表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロンバルト戦記   作者: ふおと
1/1

プロローグ

 ここはどこだなんだ。

 まぶしい光が差し込んでくる。

 ぼんやりとしか見えない俺の目に入るのは知らない天井だ。

 喉が渇く。

 水が欲しい。誰か水を.....。

 声が聞こえてきた。泣き声だ。俺の仲間たちに泣き声をあげる奴などいないはずだが.....。


 感覚が鈍くなっている。

 俺はこんなところで倒れている場合ではないのだ。

 仲間を救いに行かなければ.....。

 そう思い力を入れておき上がろうとした。しかし、体は起き上がらない。

 拘束されているのか、

 情報が欲しい。叫ぼうとしても聞こえるのは泣き声だけだ。


 だが、どうしてこんなことになった。

 俺は敵に捕まったのか....。

 まずい、どうにかして脱出せねば。

 俺が居ないと軍を動かせる者が居なくなる。

 この戦争負けるわけにはいかない。

 

 敵に捕まったとするなら、ここは敵陣か。

 いや、敵陣と仮定するならばこの天井は高すぎるし、何より綺麗だ。

 急造の陣地と言うよりは、そこそこの地位を持つ者の屋敷の天井に近い。

 白い天井には、いくつかの模様が彫刻されており、小さなシャンデリアのようなものまである。

 綺麗だ。拷問部屋でもないだろう。

 どこなのだろう、早く拘束を解かねば。


「あらあらまーたん、どうしたの?」

 

 優しそうな女性の声が聞こえてきた。

 声の主らしき女性が視界に入ってきた。

 ぼんやりとしか見えない目でも分かる。美しい。

 二十代前半のように見える美しい女性がこっちをのぞき込んでくる。

 

「ご飯かしら、泣いてるまーたんも可愛いわね。」


 そういって視界の女性はくすっと笑う。

 この女の人な感じだと、明らかに”まーたん”は俺のことだ。

 俺の名前は”まーたん”じゃないんだけどな。

 戸惑う俺はしゃべろうとするが、聞こえてきたのは


「あー、あーうー」


 という声だった。

 まさか、と固まる俺を抱き上げた美しい女性は、俺に乳をくれる。

 反射的に飲み込んでしまうが、お腹が空いていたからか止まらない。

 

 やがてお腹いっぱいになった俺は襲い来る眠気に負けて、意識を手放した。

 

 すこしいい思いをしたのは内緒だ。

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ