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No.121 お前がナンバーワンだ‼︎

༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ༽どういう決着にするかかなり迷ったのでリアルダイスの女神に頼りました



「ノートッ!マジでヤバいッ!」


「のっくんヘルプ~!!」


「何が!?って嘘だろ!?」


 十分頑張ったメギドも遂にHPゾーンがイエローゾーンに突入し、グレゴリの消耗も危険域に入り始めた。


 グレゴリを始めとするゴースト型は物理攻撃無効という反則じみた属性を持つ反面、MPそのものが彼らのHPでもある。魔法を乱発しそれを消耗するということは、自分の命を削る行動に他ならない。


 通常であれば正気の沙汰では無い命を削っての攻撃。だがそれを成し得るからこそのアンデッドなのである。


 手の空いてる時には闇の弾丸を使い目潰しもこなした事で『祭り拍子』の中では1番の戦果を挙げたと言えるだろう。


 そんなグレゴリが不調となれば、ノートも全力で殿組を援護しなくてはならない。前衛に関してはスピリタスとトン2に任せておけばとりあえず大丈夫。普通に攻撃が当たり、ダメージが通る相手であればあの二人なら後れを取ることはない。それだけの信頼をノートは預けているし、それだけの成果を挙げてきた。


 その2人からの急な悲鳴。何事かと振り返れば、あの広場に向けて例の恐ろしいMOBがゾンビ映画さながらの量で一斉に押し寄せていた。

 なんらかのイベントフラグを知らずに踏んだのか、それとも乱数が粗ぶったのか。バトルジャンキーの二人ですら絶叫する量の敵である。こんな時こそネオンの出番なのだが、その頼みの綱は現在不在ときた。


 これにはノートも唖然とし、思わず立ち止まる。

 それが隙となり、遂にメギドを振り払い黒騎士が吠える。


「まず!?」


『ᬤ䈤帤䀤㌤氤䀤ㄤ乃吤()吤Ⱑℛ!⡂ਛ⑂␪䄰()䄴⑆™㉦⑎()⑪⑋䕒␱⑆䁚⑪㬦()ᬨ!』 

 

 しかし、黒い霧を体中から噴き出して咆哮しメギドを踏み越えた黒騎士が向かった先は、ノート達ではなく、押し寄せる敵の群れだった。


 白と黒の光の奔流を剣にエンチャント、ネオンを切り殺したあの一撃を横薙ぎに振るえば、敵が一気に切り殺されていく。


「…………なんで魔物同士で敵対してるんだ?てか、強すぎでは?」


 もし、この一撃をメギドに使われたらメギドとて耐えきれなかっただろう。

 なぜその攻撃をメギドに用いなかったのは謎だが、兎に角黒騎士のヘイトがノート達から離れたのは確かだった。


「ノート兄、これチャンスじゃなぁい?」


「そうだな、アイツを利用すれば何とかなりそうな気がしてきたぞ」


 敵の群れに単身突撃した黒騎士が剣を振るえば数十の敵が一度に吹き飛び、黒と白の光が舞う。

 魔物共もノート達など気にしている余裕もなく、一斉に黒騎士に殺到して物量で押し殺そうとするが、黒騎士無双が止まらない。

 ノート達は死にそびれた敵を確実に殺してドロップ品をチマチマ回収。魔物たちのヘイトを集めないように、且つ囲まれないように、適度な距離を保ちつつ逃げ道を画策する。

 

「頑張れ黒騎士!お前がナンバーワンだ!!」


 某V字禿の王子のように笑顔で黒騎士の背中を見守るノート。

 実際、今のノート達ではオリジナルスキルというイカサマも使い、それ以外も総動員してなお勝つビジョンの浮かばない敵。おそらく例の天使二体と単独で真っ向からぶつかってもあっさり殺せるだろう力。

 完全に黒騎士だよりだが、自分でどうしようもない時は敵の力に頼るのも全く構わないいい性格をしているのがノートだ。

 嫉妬したスピリタス、トン2、ユリンの前衛組につつかれるがノートは黒騎士の活躍にご満悦だった。


 

「しかし、なんで黒騎士はカビ生えモブと敵対してるんだ?」


「不思議よね、エネミー同士って種族が違えどやんわり協調路線で行動していたのに、黒騎士は完全に敵対しているわ」


「あの身体中に刺さった剣ってさぁ〜、ただのデザイン以外の意味があるのかもね〜」


「だとすると、それは何を示してるんだろうな?」


 全身に突き刺さる痛々しい剣。それにもし単なるデザイン以上の意味があるのだとしたら。


 例えば、単騎でこの場所に攻め込んだ騎士。

 孤軍奮闘すれど数の暴力には敵わず、四方から刺し貫かれる。

 天に名を轟かす逆賊ならば、推定この地の住民と考えられるモブと黒騎士が敵対しているのは不自然では無い。


 だが、それだと不自然な点がある。

 まず黒騎士とエンカウントした場所と方向。


 ノート達が黒騎士に出会ったのは城壁周辺。そして黒騎士がやってきたのは城壁の内側ではなく、外側から襲撃してきた。


 もし、黒騎士がこの地に襲撃を仕掛けた存在だと仮定する。となれば恐らく黒騎士が攻め込んだ場所はこの城壁の中。

 彼があれほどの傷を負いながらも目的となる者を討ち果たしたなら、彼は本来城壁の中にいるはずの敵なのではなかろうか。

 しかし、彼はノート達より外からやってきた。


 しかも、もし彼のテリトリーがあの城壁近辺で有ればわざわざノート達を追いかけくる必要はないはずだ。攻め込んだ者の行動にしては少々おかしい。

 であるならば、思考の転換が必要だ。


「内乱?」


「……あぁ、なるほど」


 考え込むノートの背後でポツリと呟くヌコォ。その呟きにノートは同意する様に頷く。


 仮定をひっくり返す。

 黒騎士は城に攻め込んだ敵では無く、城を、この地を守っていた騎士なのだとしたら。


 この地がなぜ荒廃しているのか。

 どんな強国であれど、市民による内乱は恐ろしい物だ。国力をただ単に削るだけの不毛な闘争。身内同士の殺し合い。国力を非常に簡単に磨り潰す方法だ。


 剣をあれだけ突き刺されても尚膝を突かぬ執念と、あまりにも強い黒騎士相手にも怯まぬ人型モブたち。

 何方もそこに剣を取る理由があるのだとしたら。


「傷ついたメダルが内乱の証だったりするのか?」


「なるほどねぇ〜、ボクはノート兄の予想に賛成かなぁ」


 市民という団体が一致団結をして行動を起こす時、なんらかの共通したシンボルを持つことがある。

 刺青、印鑑、合言葉など、現実の歴史を翻ってもその事例を確認できるだろう。


 しかしまだ納得できないことが多いのも確かだ。

 全体的になんとなく感じる違和感。ノートが思考を深く落とし込もうとした所で異常は起きた。


「なんだ!?」

「わっ、地震だ!」

「ノっくんこわ〜い」

「かなり大きいわね」

「震度5くらい?」

「ちょっとヤベェんじゃねぇの?」


 ゴゴゴゴゴと唸る様な地震。ビシビシと音を立てて世界が揺めき、地面にところどころ入っている亀裂が更に大きくなった。


 単なる地震なのか、しかしゲームに於いてそれは無いとゲーム脳は囁く。

 あの洞窟での地震の様に、ゲームに於ける地震はなんらかの大きな変化の前触れであることが多い。

 しかもその変化は良くない方向の前触れである事が多く、ゲーム内の地震にはいいイメージを持つ者などいないし、普通に怖い。


 問題は、その原因がわかってないタイプの地震。これは1番怖い。今回に関してはノート達も一切心当たりがない。

 おまけにここは座標的に存在しないはずの場所だ。つまりどういう立地にこのエリアが存在しているのかもわからない。



 ノートはゴースト系を召喚しヘイトを更に拡散。全員にヘイトを下げる魔法をかけ、例の広場で暴れ回り続ける黒騎士を囮にして何か異変が起こる前になんとか赤月の都から脱出するのであった。

 


༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ༽実は黒騎士がネオンを真っ先に本気で狙ったのも理由があって………


༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ༽ノート達にいきなりフルスロットルで殴りかかってこなかったのにも理由があります


༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ༽因みに、ランク差のあるフィールドにしてはノート達はかなり戦えてない?って疑問に関しましては以前ネタバラシした統計マジックも含めてですが、ノート達は称号のせいで普段戦ってる魔物が強化されてるので、今のフィールドでもそこそこ戦えてたりします

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― 新着の感想 ―
[一言] ま〜昔から反乱を起こす人達の共通点として証みたいなのを作りがちだよね。 日本なら傘連判状とか
[良い点] 黒騎士やばいぐらい強い ノート達黒騎士に全て任せずちまちまドロップ集めているの逞しいわ [気になる点] メダルは本当にただの推測用アイテムだったのかな? 黒騎士は呪われたりされているのだろ…
[一言] おや?異変を観測しないのかい?w
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