三姉妹の手腕に驚くべきなのだろう。
「はよ出発しよーよ!」
「パッといって荷物お届けして帰ろっ!」
「キミがリーダー?はいじゃせーのっ」
「「「レッツゴー!」」」
「えっ!?ってかあんたら誰なの!?」
上位陣の間で牽制し合う様な空気になりかけていると、割り込んだのはギャルズ三姉妹の明瞭な声。
彼女達はUADDの指揮官の腕を取ると、容赦なく先頭へ引っ張っていった。
結局このやり取りが決め手になりこの輸送部隊はUADD主導で出発した。
またネームド増やしたなお前
覚えらんねーよという声が聞こえます(幻聴)
ぐ〇とぐら
で覚えてください。青いのが〇りです
はい、覚えましたね
だいぶスチームパンクしたぐ〇です。
ね、簡単でしょ?()




