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劔の記憶  作者: はじめ
第1章
7/129

休息

10/28改稿


2023/8/20

追記更新

「待たせてすみません。アンナは二階ですか?」


 私とレオンが言い合いをしているとローレンスが戻ってきた。


「あぁ、二階に上がってから戻ってきてないな。一緒に寝ちまったんじゃないか」


「そうですか。では私が何か作りますのでもう少し待ってくれますか」


 ローレンスはカウンターに入り何かを作り出す。


「そういえばあなたは少し雰囲気が変わりましたね。昼間より楽しそうだ」


「失礼ね。何も変わってないわ」


「くっくっくっ」


 テーブルの上にあった食器入れからフォークを取り出しレオンに投げつける。フォークは綺麗な放物線を描きレオンの肩に刺さったが、


「ちょうど欲しかったんだ。ありがとよ」


 肩からフォークを抜きカウンターに置く。ローレンスは驚いていたが、刺さった本人が何も騒がないので表情を戻し料理を続けた。

 カウンター奥からいい匂いが漂ってきた。


「う……、う……ん?」


 鼻をぴくぴくさせイーナが目を覚ます。


「おはよう。まだ夜だけどお腹すいた?」


「ママ……」


 先程よりしっかりした声でママといい、こくんと頷き私を見つめてくる。

 私の聞き違いではなかったようだ。


「その子はあなたの子供だったのですね。てっきり独身かと思っていたのですが」


「いえ、違い……」


 慌ててローレンスを見て否定しようとしたが服をぎゅっと握るイーナに気付き私は黙ってしまう。

不安にさせるのも気の毒だと思い、優しく頭を撫でてあげると気持ちよさそうにイーナは目を細めた。


「ご飯を食べたらお風呂に入れてあげたらどうだい。そのあとは二階に部屋が余ってるからそこで寝るといい」


 ローレンスは気付いたのだろう。深く追求せずにそう提案してきた。


「おい、マスター俺も一緒にいいのか」


 この変態は何をいっているのだろうか。私には理解できない。


「いえ、男性はお一人で……。何でしたら私と入りますか?」


 ローレンスは出来上がった料理をレオンの前に置き、私とイーナの分を持ってきてくれる。


「いいぜ。背中の皮が剥けるほどながしてやる」


「遠慮しておきます」


 ローレンスが断ると、はっと鼻で笑い出されたトマトパスタを頬張った。


「簡単なものですみません」


 私は一口食べて


「いえ、とても美味しいわ」


 そう言って、起きてからも私の上から離れないイーナを机に向き直らせ、トマトパスタを食べさせる。


「ママ。美味しいね」


 イーナは美味しそうにトマトパスタを食べると嬉しそうに私に笑いかけた。

私が何ともいえない表情をしているとローレンスは穏やかな表情で、変態に至ってはまたニヤニヤして私を見てくる。

 私は諦めてイーナにトマトパスタを食べさせる事にした。


 食事を終え私とイーナはローレンスの言葉に甘えてお風呂に入る事にした。

洗面所でイーナの服を脱がせると可視化の領域で見た通りあちこちに擦り傷や打撲の跡があった。

顔に傷が無いところを見ると商品価値を気にしたのだろう。


「イーナ。今からする事内緒にできる?」


「?」


 イーナは首を傾げたが、私は治癒魔法を行使した。

イーナの全身を青白い光が覆う。


「わぁぁ。ママすごい。イーナ痛くないよ」


 イーナは自分の身体を見て目をパチクリさせながら痛かった部分を突いたりしている。


「おとぎ話の魔法使いみたい。すごい!」


 イーナは興奮気味に私の足に抱きついて見上げてきた。

私はイーナの頭を撫でながら微笑む。


「約束守れる?」


「うん!」


 最初は大人しい子かと思ったが懐いた人にはしっかりと受け答えする子のようだ。

少し安心して私はイーナを連れてお風呂場に入った。


 お風呂から上がるとレオンはソファーに横になり、ローレンスはカウンターでお湯を沸かしていた。


「ラルクのお下がりだけどサイズがあって良かった。」


「ありがとうございます。イーナお礼は?」


 イーナは私の後ろに隠れて顔だけ出し、


「おじちゃん……。ありがと……」


「どういたしまして」


 ローレンスは表情を緩め、ギョッとした。


 レオンがいつの間にか私とイーナの後ろに立っていたのだ。

レオンはかがみイーナを見据えると、


「俺のことはパパって呼んでいいからな」


 真顔で何を言い出すの。この男は……


 イーナは怯えて私の足の間に顔を埋め、


 ゴチンッ!


 私はレオンの頭を殴った。

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