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No.312 タイプ14


 ノートはオロチの悪魔生成を実験する上で、吐き出せる悪魔の型に番号を割り振った。オロチの悪魔は動物をモデルにしていると思われる物もあれば、全く関係ないタイプもある。一応種族名がそれぞれあるらしいが、長ったらしかったり複雑だったりで一々呼んでいられない。その為、オロチと共に悪魔に関してはある程度番号によって管理することでまとまった。


 タイプ14。腕に大きなシールドを付けたカナブンの怪人の様な悪魔。緑色のボディが特徴だ。ノート達のランクアップに伴いバルバリッチャが追加で使用を許可した新しい悪魔である。パワーとタフネス、シールドバッシュだけのシンプルな怪人種悪魔だが、対Heoritの物理型相手でも一歩も引かずに受け止めた。そしてその後ろに魔法を使える死霊をセット。タイプ14にガードさせてそこを魔法で滅多打ちする。この魔法を槍に変えた物が昔の戦争では強力な戦術として使われていた。


 タイプ18。白と黒の牛とエイとナメクジを混ぜて二足歩行にした怪獣型。電撃と闇のビームを使いこなし、近接戦闘もそこそこできる攻撃型タイプだ。動きがちょっとゆっくりな事だけを除けば非常に優秀なアタッカーとして機能する。


 タイプ31。虫と人をかけ合わせた六脚の怪物。脚が長く、体は細く、頭はヤギと肉食獣の頭骨を足しで1.3で割ったような見た目で、体から白い煙がたなびいている。それは湯気ではなく、冷気。雨が触れた先から凍り付き、ぽろぽろと氷の粒が地面に転がる。怪人、怪獣ではなく、怪物。異形なる者程異質ではないが、悪魔の中でもかなり悪霊系に寄っている。能力は凍結。触れた物全てを凍り付かせる。この雨の中を歩くだけで地面を凍り付かせて息を吐けば周りの水を巻き込んで体を凍らせる。


 タイプ34。蠅。甲冑を着せて更にカッコよくデザインが整えられているが、そのモデルが蠅であることはなんとなく察する事ができる。蠅に少し竜のエッセンスを混ぜたような個体で、対空部隊の要。その蠅の背中の尖った部分にノートの召喚した死霊達が掴まってタイプ34の更に上からの攻撃を迎撃する。なんちゃって蠅悪魔ライダーだ。


 オロチの作り出す悪魔はノート達のランクからすると少し弱いくらいのレベルで調整されている。得意技だけならなかなか強いが、何かしらのデメリットを抱えているのだ。しかし悪魔を単騎で運用しろとはバルバリッチャには言われていない。なので自分の死霊と組み合わせる形で運用して弱点を補う。

 戦術の幅の拡張の基礎は組み合わせだ。単騎では1の兵士も、別の兵士と組み合わせることで10の兵士に化けさせることが出来る。ノートはいつもそうだった。自分の持つ才能(カード)はどれも平均的な数値のカード。必殺技にならない。けど別のデッキや装備カードを組み合わせる事、それを同時に展開しコンボを組むことだけには自信があった。

 単騎でもパラメータ平均値の癖に機転だけで何かを仕掛けてくる不気味さがあるのに、ソイツに手札を与えたら。ノートをよく知る人ほどノートに数の力を与えてはいけないとよく知っている。鉄くずですら何かしら使い道を見つけて武器にして襲いかかってくるのだ 

 

 そんなノートにとって、死霊達とオロチは最高の組み合わせだった。

 オロチは一応ネオンが召喚主だが、契約上アサイラム全員に従っている。なのでノートもためらいなく指示出しができる。悪魔達も直属の創造主ではないノートの言葉をちゃんと聞く。

 

 何故か。悪魔達はノートが纏う大悪魔の威光に本能的に従うのだ。

 決闘により大量に魂を確保し、聖女を事実上完全に撃退した。ハロウィンイベントで大きな難行を超えてノートはランク40の壁を超えた。ノートの器が十分に育ち、贄も足りた。

 それにより、バルバリッチャが更に進化を遂げた。ノートの意思とは関係なく、イベント中お籠りしてるとはタナトスから聞いていたのだが、ちゃっかり進化していた。

 それによりノートのメイン装備も進化した。

 

 『カースドアンドカースブラッド/ギフト・バルバリッチャ』。

 バルバリッチャが初めての進化時に親愛の証としてノートに与えたギフトだ。そのギフトの持つ『主従共鳴』の効果が発揮されこのギフトも連動して進化した。デザインもかなり変わり、ローブらしさは残しつつ真紅と黒を基調とした軍服っぽくなっている。というより、変形能力を手に入れているので軍服モードとローブモードの切り替えが可能になっていた。

 大悪魔の力が籠められたこの装備には悪・闇・死・呪を強化する力がある。その強化性能はフィールドが闇に近いほど、夜であるほど効果を発揮する。

 荒れ狂う暗夜の中で仄かに真紅に光るノートの姿は悪魔達にとってみれば大物悪魔に近い。悪魔は残忍な思考形態をとるが、『力』には素直に従う。悪魔達にも悪魔らしいと太鼓判を押された男は大悪魔の力を纏い悪魔と死霊を率いて押し寄せてきた魔物達を押し返す。


 プエブレスヴァ峡谷に現在出現している敵性MOBは主に獣型と虫型、恐竜、その他に分類できる。

 元々並みのゲームよりえげつない量の魔物が存在しているALLFOでは初期のエリアですらまだ全ての種類の生物が見つかっていないと言われているほどで、その手のファンタジー生物大好きで調査&データ化好きな生物狂いの検証勢たちが日々調査を続けている。ノート達のほぼホームと言える深霊禁山ですら未だにノート達でも普通に「あれ?これ新種じゃない?」という敵に出くわすことなど珍しくなかった。その程度にはALLFOの生物の種類は多い。

 最もレパートリーの多さを感じたのは初めてイザナミ戦艦を動かした時だろう。イザナミ戦艦が漁を行っただけで膨大な量のドロップ品が回収されたが、そのドロップ品に付随する生物の情報を纏めようとしてヌコォが僅か30分で匙を投げた程度には種類がありすぎて、根性の鬼であるネオンですらも「これは終わらないと思います」と白旗を上げたほどだった。無論、分類だけしていいなら何百時間かかってもやっただろうが、ネオンにはそれ以外にやらなければならないこともやりたいことも沢山ある。優先順位的にやはり後回しにせざるを得なかった。


 ではこの大渓谷はどうか。このエリアには雨風吹き荒れる暗夜の中でもわかるほどバラエティー豊富な敵性MOBがいた。

 壁によくいるのは非常に大きな角を持った大角ヤギ。ほぼ断崖絶壁と言うべき崖をスイスイ登り、角を光らせて魔法を撃ってくる。

 素早さと攻撃力を兼ね添える物理アタッカーで言えば、ライオンをモデルとしているであろう敵がチラホラ見つかっている。鱗が有ったり角が有ったりとライオンにもっとファンタジー要素を入れた見た目だが、動きは大型のネコ科のソレだ。集団で襲いかかってくる点もライオンを感じさせる。大きさも足から肩までの体高2m級が普通でそんな巨体が軽々と崖を走る。

 そのほかにも大きなずんぐりとした鼠や、蝙蝠。Z級映画1本作れそうな人食い大蛇。崖と崖の間を飛んで動く大きな肉食ムササビ。毛深くて巨大な馬っぽい何か。バカみたいなスピードで移動する50㎝程度のカエルっぽい魔物。その他にも今まで適当にキサラギ馬車をかっ飛ばしているだけでも20種類以上の獣型確認されている。

 一方虫型。こちらも負けていない。岩石を身にまとったクソ堅いしデカイ蠍。硬い殻に覆われた赤さび色の芋虫。殻に入って転がってくるデカイカタツムリ。壁に張り付いていて急に襲ってくる真っ黒な大蛞蝓。崖の間を糸で移動するクモも発見されている。

 どいつもこいつも激しい生存競争を勝ち抜いてきたのか並みの動物系の敵性MOBよりも強い。何が凄いって、これだけの種類がいても、現在出現している敵性MOBは夜行性タイプでしかないという事。ALLFOは昼夜や気象に合わせて出現する魔物が変わる。夜活動する敵性MOBだけでもこのフィールドにはこれだけの動物系が存在するのだ。

 一番存在感を発揮しているのは深霊禁山と地下帝国を隔てる『霧の森』でも目撃された恐竜タイプ。どうやら暗がりでも動いている所を見るに「目」ではなく「耳」で外界を認識しており、他の敵性MOBを踏みつけ、蹴飛ばしながら迫ってきた。サイズ感も他より大きいことから、キサラギ馬車ですら真正面からの衝突は避けたほどである。岩をサッカーボールか何かと勘違いしてるのかこちらに向けて勢いよくキックしてくる脚が発達したタイプや、大きな口を広げてなんでも丸呑みにしてブクブク膨れ上がるデブ恐竜。

 そしてこれらのかけ合わせたような、合成獣(キメラ)もいる。このキメラタイプは運動性能も高いし火を噴いたり地面を叩いて魔法で陥没させてきたりと色々なファンタジー攻撃を繰り出してくる。



 だが、それだけではない。このフィールドには何か動物系とは別の物も彷徨っている。


 凡そ哺乳類とも、昆虫とも、爬虫類とも、恐竜とも違う何か。

 奇妙に回転する細長い幾何学模様の様な化物。それが暗い空の中を超スピードで泳ぐように移動する。これにも動きやフレームを中心に広がる幾何学模様に応じて飛び方やスピードに違いがある。どうやら感知系の能力からある程度掻い潜る力があるらしく、感知されるギリギリのラインからトップスピードで突撃してくる。非生物的な見た目らしく思考形態も非生物的で、自分の存在を追ってくる敵程優先的に攻撃をしてくる。

 それ以外にも空中を漂うクラゲじみた怪物。大きさは直径4m級。クラゲの下の部分からは触手ではなく真っ黒な長い人の様な物が多くぶら下がっていた。手足の先を両方から引っ張られて不自然に伸ばしたような身体のホラー出身の人型がはためき、下で生きている生物たちへ腐食性を持つ唾を飛ばしてくる。

 

 動物、昆虫、そしてホラー。現在この大峡谷にいる敵性MOBは主にこの3種が存在していた。

 このホラータイプは上記以外にも存在し、その全ては飛行していた。嵐一歩手前の雨風の中でも普通に空を飛べる時点で普通の存在ではない事をホラー種は示していた。悪魔死霊連合はなんとか通常の敵性MOBはなんとか押しとどめていたが、このホラータイプだけは強さが1つ2つ格上だった。

 それを処理するのがこの悪天候の中でも狙撃ができる鎌鼬とレクイエム。深霊禁山から産出する霊属性持ちの金属を使った特殊な弾丸を使い鎌鼬は次々とユラユラと非生物的な飛行パターンを見せるホラータイプ達を撃ち落とす。ホラータイプは攻撃にパラメータを振っているので耐久力は極端に高くないのだ。化物狙撃銃で弱点属性の弾丸+スキル併用でど真ん中を撃ち落とせば倒せる。しかし半端に撃ち抜くとホラータイプは激怒して残りの命を燃やしきらんばかりの勢いで攻撃を仕掛けてくる。その緊張の中でも鎌鼬の照準に一切の狂いはなかった。

 狭い通路ではイマイチ強さを発揮しにくいため防衛側に回ったネオンの場合はチマチマ狙いを定めるまでも無く魔法を解き放ち、下の獣諸共ホラータイプも纏めて吹き飛ばしていく。


 そしてそのノート、鎌鼬、ネオンを守るのはノートのメイン死霊達。

 アシュラが切込み隊長として突撃。メギドがヘイトタンクを担い、応用力の高いクロキュウが中衛でノートの指示を受けながら戦況をコントロールする。そして元気に走り回り虫を踏み砕き獣を蹴り殺すキサラギ馬車。危険になったら召喚解除で緊急回避ができる。決闘で大暴れし、猿の要塞でも頑張り、Heori戦でも多くの死線を潜り抜けてきた歴戦の兵士たちなのだが、召喚生物の特性としてパラメータは殆ど成長しないし死霊のせいで殊更新しい技能の習得が遅い。

 メインだろうが召喚解除で緊急回避できるし逆にいきなり戦地に召喚できるために召喚術師は傍から見るとあまりに面倒でクソみたいな存在なのだが、召喚術師サイドに立ってみると「メイン兵器たちが幾ら使い込んでもほぼ成長しません。使用者が上手く使いこなすだけです」の状態なので、同じように「お前らズルくない?」と言われがちな調教師たちに対しては「お前らって育てたらちゃんと強くなるからいいよね…………」とジェラシーの念を抱く。逆に調教師たちは「お前達メイン兵装ぶっ壊れそうになったら直ぐに緊急回避できるし、そんなメイン兵器を目の前にいきなり出現させたり、相手の後ろに召喚して不意を付けるの狡くない?」と召喚術師ズルいなぁという不満を持つ。


 現状、ノートが召喚術の強さとクソさの両方を理解しているのは間違いない。メイン戦力たちは殆ど成長しない。それでも活用させるために使用者がデッキをアップデートするのだ。その分、進化した時の爽快感は召喚術師が頭抜けている。極端な例えだが、一気にランク10上がったようなものだ。調教師の生物たちプレイヤーと同じく一歩一歩強くなっていく使い魔に対し、召喚術師の使い魔たちは成長しない分その間の戦闘経験を全部蓄積し、進化した時にそれが一気に跳ねる。

 事実、召喚素材も相まってレクイエムとシロコウをぶつけたら、レクイエムは本来殺しきることが非情に難しいシロコウを全て食い漁り一方的に殲滅できる。その程度には格が違う。

 

 だからこそ、今は我慢。例え強くはならなくても、沢山の戦闘経験を積ませることに意義がある。ノートが操れば単なる死霊も一騎当千の将に変貌するのだ。強くならないのならノートがサポートする魔法をより習得すればいい。

 外はノート達が食い止める一方、穴の中に突入したヌコォ達もまた激しい戦闘を繰り広げていた。

 





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― 新着の感想 ―
[気になる点] >これは思わらないと思います なんか違和感を感じました 終わらない? あっていたらすみません
[良い点] 更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 [一言] 雨の中の激戦⋯⋯ これのクソな所は永遠に続きかねないところですかね?
[一言] ノートなにげに悪魔特効もってるんだな クラゲのやつ夜廻にいそうな見た目だな
感想一覧
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