No.Ex 第4章余話/男同士
「ゲリラやり過ぎで余暇の時間が全部消えてるのビビってる奴いるぅ!?(実家にゲーコン持ち帰ったのに何も出来なかった正月)」
「仕事始め明けの三連休なのにスケジュール見て日和ってる奴いるぅ?(山積みの積みゲー)」
「いねぇよなぁ!!?」
༼;´༎ຶ ༎ຶ༽ゲリラするぞ!!!
紆余曲折あったものの、契約終了するとザガンは深々とノートに頭を下げた。
『『では、契約が結ばれましたので貴方は正式な当方のマスターですね。よろしくお願いします。それと、正式なマスターになったことに伴い、当方のことは呼び捨てで構いません。口調ももっと砕けた感じでお願いします』』
そうでないとバルバリッチャ様に申し訳ありませんので、という副音声が聞こえてきそうなザガンの言葉。正式に契約を結ぶとザガンは細かい部分について詰めてきた。
「了解、それじゃ今後ともよろしく、ザガン」
『『はい、よろしくお願いします。それで、確かお酒に関しても協力するとの事ですが、この形態では人間の味覚とはかけ離れるので少々御相談があるのですが…………』』
「ああ、成程。それで、相談って?」
見た目はペストマスクをつけたシャープな黒スライム。そもそも口があるのかというビジュアルで、ザガンの言葉は真っ当だった。むしろ味覚が無いのに料理が作れてるスケルトンのタナトスがおかしいのである。
『『1番手取り早いのは、マスター達の情報を読み取って人間の形態に一時的に変身することですね。そうすれば人間の味覚とかなり近い状態に近づけることができます。それでマスターに確認しておきたかったのですが…………』』
ザガンの2つのペストマスクが中庭を見渡す。手前には絶世の美女のバルバリッチャ、下には可愛らしい見た目のアグラット(半泣き&蓑虫継続中)。少し後ろのベンチではタナトスの用意したお菓子を和気藹々と食べながら駄弁ってるユリン達美少女、美女軍団。
そこにシレッと混じってるアテナもネモもビジュアルは結構人間から離れてる部分はあるが一般的には明らかに美女の部類に入る。
一方で後ろの方でふよふよ浮いてるグレゴリは完全に性別不詳、不参加のメギドは性格的に男っぽいが此方も性別不詳。明確に男と言えるのはタナトスとゴヴニュだけだが、タナトスに至ってはスケルトンで性別があまり関係なく、メギドと同じく不参加のキサラギ馬車はそもそも本体がどれかわからない。
圧倒的女性率の『祭り拍子』を見渡し、女性陣のノートへの接し方を見てザガンはふむと頷く。
『『悪魔は基本的に性別がないか、雌雄同体のどちらかと言いますか、人間のソレとは少し異なるのです。ですが人型化する際は性別は固定化したほうが安定するので如何しようかと。勿論マスターがお求めなら女性に変身して「男!絶っっっっっ対に男!変な気は使わなくて大丈夫だ!! 男同士仲良くしよう!!」』』
「すごいデカい声だったな」
「ノート兄さんの必死さを感じた」
「女性型だとどうなるのかしら?」
「疲れた感じの渋い男の人と、おばーさんの声だから〜女になると、魔女のおばあちゃんとか〜??」
「それは……少し、見てみたいです」
「声ダブって聞こえるのボクの気のせいじゃなかったのかぁ」
「あんな必死そうな御主人サマ、初めて拝見しまシタ」
「ふふふ〜性別でぇ、味覚も変わりそうでっすよねぇ〜」
「「「確かに」」」
女をこれ以上増やすものかというノートの強い意志により、ザガンの性別は完全に独断で男に決定された。後ろでユリン達が茶々を入れてきたが、ネモの指摘した味覚の件に関しては確かにと思いつつもノートはザガンを男にすることは譲れなかった。
『『承知しました。では男に変身しましょう。一応お伝えしておきますが、男に決定したからといって2度と変身ができない訳ではありません。もし女の形態に御用であればお声がけを』』
そういうとザガンの周りで黒い稲妻が走り、黒くブクブク動く身体が泡立ち、ペストマスクが変形し、泡がパチパチと割れて、最後に一気に割れる。
すると、青目のペストマスクをつけて黒い毛皮のフードマントを羽織った蹄脚で長身細身の男がそこに居た。
因みに緑目のペストマスクは小さくなり、ネックレスの様に首から下げられている。
見た目はマッドサイエンティスト感ある怪しげなシャーマンだ。
『『こんな物でしょうかね。感覚野を寄せる事を重視してみました』』
「いや、マスク」
ちょっとカッコいいな思いつつも、ノートはペストマスクつけっぱなしのザガンに思わずツッコミ。相変わらず顔が見えないせいで怪しさ大爆発なザガンにどうして我慢が出来なかった。
『『いえ、これは最早体の様なものでして。何か飲んでもいいものとかありますか?実演します』』
そういう事ならと給仕中のタナトスにジュースの入ったコップを持ってきてもらい、ノートはザガンに渡す。相変わらず10本指の白手袋付きでちょこちょこ人間とかけ離れてることが多い。
ザガンはコップを受け取る。さてそのマスクでどうやって飲むつもりだ?とノート達が見ていると、唐突にペストマスクの嘴の部分がバクリと四等分に裂けて花の様に開いた。しかも内側にはビッシリ歯が生えており、噛まれたらどうなるか想像もしたくなかった。
その四つに裂けた嘴の奥から棘の生えた槍みたいな物が出てくるとゴクゴクとストローの様にジュースを吸い上げる。
かなり癖のあるやり方だったが、一応飲み物を飲むことはできる様だった。
『『言い訳でしかないのですが、当方は変身が専門ではないので完全に人型になるのは難しいのです。人寄りの素体ありきのバルバリッチャ様や、変身能力にかけては全悪魔の中でもトップクラスのアグラットさんでない限りここまで綺麗に人に変身はできないのですよ』』
「魔王と言っても万能ではないと」
『『普通は別の体組織の生成自体が高難度なんですよ』』
「確かに」
アニメだと平気で別の存在に変身するシーンが存在するが、冷静に考えると確かにアレは物凄い高度な技術だとノートも納得する。
ふと下に目を向けると未だに不可視の紐で縛られて床に転がってるアグラットがちょっと得意げな顔をしてノートを見ていた。
「でもアグちゃんはオツムがちょっと……」
実際問題余計な悪さをして現在進行系でその罰を受けて魔王とは思えない恥ずかしい状態になってるアグラットを見てノートの口から思わず本音が溢れる。
最近大人っぽいフォームを見ただけに余計にちんまいモードのアグラットが残念に見えた。
するとアグラットはフレーメン反応状態の猫の様な驚愕に彩られた表情になり、ブッと噴き出したザガンは顔を背けて肩を振わせる。
アグラットは自分の尊厳、沽券に関わると感じたのか瞬間顔を真っ赤にしてジタバタ暴れながら何かを叫んでいるが、バルバリッチャに声まで封じられているのか何も聞こえない。
どうやら下手に声を出させるとノートに懇願しそうだとバルバリッチャに読まれて声を封印されたらしい。
「ごめんて。大丈夫、アグちゃんの可愛らしさはウチに必要不可欠だから。まあ、その地位さえも脅かしそうな物がずっと目に入ってるんだが…………ザガン、いい加減説明してもらっても?」
ノートの視線の先、ザガンの背後には7人のちんまいガールズがビシッと整列していた。
身長は大体高学年には見えない程度の大きさ。全員モコモコの服の可愛らしい服を着ており、頭部に人間のソレとは違う獣っぽい耳がピコピコと動いていた。
『『この者どもは当方の直属の部下です。当方が此方に常駐しない代わりの小間使いと考えていただければ。見た目は幻惑でマスター達に不快感を与えない容姿を模しておりますが、全員名無しながらも一端の悪魔です。指揮権はマスターに譲渡致しますのでお好きな様にお使い下さい』』
見た目は俗に言う獣娘。
それぞれモデルの獣がいるらしく、後で詳しく調べてみたところそれぞれ鴉、狼、猫、羊、栗鼠、兎、狐に形状が近かったが、ザガン曰くあくまでモデルが近いだけで実態は違うとのこと。
取り敢えず比較的人に変身するのが上手くてそこそこ使える奴だけを選んで連れてきたらしい。
ノートに自由に使っていいと言いつつも、おそらくバルバリッチャの小間使いも兼ねているのだろう。こう言うところがやはり卒が無いというか、アグちゃんとは違うよなぁ、とノートはしみじみと思うと同時に、とある本音を飲み込んだ。
名前考えるのめんどくさ、それに女性比率が跳ね上がったんだが、と。
後でザガンから聞くに、召喚主が男なので悪魔達には女性の形態を取らせたそうで、本人としては気を効かせたつもりだったらしい。
可愛らしい見た目の獣っ子達がアピールする様に一斉にズキュウウウン、メメタァ、ゴゴゴゴゴと言った謎の擬音が似合いそうな謎ポーズをとり、女性陣が黄色い悲鳴が上げるのを聞きつつ、どうしてこっちは性別を選ばせてくれなかったんだと悪化した女性比率に対してノートは密かに頭を抱えたくなった。
因みに女性が増えたのはAIの嫌がらせだ。ノートが然程喜ばないと分かってのケモノっ子である。(なお犯罪を助長しない為にロリッ子に興奮するプレイヤーにはロリッ子は近づかなくなる為、AIがその手のキャラを与えたプレイヤーはその気がないプレイヤーだと考えてOKです。「求めよ然れば与えられん」の真逆なシステムなんです。酷いね。アグちゃんは例外ですけど)
最近100万文字がどうこう言ってた気がするのにもう10万か……………
それとギガ・スタンピードのリザルトにネオンを入れ忘れるというとんでもポカをしてたので追記しました。本当に申し訳ない




