ビビり&ヘタレ主人公 澪田 龍馬
「うあああぁあああ!」
ヘタレで、どっかRPGゲームだったら[青年A]と表示されるであろう俺は叫んだ。
しかし、この状況を知れば誰だって叫ばずにはいられないだろう。
なんだって、今の俺の状況は人生最大の絶体絶命だったのだから。
「ゴルァ!まてぇや食材ぃいい!」
「今なら挽肉で済んでやるからよぉおおお!」
「ひぃいいいいいいい!」
挽肉で済むってそれもう死んでるじゃん!ねぇ、済むって言葉知っている!?せめて殺すって言った方がまだましだよ!
逃げて叫ぶ俺の状況は、誰から見ても襲われている状況だった。しかし、襲っているのは、不審者でもヤンキーでもない。むしろ、今そっちだったら何倍もいいと思うだろう。
後ろに追いかけてくるのは連中は、一言で表すと”化け物”だ。
一人は、ミノタウロスみたいな化け物に、もう一人は、鳥に近い化け物…キメラみたいな化け物だ。
そんな奴らが今、俺を食材にしようと襲ってきている。普通はドッキリかコスプレか何かと思って、済ますのだろう。だが、奴らは紛れもなく”本物の化け物”だった。
「ゴルァアア!」
ズドドドドドオォオオ!
ミノタウロスの化け物がでっかい斧を振り回して、俺の背後にやばい音が聞こえた。それと同時に地響きがして、俺のSAN値が下がる。
「ぎゃああああ!」
おそらく木が倒れて落ちた音だろう、振り返って確認したいが今はそんなことをしている場合じゃない。
唯一の取り柄が逃げ足が速いことで良かった…!。絶対今、斧に当たっていたらさっき言った通り”挽肉”にされていたぞ…!
「挽肉で済むって言ったのにまだ抵抗するのかゴルァ!」
ガシュ!
安心した隙に、セカンドステージがきた。キメラの化け物が爪を降り下し、地面に凄まじい音が聞こえた。
思わず振り向いた俺は、目を疑った。地面には穴が開き、シュウウっと音がして煙が立っているのが見えた。挽肉の次はくし刺しかよ…!マジやばいこれ!
「いやぁあああああ!」
逃げて逃げて走っているうちに、なんでこうなったのか…。
その出来事が走馬燈のように流れていく。