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引きこもりダメニートの俺でも転生してハイスペック美少女になれますか?

遅くなってすみません。明日からはもう少し早くの投稿が出来るかと思います。

藍子(あいこ)ちゃん!。一限目理科だよ~? 早く理科室に行かないとあの先生怒らせたら怖いから」


「分かってる~! 今行くからちょっと待ってて!」


「はぁ、いつも藍子ちゃん遅刻ギリギリだよね。もっと早く学校来て準備できないの?」


「シノちゃん、今更、あーちゃんの寝起きの悪さは、治らないと思う、よ?」


「急がないと、時間が……! …………あー!!!!」


 藍子に急ぐよう促していたのだが、遅かったようで、一限目の開始を知らせるチャイムが鳴り響いた。


「ごめんごめん二人とも、待たせちゃったね、さぁ皆でお叱りを受けようではないかッ!」


「はぁ~、いつものことだから良いけどね。反省の言葉をいつも考えなきゃいけない私の身にもなってほしいな?」


「私はもう、慣れた、な」


 俺は藍子と裕子と一緒に遅刻のお叱りを受けに行ったのであった。

--------------------------------------------------------------------


「ここは……? 俺は何をしてたんだっけ?」


 どれだけの時間を過ごしていたのだろうか? 気が付くと俺は、真っ白な空間にただ一人(たた)ずんでいた。

 記憶が不明瞭で何も思い出せない。とても長い夢を見ていた気がする。

 

「あっちゃ~……。もう少しだったんだけどなぁ」


 謎の声に俺は警戒をしながら周りを見渡すと、突如真っ白だった空間に亀裂が走り、虹色の光が溢れ出した。頭から足先にかけてゆっくりとその姿を現していく。そこには、腰まで伸びている赤香色の髪に完璧なまでに整った顔、背中には二メートルはある大きな翼、頭上には光輪のある、身長百四十センチ程の小さな女の子がいた。

 俺は目の前の非現実的な光景に声が出ず、ただ眺めることしかできなかった。


「あっ! 前と全く同じ反応だね! では! まず最初に、私も前と全く同じ問いかけをしましょう。『……流石に何も答えてくれないと私も反応に困っちゃうんだけど』……なーんて!」


 少女はワザとらしく頬を膨らませてそう言った。 

 俺は状況整理をしようとアレコレ考えてはみたものの、むしろ混乱する一方だった。


「キミは誰?」


 声がかすれるかと思ったが、思ったよりもハッキリと声を出す事が出来た俺は、考えた末に出てきた言葉を少女に返した。

 少女は俺からの返答に満足そうに頷くとこう答えた。


「私は女神様よ! 天界で最も偉い存在なの! あなた達、人間の生活を見守ったりしてるわ。……これをあなたに言うのは二度目なんだけどね。何故、記憶を失っちゃっているのか分からないけど、私の力で元に戻してあげる!」


 女神と名乗る少女は、左手を横に広げると、何もない空間から魔法陣のような物が出現し、そこに手を入れると、中から杖のようなものを取り出した。


「女神の権限において命じる。この者の記憶を戻したまえ! "天回"ッ!」


女神は、杖を両手に構え、目を瞑ると、不思議な詠唱をする。すると杖の先から、まばゆいほどの光が俺を包み込む。


「あなたの記憶が失ってしまっているのは、精神的ショックが原因だと思うの。あなたが心の中で、前世の記憶を消してしまいたいと強く念じていたことによってね。でもあなたが成長をするには、決して忘れてはいけない思い出。さぁ、思い出して? あなたがこれまで何をしてきたのかを。そして、乗り越えなさい!」


「…………………………ッ!?」


 思い出した……! 前世までの記憶が頭の中にスッと蘇ってくる。生前、自分がしてしまった過ちも。


「……父さん、母さん……!」


「あなたは、あの日病院で父親と看護師さん達を何度も何度も殴りました。幸いにも死者は出なかったみたいだけど、あなたの両親は心に深い傷を負ったわ。立ち直ることが困難なほどにね。その後、あなたはお医者さんからメスを奪って、自分の喉元を切り裂いたの。当然、出血多量になったんだけど、病院の人達は皆、気絶をしていて、住民の通報によって警察と救急車が駆けつけてきた頃にはもう遅かった」


「女神様……。俺はどうすれば(つぐな)いになるのですか? 俺にはもう生きる価値なんて……。クソッ! 何でこんなことになってしまったんだろう。あんなに楽しく生活していたのに……何で……」


 俺は涙を流しながら、女神様に想いをぶつけた。こんな自分に生きる意味はあるのか? 悪人は、結局、善人にはなれない。きっと俺はこれからも過ちを犯し続けるだろう。そんな俺が転生で生まれ変わっても、悲しむ人が増えるだけだ。もう生まれ変わりたくない。 

 女神は、俺の言葉に耳を傾け。そっと俺を抱きしめた。太陽の光のようにとても暖かくて、心が安らぐ。


「あなたが犯した罪は決して許されるものではないわ。だけど、このまま死んでいい理由にはならない。あなたはこの罪を背負って、生きていかなければならないの」


「だけど俺、どうしたら?」


「"忘れない"。あなたがすべきことは決してこのことを忘れないこと。二度と同じ過ちを繰り返さない為にもね。それが出来て、立派に成長すれば、私があなたを許しましょう。」


「……分かりました! 俺、絶対に忘れません! 父さんも母さんも、響や他の看護師さん達も全員……。それが償いになるのなら!」


 俺の言葉に、女神様はホッとしたような顔をすると、急に真剣な表情に変わった。


「それから、あなたには呪われた運命が、待っているわ。私はこの前、転生には条件があると言ったけれど、正確に言うと、あなたの魂を縛る呪いなの。"十五歳から十八歳までの間に必ず死んでしまう"呪い。だからあなたは生まれてから十数年間しか生きられない。そしてあなたは前世の過ちによって、また一つ呪いが増幅したの。"今後の転生で女性にしか生まれ変わる事が出来ない"呪いがね。これは、あなたの心が壊れてしまったことで、男性の(キー)である"立ち向かう勇気"が欠損してしまったことによるものだと思う。今後も呪いはあなたの行動次第で、増えると思う。だけど、あなたにはそれを乗り越える力がある。この先、呪いがあなたを襲っても、乗り越えていける。そう私は信じているわ!」


 二つの呪いの存在に俺は驚愕したが、何故だか不思議と立ち向かえるような気がした。十数年で死んでしまう? それまでに女神様が認める良い生活を送ってやる。これから一生、女のまま? ……あ、ちょっと上手くやっていけるか不安になってきたかも。まぁ、何とかしてみせる! それが俺の償いだから!


「俺はもう逃げません。罪からも、呪いからも。必ず成し遂げてみせます。立派に成長して、女神様の認める人生を送れるよう頑張ります。だから、見守っていてください!」


「うん、期待以上の返事だね! 頑張って! それと、私にはもう敬語でなくてもいいから、堅苦しいのは、なしでお願い!」


「分かり……いや、分かったよ! 女神様、俺、行ってくるね!」


 女神の力により、新たな転生をする俺は、もう二度と間違えない。女になったって上手くやってやる。

こんな引きこもりで、クソみたいな人生を送ってきたダメな俺でも、完璧な美少女になって見返してやる! 

 そうして俺は、人生で二度目の転生をした。

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