表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

144/880

No.117 ホラー世界の人、筆豆過ぎ問題

(≼⓪≽⋌⋚⋛⋋≼⓪≽◟)予告してた鬼人動乱の外伝を設定厨隔離施設でサイレント更新しました



「うーん、やっぱりこの〔不繋圏外〕の状態異常がネックかなぁ?」


「これさえ無ければまだマシって感じの悪くないエリアなんだが…………」


 いつぞやのノートとユリンが結界ギリギリで腐った森の連中と戦っていた時と同じように、中立エリアギリギリで戦い続ける、というセコい事はしてないが、ノート達は戻ろうと思えば単独でも中立エリアに戻れる場所で新エリアの敵と戦っていた。


 ノートの言うように、見た目ととある点に目を瞑れば新エリアの敵はいい感じに歯応えのある敵で戦っていても楽しかった。

 敵の難易度的には結晶洞窟と似たり寄ったりだが、あの洞窟にいた敵よりも見た目に反して割とステ振りがバランスよく、ネオンの持つ攻撃魔法も使えるだけあって良い勝負ができていた。


 そんな良いバランスを損なうのが、フィールド全体に発生している状態異常〔不繋圏外〕。

 その状態異常の効果は、現在判明しているだけでも全パラメータ2割〜3割ダウンに加え、魔法やスキルのクールタイム及びMPや体力の消費量の上昇、といった所である。

 パラメータの減少率の幅が大きいのは、全員の減少率が各々異なっていたからだ(1番小さいのはノートで、大きいのがトン2、鎌鼬、それに次いでスピリタスといった具体だった)。


 全パラメータ2割〜3割ダウンだけでも十分にしんどいのだが、それ以上に『祭り拍子』を苦しめたのがクールタイムの延長とMP・体力消費量の上昇だ。

 

 クールタイムが延長されると言うことは、スキルテーブルや魔法テーブルが狂うということであり、更にはその延長時間も何故か一定ではなくスキルや魔法によってまちまちなので一から組み合わせや連携に関して考える事が必要になった。


 特に『祭り拍子』のように物量ゴリ押しではなく少数超精鋭部隊にとっては連携が前提であり、スキルや魔法の一つ一つが全体の生命線なので、それを一から考え直すのは想像よりしんどかった。

 体が勝手にいつも通りの動き(スキルや魔法の使用)を反射で行おうとしてしまうのも熟練者故の悩みであるかもしれない。

 

 そこに追い討ちをかけているのが、MP・体力消費量の上昇。

 ランク10くらいになるまでにALLFOに慣れてくれば、使うスキルや魔法も絞られてきて、MP残量に関しても一々数値を見たりせず感覚で捌けるようになってくる。

 だが、それはこの感覚を完全に破壊してくるので、いつも以上に慎重な戦いを強いられる。

 だと言うのにこの物量戦型MOBだ。慎重に数値を見ながら戦いたくともその暇がなければどうしようもない。

 

 ペースが崩れれば連携も取れない。この手のマップが複雑で敵の量が多いステージは連携力こそ生存の鍵なのに、その鍵穴に超強力な瞬間接着剤を溢れるほど流し込まれた様な根性のねじ曲がった縛りである。


 やっと綿密な連携が取れるようになった『祭り拍子』にとってはこの状態異常がかなりネックで、尚且つストレスだった。


 特に深刻な問題が発生したのはノート。

 ノートはマジックユーザー寄りの割に『ネクロノミコン』と『パンドラの箱』、バルバリッチャのギフトのトリプルチートブーストでMPは自然回復速度がバグっているレベルで早く、その所為でMPの総量の成長も魔法の使用頻度に比べて緩やかなのだ(MPの成長率は『MP総量に対してどれくらいMPを普段使い込んでいるか』で決まる。

 つまりMPが減ったからといってこまめに回復しない方がいいのはここだけの話。このシステムがより回復力の大きいアイテムの開発を促すように設計されてるのもここだけの話)。


 MPの総量がそのランクに対して低いならば、魔法のMP消費量が軒並み上がってしまう場合に直面するとノートは通常のプレイヤーよりも更に綿密なMP管理が必要になる。


 そんな状態でありながら、ノートは普通のプレイヤーに比べて手札の多さが武器となるプレイヤーなので、死霊召喚に纏わる細かいコストの変更が起きると対応の収拾が付かなくなってくる。

 『祭り拍子』の中心であるノートが機能不全を起こせば、連鎖してパーティー全体もそのポテンシャルを発揮するのが難しくなる。



 と言っても、もともとMP管理が重要だったのはノートとネオンの2人だけであり、それ以外もスキルや魔法に頼りきりならずとも戦えるだけのプレイヤースキルがある。なので少し調整が済んでしまえば後はノートの調整が済ませるだけ、という事になる。

 それはノート自身が1番わかっていることもあり、だからこそ今の『祭り拍子』は強引に進まずリカバリーの効く範囲で戦闘を続けていたのだ。


 一応補足をしておくなら、これはノートの要領が悪いというよりそれ以外のメンバーの調整が速すぎるという感じである。

 もっと言えば、VRMMORPGなのに比較的とはいえどいつもこいつもスキルや魔法に頼らなさすぎなのだ。その主体が動体視力やプレイヤースキル、強力な装備品である『祭り拍子』のメンバーにとっては、それ以外に制約をかけられたところで自前の身体感覚でどうにかしてしまうのである。

 

 その点、ユリン達並いる人外領域のメンバーと同等のスピードでネオンが調整を完了させた事には驚くべきかもしれないが、これにはあるカラクリがある。


 カラクリ、と言うには厳密には違うかもしれない。結論から言ってしまえば、“この状況に直面する前”に既にネオンは調整を終了していたのだ。


 ネオンは自分が要領が良くアドリブに長けた人物だとはつゆほども考えてない。

 テスト勉強の際も、文章題まできっちりとパターン化できるまで何度も何度も取り組む慎重派超努力家タイプだ。要領の良さの代わりに頭抜けた記憶力があるので、事前にパターンを覚えてしまえば早々間違えることもないし正しい判断ができる。


 これまでネオンは人形兵器戦、結晶洞窟と自分の魔法が活かせない事態に遭遇してきた。あるいは、反船イベントで勝てるはずのプレイヤーとの戦いで敗北へ追い込まれた事。あれもネオンの意識を更に変えた。


 アドリブができないなら、事前に様々なシチュエーションを想定してパターン化すれば良い。

 対人、対ボス、限定環境、MP残量低下回復なし縛り、付与特化、ヘイト極限回避縛り………様々な状況を想定し、それに対する対策方法を一つ一つ考え、自分の使用する魔法やスキルをパターンごとに厳選する。

 ヘイトの推移やMPや体力の消費量などを録画した映像から分析して自分以外のメンバーの動きも頭に叩き込む。


 そんなキツい作業をネオンは苦痛に感じる事もなく、またそれを誰にも言う事なく行なっている。

 やってる事はプロゲーマーの様なゲームを職業として生きている人達のレベルなのだが、元々かなりストイックな所のあるネオンにとっては『祭り拍子』の足を引っ張らないことが、特にある人に失望されない様にする事だけが大事であってそれ以外に対して時間を割く必要性を感じない。なので余暇の時間のほとんどをそれらの分析に充てている。


 その様なところがナチュラルに人として少し壊れているのだが、その点に関してはネオンは割と無自覚だ。


 そんなカラクリがあり、ネオンは異常事態に直面しても自分が事前に想定した幾つかのパターンを採用して直ぐに調整を完了した、と言うわけである。



 因みに、無限湧きに思われた敵性MOBだが、中立エリアと何度か行き来を繰り返しているうちにゾンビゲーやタワーディフェンスでよくあるウェーブ式の湧き方をしている事が判明しており、現在はなんとか全ての敵を殲滅して暫しの休憩タイムである。

 と言っても散発的に襲ってはくるし、あの例のうっかりカビ生えファンタジーな豚ゾウリムシは建物を無視して接近できるだけあってちょくちょく上から攻撃を仕掛けてくる。

 しかも浮遊系の敵性MOBはこれだけでなく、トサカのついた毛虫の頭を張り付けた様な、毒毛に覆われたカラス型MOBもおり、此方は素早い上にタックルを仕掛けてくるので非常に相手をするのが面倒くさい敵となっていた。



 そんな空からの攻撃を防ぐために数ある建物の1番手前の建物に籠城してみる事にしたが、その内部は予想より荒れていた。


 家探ししたのか、それとも何かが暴れたのか。

 建物の中は内部まできちんと作り込まれていて、妙に生活感のある感じが残っているのがゲームよりリアルを感じさせ、不気味さを醸し出す。

 壊れた家具、階段に転がるフライパン、萎び切った何かの干物、床に打ち捨てられた服の茶色のシミはさて一体何のシミなのか。


 サイズ感、使っていた道具からしても住んでいたのは明らかに人間。それがどうしてこんな状態になってしまったのか。

 ただのホラー演出なのか、それとも意味があるのか。

 埃まみれの椅子に軽く寄りかかりながらノートは考える。


「こういう時ってさ、ホラーだと手記とか残ってるよな」


「あ〜、わかるなぁ、それぇ。ホラー世界の人たちってすごい筆マメだよねぇ」


「そう……なんですか……?」


「登場人物が登場前に死んでることも多いから、手記という形でその言動が残されるパターンは鉄板と言える。かゆうま、とかいい例」


「それが攻略のヒントになるパターンとかも多いんじゃねぇか?よく知らんけど」


「ある程度妥協しないと〜ちんぷんかんぷんのまま話が進んじゃうからね〜仕方ないね〜」


「ホラーゲームだと特にある演出なのでは無いかしら?私もあまり詳しくないからハッキリとは言えないのだけれど」


 ホラーゲーあるある、『ホラー世界の人、筆豆過ぎ問題』について軽く語りつつ、皆もそれとなく面白そうなオブジェを探してみるも特に良いものや考察に役に立つものは見つからなかった。

 一応グレゴリの鑑定も行ったが、アイテムとしての質も低く、ノートの死霊召喚にも役に立ちそうに無いので、金属資源の再利用を兼ねてフライパンや包丁などを幾つか回収する程度にとどまっている。


 オブジェに関しては墓石の時と同様にリポップするので地味に無限資源獲得施設ではあるのだが、劣化が激しく再利用をするのは通常では手間がかかるし、このフィールドに到達できるまで成長しているプレイヤーにとってはこの質の金属資源じゃ大赤字もいいところなのでかなり微妙という評価に落ち着く。

(金属特化の錬金術だと経験値上げには良いのだが、そのためにインベントリ枠を潰すのも難しい感じである。)


 『祭り拍子』だとゴヴニュが金属特化の錬金術師でもあるので、この様な金属を簡単に分解する事ができるし、彼はプレイヤーと違って純粋に物作りが楽しいので、金属資源があればあるだけ何かしら作っている。

 それが彼の練度を成長させているのでノートも特に止めていないし、そう言った細かいパーツはアテナが常に要望を出しているので質的にもちょうど良いのだ。

 

「…………そういえば、手記があっても、私達が読めるのでしょうか?」


 どこもかしこも埃まみれの屋内を見て、掃除したいな、などと内心で思いつつもふと気付いた様に呟くネオン。

 その呟きを聞いて、皆もそう言えばと顔を見合わせる。


 今のところ『祭り拍子』は2つの文字を発見している。1つは人形兵器が中に眠っていた推定オベリスク。もう一つはこのエリアに来る際に出入り口の目印となっている推定石碑。

 どちらも刻まれている文字は解読ができず、ノート達は歯痒い思いをしている。また新たな手記が見つかってもその文字が読めるのか、ネオンの疑問はその根本的な部分を指摘したものだった。



 


(≼⓪≽⋌⋚⋛⋋≼⓪≽◟)手記がよくあるゲームといえば、明らかに普段使いを想定してないカラクリまみれの建物が舞台になることで有名なバイオなハザードとか、カメラ片手に屋敷を走り回るゼロなシリーズとかですかね。(あくまで私のイメージ)


(≼⓪≽⋌⋚⋛⋋≼⓪≽◟)それとまた掲示板回がございますので、よろしければまたプレイヤーネームのご応募をお持ちしております!

(≼⓪≽⋌⋚⋛⋋≼⓪≽◟)今回は割と重要なキャラの名前が確定しますので、情報屋系らしいプレイヤーネームがあると採用しやすいかもです。

(≼⓪≽⋌⋚⋛⋋≼⓪≽◟)あと目玉焼きに何をかけるか教えていただけるとエンジョイ勢系に割り振る可能性が高くなりますのでよろしければ



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >>1番小さいのはノートで、大きいのがトン2、鎌鼬、それに次いでスピリタスといった具体だった 初期特によるレジストかなぁ?
[一言] 筆豆なのはどこかでも見た記憶があるんですけど 「化け物だらけで狂いそうな中、まともな生存者が自分だけだった場合、精神を保つ為にor自分という存在がいたのだと言う証を残す為に紙とペンがあれば何…
[気になる点] だんだん作者さんの顔文字が禍々しくなっていく気がする 変わってないかもだけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ