映画とお泊り
少し投稿が遅れてしまいました。日常パートです。なかなか出番が少なかった両親と親友とのお話がメインです。
「諒、朝だぞー! 起きろー!」
「う、うーん……」
眠たさを堪えながらベッドから出る。昨日は早く寝たつもりなんだけどなぁ……。十時間以上も睡眠を取っているのに、まだ寝足りないのか俺の身体は……。まぁいつものことなんだけど。
軽めの朝食を済ませて、着替える。普段、出かけたりすることが少ないから、サイズの合う服を探すのに中々、手間取ってしまった。
「諒ー! そろそろ行くぞー!」
「今行くよ!」
車に乗り込み、準備完了の合図を送り、父さんはそれを見て出発する。
確か、映画館があるのは、うちから三十キロくらい離れた場所のショッピングセンターの中だ。小さい頃に一度だけしか行った事がないから、うろ覚えだけど。
「そういや映画は何を観るか決まったのか?」
父さんが運転をしながらそんなことを聞いてきた。昨日、響からおススメの映画を教えてもらったから特に迷うことなく「デラゴンバール」と答えた。
「デラゴンバールか! 父さんも好きだった作品だよ! 母さんは知らないだろうが」
え、父さん知ってんの? マジかよ。今まで、十五年間一緒に暮らしてきたけど、知らなかったわー。父さんの観るジャンルなんて精々、ドラマか洋画くらいと思ってた。ケーキが好きな事といい、案外、顔に似合わず子供っぽい所があるよな。まぁ前世含めで三十年以上生きてる俺が言えた事ではないけど。
「お父さんも観たいんでしょ? 私は買い物してるから諒と観てきていいわよ?」
「母さんを一人にはできないよ。俺はいいから諒一人で観てきなさい」
「お父さんったら意地になっちゃって……。じゃあ諒は一人で大丈夫? 終わったら連絡するのよ」
母さんはそう言ってたけど、父さんの言葉に少し喜んでたみたいだ。何だかんだ仲は凄く良いんだよな。
ショッピングモールに着くまでの間、他愛のない話をしながら過ごした。
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「さぁ、着いたぞ」
「久し振りに来たけど、だいぶ変わってるなぁ。あんな店あったっけ?」
「諒は小学生の時以来、来てなかったものね。結構、お店が新しくなったりしてるのよ? 映画が観終わったら一緒に見て回りましょうね」
「おっけー!」
俺は家族と別れると、映画館のある方へ向かった。どれだけ色んなお店が変わっていても映画館だけは変わってなかったから道に迷うことはなかった。
映画館に着くと、チケット販売の列に並んだ。結構早めに着いたはずなんだけど、既に沢山の人が並んでいて驚いた。
俺の番が来るまでゲームをしながら待ってると、笑顔の受付の女性が注文を聞いてきた。俺は初めてのチケット購入に焦ることなく答えた。
「デラゴンバールを九時からでお願いします。中学生です」
「デラゴンバールを九時からですね!承りました。身分証などはお持ちでしょうか?」
「あ、はい」
俺は財布から学生証を受付の女性に見せた。やっぱ必要だよな。前世では映画なんて行ったことなかったから知らなかったけど、中学生以上が一人で映画を観る時には、身分証が必要らしい。念入りに調べておいて良かった。
「はい大丈夫です! 千円になります」
千円を受付の女性に渡し、代わりにチケットを受け取った。いやぁ初めてで緊張するかと思ったけど、案外、余裕だったな。だいぶ人にも慣れたもんだ。偉いぞ、俺!
次はポップコーンを買おうかな? 実は映画館に入る少し前から、ポップコーンの良い匂いがしていた。味は塩とキャラメルがあるみたいだけど、どちらにしようか? うーん、ハーフポップコーンがあったから両方食べてみて、気に入った方を次に選ぶことにしよう。後は飲み物だけど、コーラ、ジンジャーエール、メロンソーダに烏龍茶か。俺、炭酸苦手なんだよなぁ。烏龍茶にしよう。
こちらの注文も済ませて、奥にいる受付の男性にチケットを渡して中に入った。劇場内は思ってたより広くて、自分の指定席を見つけるのに苦労した。何とか席を見つけて、荷物を置いて座り、携帯の時計で時間を確認するとまだ五分程度、始まるのに時間があった。スクリーンを見ると、他の映画の宣伝や、劇場内での注意を促す映像が流れていた。あのデジカメとパトライトが頭のスーツを着た人型のやつね。あれ面白いよね。
携帯電話の電源は切るのが常識だけど、時間が分からなくなるんだよな。マナーモードとおやすみモードにしとけば周りの迷惑にはならないだろうし、切らなくても良いよね! 明るさも最低にしておけば、目立つ事はないだろ。よし、後は映画が始まるまで待つだけかな?
ポップコーンを食べながらスクリーンをボーっと眺めていると、映画が始まった。この瞬間ってすごいワクワクするよね! いきなり大音量で始まるもんだからビックリしたけど。
俺は映画を目一杯、堪能した。
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いやぁ、良いっすね~映画! まさか主人公にあんな力があったなんて……。展開といえば、バトル漫画ではあるあるの展開ではあったけど、面白かったよね。終盤の対決には目を奪われました。とても楽しめたので良かったです。大満足。
俺はスタッフロールの終わりまでを見届けると、席を立ち、映画館の外に出た。すると、両親が出迎えてくれていた。
「あれ? まだ連絡してないのになんで居るの?」
「そろそろ終わるかなって思って待ってたの。どう? 映画は楽しかった?」
「うん! 最高だったよ!」
「それは良かったわね! それじゃあ諒、三人でお店を回りましょうか」
ここに来てすぐに映画館に向かったから、どんなお店があるのか楽しみだな。
お店を回っている途中で父さんが、「映画はどうだった?」と聞いてきた。そんなに気になるなら一緒に観れば良かったのにね。テキトーに、「超面白かったよ」って返したら、「そうか……。今度DVDが出たら買おうかな」とか言ってた。今からでも観ればいいのにね? 俺と母さんはお店を回って、時間を潰しておくから。まぁどうせ頑固だからまた「母さんをほおっておけん!」って言いだすんだろうけど。
暫く三人でお店を回っていると、有名なファミレスを見つけたのでお昼ご飯にすることにした。母さんは、ご飯に、味噌汁に、ロースかつと千切りキャベツがセットのロースかつ定食。父さんは、ビールとビーフサイコロのステーキに、ポテトとサラダがセットのビーフサイコロステーキ。そして俺は、ブラックペッパーのかかったハンバーグとチーズとトマトケチャップがかかったハンバーグにポテトとコーンがセットのツインハンバーグ定食を注文した。このファミレスに来るときは、絶対このメニューを頼むんだよね。ツインハンバーグ最高!
肉汁がたっぷりでとても美味しかったです。最後はデザートにストロベリーパフェを頼みました。父さんがパフェを欲しそうに見てたから、少し分けてあげた。スイーツ好きだもんね。
ファミレスを出た後は、テキトーにブラブラしながら過ごした。色々見て回るだけでも意外と良い暇潰しになるんだよね。そうしているうちに夕方になったので帰ることになった。ここへはまた来れたら行こう。
「今日一日めっちゃ楽しかった! ありがとね!」
「頑張った諒へのご褒美だからな。まぁでもそうだな。ここへはまた来ような」
「そうね。私も久し振りに羽を伸ばせたわ」
家族とのひと時をたっぷりと満喫できたので大満足だ。とは言っても、再来週には決勝戦だ。明日からの練習も頑張らないとな。
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「諒! そっちいったぞ!」
「おっけー! 任せて!」
「ナイッシュー! 調子良いな?」
「決勝戦まであと一週間だからね。気合入れてかないと」
金曜日。
俺は一週間後の東錦ノ宮との試合に向けて猛特訓していた。チームメイトとの連携もだいぶ良くなってきた。この調子なら勝てるかもしれない!
家に帰ると響からメールが来ていた。
『明日の泊りだけど来れそうか? いろいろ準備しねぇといけねぇからよ。今日中に出来たら連絡くれよな!』
響とのお泊り! そうか、練習に集中してて忘れてた! 明日だったっけ。久し振りだから楽しみだ。
明日は部活が終わったら早めに帰って準備しないとだ!
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土曜日です。親友との大事なお泊り会がやってきましたよ!
俺は部活から家に帰った後、風呂に入り、泊りの準備をしていた。
パジャマとゲーム機とケータイくらいかな。一応泊らせてもらうのだから、何か持って行った方が良いかな? 手土産になるかは分からないけど、栗饅頭を持っていこう。
そろそろ時間だし出発しようかな。
響の家に着くと、玄関前で待ってくれていた。一応出発する前に連絡は入れておいたけど、着くのに十五分くらいかかったんだよね。ずっと待ってくれてたのかな?だとしたら申し訳ないな。
「おっきたな? 飯はまだだよな? 母ちゃんが一緒に飯食ってけっていうから二人で食おうぜ」
「うん! おばさんの料理すごい美味しいから楽しみだよ~」
「おいおい。お前ん家の料理の方が百倍は美味いだろ。母ちゃんが料理教室やってるくらいなんだからよ。俺も何回かご馳走させてもらったけどあれは次元が違ったわ」
「おばさんの料理も超美味しいよ? なんか家庭の味って感じで好きなんだよね」
「はぁ~? なんだよそれ」
そう言いながら、家の中に入った。中でおばさんが出迎えてくれた。
「諒くんいらっしゃい! 今、お夕飯の支度をするから待っててね。さぁ、上がって上がって」
「はい! お邪魔します! あ、おばさん! これ良かったら皆で食べてください」
「あら~。ありがとね~! 栗饅頭よね? おばさん、お饅頭大好きなの!」
「それは良かったです」
特に意味もなく選んだものだったんだけど、喜んでもらえてよかった。
おばさんの夕飯が出来るまで、二階の響の部屋で待っていることになった。懐かしいなぁ。とても落ち着くんだよね。昔から変わってない。
「そんでよぉ? 諒、映画はどうだったんだよ?」
響が急にそんなことを聞いてきた。響が勧めてきたから、てっきりもう観たのかと思ってたけど、観てた訳ではなかったのか。そもそも響からアニメの話題なんて聞いたことなかったから興味ないと思ってたんだけど。
「すごい面白かったよ。俺もあのアニメは昔からよく観てたから。でも響ってアニメに興味あったっけ?」
「いや、俺はアニメは観ねぇな。でもクラスの奴らが皆、観たって言ってたからよー、どんなもんなのか気になっただけだ。諒、今度は二人で映画に行かねぇか? 俺でも観れるやつになるが」
「そう言うことね。うん! 映画は部活を引退してからならいつでも良いよ!」
「じゃあ決まりな! 楽しみにしてるぜ!」
響との約束、前は破りそうになっちゃったから気を付けないとな!
話しているうちに、おばさんの夕食が出来たみたいだから、リビングに降りてご馳走させてもらった。やっぱりおばさんの料理は美味しかった! 今度作り方を教えてもらおうかな?
響の部屋に行き、二人で対戦ゲームをした。俺は前世では生粋のゲーム廃人だったので、どのジャンルのゲームでも圧勝だった。親友相手だろうと本気だ。舐めプ、接待プレイは絶対にしない!
「はぇ~。やっぱ諒には勝てねぇわ。お前、昔からゲーム強いよな! でもお前がゲームをやってる所、全然見たことねぇんだよな これがセンスってやつなのか~」
「結構やってるよ! 夜遅くとか! 響の前ではやらなかったからね」
「そうなのか? めっちゃ練習して次やる時までには絶対勝ってみせるからな!」
「うん! 楽しみにしてる」
次やる時か。楽しみにしておこう。
ゲームを沢山遊んだ後はDVDの映画を観ることになった。今日のお泊りの為に何本かレンタルしたみたいだけど、何を借りたんだろう。さっきからタイトルを言わないから妙に気になる。
「ねぇ、そろそろ何を借りてきたのか教えてよ!」
「気になるか? 俺が借りてきた映画はな……。"ホラー映画"だよ」
……嘘ですやん。
驚きの余り、エセ関西弁が出てしまった。俺、ホラーは大の苦手なんだよ。昔、夏によくやる心霊映像100選! とかを観て、死ぬほどビビッてトイレ行けなくなったんだよな。まさか響がホラー映画を借りてくるなんて……。
俺は出来るだけ怖がらずに振舞おうと思ってたけど駄目だった。驚かしポイントでは、「キャー!」やら「ワー!」やらと叫び散らし、挙句の果てには、布団を羽織るようにして目を瞑るという、何とも情けない姿を親友に見せてしまった。
「お前がまさかここまでホラーが駄目だったとは……。いいネタに出来そうだぜ笑」
響め。覚えてろよ、全く。
何とかホラー映画ラッシュを切り抜けると時刻は午前三時を過ぎていた。日曜日は午後練だから時間は大丈夫だけど、帰りが遅くなると両親が心配するからもう寝よう。響にそれを伝えると、「ちっ、しゃーねーか。夜遅いもんな。そんじゃお休み」と言ったので「お休み!」と返し、目を閉じた。
遅くまで起きてたせいで眠たかったので結構早く眠りに落ちた。
映画は最近私も行ってなかったのでそろそろ行きたいです笑