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No.140 (´・ω・`)わかりゅ?

(´・ω・`)前回スレにいたプレイヤー達はまたプレイヤー図鑑にして設定厨隔離施設に入れとくね

(´・ω・`)それ読んでスレ読み直すともっと面白くなるように頑張ります



「えっ、マジか」


「どしたん?」


「なぁに?」


 黒騎士突破作戦から数日後。得た物は途轍も無い物だったが、代償は非常に大きかった。

 特に痛かったのがユリン、スピリタス、トン2の3人が受けた特殊なデスペナ。前衛担当3人が全員不調となれば探索もままならない。しかも旗を奪って以降、何故か敵MOBも黒騎士も全力でノート達に襲いかかってくるせいで中立エリアから赤月の都側にまともに出れないというとんでもない状態に陥っていた。


 数日開けてデスペナはある程度解消されたものの旗の問題は解消できなかった。

 『旗』は強力な反面、所持している限り赤月の都内ではヘイトの集中が強くなりすぎる効果も持ち合わせているらしい。せっかくミニホームを赤月の都の中立区域に移動したのにノート達は悔し涙を飲む事態となった。

 

 よって次に行く場所も目的もなかなか見つからない状態が続いたのだが、その期間を利用して皆もホームで色々と作業していた。半分はノートに会いに来ていたというのが女性陣の本音だが、ノートもできるだけ顔は出すようにしていた。

 今日も今日とてドロップ品を整理、裏スレでカモを吊り上げ愉悦に浸りつつ、適度に情報をばら撒き実験体を遠隔調達して、死霊達や悪魔勢とコミュニケーションをとる。


 休憩がてらノートがソファに座り色々なスレをつらつら見ていると、横に座ったユリンがノートによりかかるように座り始め、トン2が後ろから抱き着くようにして覗き込んでくる。

 慣れた様子でそのまま生産や攻略などお気に入り登録してあるスレッドを巡っていると、ノートも無視できない情報が流れていた。


「攻略組がようやく1章のシナリオボスを発見したってよ」


「え、ほんと!?」


「ふぅん?それ黒騎士ちゃんより強いかな?どうかな?」


「多分、トン2の期待してる強さとは違うと思うぞ」


 オンラインゲームではシナリオを進めるうえで通常のボスとは異なるボスが用意されることがある。いわゆるイベントボス、プレイヤーにとってはイベントボスの出現はお祭り開始の合図でもある。

 ゲーマーとしてユリンは非常に良い反応を見せたが、トン2は黒騎士がいたく気に入ったらしく関心は薄い。だが、黒騎士再戦への大きな一歩になるかもしれないと言うと反応が少し変わった。


「ただ、場所はナンバーズシティを挟んで真反対だな。一応、ギルドのNPCからも其方が正規ルートって示されてたらしいし、ようやくって感じだな」


 一応、ノート達のいる深霊禁山方面へ攻略を進めていた物好き、逆張り攻略組もいたらしいが、移動手段が未発達で進行速度は亀の歩み。

 道中のボスを倒して安全なエリアを確保しつつ、それ以外を殆ど無視して強引に進み、ようやく1の森と2の森の間の中立エリアに到達したようだ。

 殆ど用意もせずヒーラーも無しでノート達の元へ自力で辿り着いたトン2と鎌鼬が如何に規格外なのかがよく分かる。


 件のプレイヤー達はテイマーを中心にしたパーティーなどで、騎乗型の魔物をテイムして結構強引に進んだらしい。ノート達と比較すれば遅く見えるが、参加者が軒並みランク5以上まで到達したという報告を見るに相当苦労したことは察することができる。


 ノート達がキサラギ馬車で横着をした一方で着実に進めた者はそれ相応の成長を遂げたというわけだ。

 だが、結局はボスの位置が逆方向だったので今は慌ててシティの方へ戻っているらしい。逆張りの代償はデカい。

 

 ノートとユリンが場所を移動させられる時、ノート達の移動先として示された場所には少し偏りがあった。おそらくプレイヤー達の進行方向に置かないようにしたのだろう。推奨ランクもこちらの方が高かったし、ノート達は元からルートが逆方向であることは何となく知っていたが、このまま蚊帳の外というのもちょっと癪だ。


「キサラギ馬車の踏破力を考えれば特に苦労せずに行けなくもないが、うーん…………」


 だいぶ下火になったが、反船イベントが日本サーバーに残した爪痕は非常に大きかった。

 今のノート達が乗り込むと少し騒ぎになるかもしれない。そう考えると安直に参加をするわけにもいかない。身から出た錆だが、少々面倒でもある。

 だがこのお祭り騒ぎに参加しないのも大きなマイナスになりそうだ。


 まだ開始まで時間はありそうだがどうしたものか、ノートが腕組みして唸っているとワールドアナウンスが発生した。どうやら正式にシナリオが進んだらしい。

 

 色々と書かれていたが、重要なポイントはそう多くない。

 流れとしては、まずボスとの決戦場所に一定数以上のプレイヤーが到達することでイベント開始する。イベント期間中は決戦場所の周りは大規模なキャンプ地となるので簡易セーブポイントとして機能する。

 なんとも親切である。

 キャンプ地の周りには特殊な魔物や資源も出現するし、キャンプ地では拠点設営や出店を展開することが可能らしく、プレイヤーへの貢献度でも別途報酬があるので生産職も気軽に参加できるイベントとなっているようだ。


 海外からの情報だと、スタンピードという突発イベントでキャンプ地に魔物が一斉に押し寄せることも多いらしく、その防衛でも生産職は貢献できるらしい。

 まだ戦闘慣れしていない新参者もスタンピード防衛側に参加すればある程度活躍できるらしいし、バランス調整も悪くないと言える。


 イベントの終了は時間制限で決まってはおらず、ボスの撃破数で決まるらしい。面白いことにボスは一度倒しても何度も再戦できるようだ。この撃破数が一定数を超えることで1章クリアとなる。

 ただし、時間が経過するほどにスタンピードの激しさが増すらしく、のんびりやってるとキャンプ地が崩壊するらしい。そういう点では緩やかな時間制限があると言えるだろう。

 アメリカや中国では大体リアル時間で1週間程だったらしい。というより1週間前後で攻略組が全力で待ち構えても厳しいほどのスタンピードが起き始めるとの事である。


 さて、その件のボスだが、ボス戦はたくさんのプレイヤーが参加できるらしい。

 最大参加人数は100人で、同時並行で参加登録したプレイヤー人数が特殊なフィールドに移動させられボス戦となる。

 一度ボスを倒したプレイヤーでも再度ボス戦に参加は可能だが、参加人数や参加者のランク、ボス撃破数などに応じてボス側も強化されるので、効率よく何度もボスと戦いたいなら色々と知恵を絞る必要があるそうだ。


 ただ単に頭数を揃えても攻略は困難。となればメンバー厳選も難しくなるだろうし、ライト勢は如何にそこに食い込むかもイベント攻略の鍵となるだろう。


 概要を見ているだけでも非常に楽しそうだ。

 しかしリスクと快楽、利益を天秤にかけてノートは眉を顰める。

 変装するか?しかしそもそもキャンプ地に自分達は入れるのか?全員の予定は合うか?勝算は?


 揺れる天秤は決め手がなくフラフラと揺れる。

 これだけだったらノートも最後まで迷っていただろうが、ノートはメールボックスにもう1通メールが来ている事に気づいた。これも運営からだ。

 そしてその内容を読みノートは瞠目した。


 内容はイベントに関わるものだったが、明らかにノートの様な人物のみに宛てられて書かれた特殊な内容だったからだ。


 まず、キャンプ地は中立エリアと同じ扱いで性質関係無く立ち入りが可能らしい。つまりノート達やPKプレイヤーどももボス戦への参加は可能という事だ。

 加えて、参加人数のカウント方法に於いて一部職業は特殊なカウントをするらしい。


 その通知の中に同封されていた文面を開くと、召喚術師系統に属するプレイヤーのみに適用される変則ルールが掲載されていた。


 まず召喚術師は普通に1人分とカウントし、本召喚の使い魔1体につき更に原則0.5人(召喚者との相対的な強度で増減アリ)としてカウントを行う。

 つまり召喚術師に属するプレイヤーは、自分1人だけ参加しようとしても2、3人分の枠を埋めてしまうという事である。

 

 ちょっと厄介な縛りだが、ノートは特段おかしいとは思わない。召喚術師や調教師は簡単に頭数を揃えることができ、しかもある程度成長していると単騎で他のプレイヤーと競るような個体を複数有することができる。

 しかしそれで召喚術師や調教師が無双し過ぎたら他の人の出番が減る。それでは他のプレイヤーは面白く無いだろうし、どんなイベントも大量に召喚術師や調教師を用意するれば数の暴力で押し切れる様になりかねない。

 それを調整する為に変則カウントを導入してきたと考えるべきだ。


 恐らく調整が入っているのは召喚術師だけでは無い事はわかるが、その手の情報はスレに流れていない。どうやら開発はプレイヤーに職業のネタバレをあまりしたく無いらしい。

 それもそのはず、この情報をオープンで公開したら色々な職業がある事が判明してしまうし、調整の入っている職業は強いとか安直な勘違いをするプレイヤーが発生する事は予測できる。

 それはALLFOから多様性を奪いかねない。


 因みに、ノートに発生した調整は思わず笑いたくなる物だった。


――――――――――


バルバリッチャ:35(召喚時100)

キサラギ馬車:2.5

タナトス:0.5

アテナ:0.5

ゴヴニュ:0.5

メギド:1

ネモ:1

グレゴリ:1


合計調整枠:42

――――――――――


 バルバリッチャは召喚しなくてもデフォで35、召喚した時点で制限人数オーバー。バルバリッチャ関連で露骨に縛ってきた。しかし元々バルバリッチャに戦ってもらう気は無かったから特に問題は無い。


 ただ、バルバリッチャ以外も大概だ。生産組のはずなのに通常カウントされているタナトス達はまだしも、メギド達はプレイヤー1人分換算。キサラギ馬車に至っては超えている。

 問題は召喚してもしなくてもこの制限が発生している事だろうか。

 

 更に、初期限定特典持ちはデフォで2人分換算となるという通知も来ている。この通知はユリン達にも送られただろう。

 つまり、ノートは一人で参加しても死霊枠と合わせて44人分の枠を一気に潰すことになる。


 そして制限はアグラットの召還主であるネオンにも適応されるだろう。となれば、アグラットをバルバリッチャと同等と考えると『祭り拍子』がフルメンバーで参加した時点で100人の枠の内、ノートが44、ユリン、ヌコォが2、ネオンが37、スピリタス、トン2、鎌鼬で1、合計88人の枠が埋まる。


 いや流石にカウントがおかしくないか?とノートも一瞬首を捻ったが、戦闘に参加させなくてもバルバリッチャやアグラットが今まで『祭り拍子』に齎してる恩恵は絶大だ。

 ノートのメイン装備であるバルバリッチャのギフト、異常な能力を誇る仮面、時空間を無視したミニホームの拡張、それにより供給される現状では絶対に入手不可能なレベルの食糧の調達、バルちゃんナイフ、余次元ボックス(サイズを無視した物の収納を可能とする箱)などなど――――――バルバリッチャが直接戦闘に関わってない範囲でノート達に与えている恩恵は、他のプレイヤーが知れば暴動が起きるレベルの物だ。


 法外な力には法外な制限を。出来るだけ公平な世界を。

 AIが計算した上で出した答えならこれが正解に近いのだろう。


 納得はしつつも一応GM宛のメールで「正気か?嘘でしょ?もう少し温情寄越せよ。(´・ω・`)わかりゅ?」という内容を非常に丁寧な文面にしてゴネておいたがどんな返信が返ってくるかは分からない。


 しかしここまでガチガチに用意されたとなれば答えは1つだ。

 開発側はノート達の参加を待っている。わざわざ個別で制限をかけたのだ。つまりは想定済みという事だろう。そしてこの縛りはプレイヤー達からの誹謗中傷に対してのいざという時の盾にもなる。

 ある意味開発のお墨付きという後ろ盾を一つ得たと言っても過言ではない。


 バルバリッチャから出されてる課題の1つをクリアする為にもシナリオボスなら問題はないはず。

 この制限は逆手に取れば色々と使い道がある。

 メリットがデメリットを上回った。


 ノートはよしと頷くと『祭り拍子』全員にイベントに参加するかどうかを問いかける文面を共通チャットに送信した。

 

`∧_∧   さらばプレイヤーしめやかに四散!

( ・∀・∧_∧♀__从/

(つ匚( ・∀・)__@三E>

| / (  つノ /Wヽ

(_)⊂_)_)


(´・ω・`)公平と言いつつ実はバルちゃんとアグちゃんの査定がクソ甘いのは此処だけの話

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― 新着の感想 ―
[気になる点] NO.85で出てきた試練が未だに何か判明してなくて引き伸ばし感がえぐい
[一言] あれでクソ甘いとかバルちゃんとアグちゃんどんだけ強いんやw
[気になる点] 収容施設の主任の話続きが気になる。
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