プロローグ 夢
10万文字ちょっと程度の短い小説になります
区切りいいところで毎日更新していくので、1・2週間ほどのお付き合いになると思いますが、よろしくお願いします。
夜になるとね、いつも夢を見るの。
「ねぇ、***は将来どんな大人になりたいんだい?」
おじいちゃんが大きな手で優しく、***の頭を撫でてくれたの。とっても暖かくて、心がポカポカした。
「***ねっ、大人になったら勇者様になりたいっ! それでね、痛い痛いって泣いてる子をみんな助けてあげるのっ!」
そこまで言ってから、今日、他の男の子に言われたことを思い出した。
「どうしたんだい?」
「あのね、勇者はね、選ばれた人にしかなれないって……」
俯いて、少し悲しい気持ちになった。そしたらね、おじいちゃんが抱きしめてくれて、おひさまみたいな匂いがして、とっても幸せな気持ちになったの。
「勇者ってのはね、選ばれた力を持った者のことを言うんじゃないんだよ」
そういうおじいちゃんに、じゃあどんな人なの?って聞いた。
「優しい思いと、強い信念を持っている人のことを言うんだ。だから、きっと***にならなれるよ」
おじいちゃんはそう言って頭を撫でてくれたの。
なんだか、瞼が重くなってきちゃって。まだ、寝たくないのに。ずっと、一緒にいたいのに。
目が覚めて、おじいちゃんを探すの。もうポカポカした体温は体に残ってなくて、***はね、少し悲しくなるの。それでも、泣いちゃだめ。
***が弱かったら、痛い痛いって泣いてる子を助けてあげられないもん。
***は、勇者になるんだもん。