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劔の記憶  作者: はじめ
第1章
3/129

情報

2023/8/20

追記更新

 私は傭兵ギルドの前に来ていた。

 アンナの話を聞いたところ、二人の息子であるマルクが少し目を離した隙にいなくなってしまったらしい。

 行方不明の線もあるが、どうやらあの一帯は地上げ屋から何度も恐喝を受けているらしく。そんなタイミングでマルクがいなくなったので、攫われたのではないかと慌てていたようだ。

あの時いた客はあの辺りが地上げ屋からの恐喝がある事を知ってはいたが、アンナの様子を見て実力行使に出たとでも思ったのだろう。自分は関係ないと関わる前に逃げだしたと言うところか。

 マルクのことが心配でならない二人は終始慌てていたが私は何とか落ち着かせ、今の時代に即したやり方でマルクを探すことにした。

それは傭兵ギルドと自警団に捜索願を出す事だ。私は傭兵ギルドへの捜索願いを出しに行く事を二人に伝え、ローレンスに自警団に捜索願いを出しに行くよう指示した。

アンナには万が一マルクが戻って来ても問題ないように店に待機してもらっている。


 私は傭兵ギルドの扉に手をかけると、


「見ねえ顔だな、ここはにーちゃんみたいなヒョロイ男来るところじゃねーぞ」


 私は振り返りながらため息をつく。

 

 この姿でも絡まれるか……


絡まれやすいオリジナルの姿から過去の主に魔法で姿を変えてはいたのだが…

 にやけた笑みを浮かべながら私を見ていた唐変木を冷めた目で見つめ、腰にかけた剣を手に取り鞘から抜き放った。


「威勢がいいのはいいが、相手の力量を見誤るなよ」


 剣を鞘に収め、相手を諌める。

 はらっと相手の履いていたズボンがずり落ちる。


「なっ!?」


唐変木には何をされたか全く見えていなかったのだろう。慌ててずり下がったズボンを両手でずれないようにおさえる。


「これに懲りたら相手の力量を見定めてから絡む事だな」


 私は唐変木の罵声を背に踵を返し傭兵ギルドの扉を開いた。

 中に入ると依頼用のカウンターと、特別な依頼を受ける際のカウンター、依頼が貼られている掲示板と少し離れたところに酒を提供するバーが併設されていたので私は依頼用のカウンターに向かう。

 ちなみに、傭兵ギルドに所属する傭兵には実力によってランク分けされており、FからAと順が上っていくごとに実力が高く、規格外の戦闘力を持つ者をSランクと定めている。私の実力はAランク相当だが、Sランクが化け物並に強いのであって、私が弱いわけではない。

 ついでに言うと先程の傭兵はCランクといったところか。


 依頼用のカウンターでは物腰の柔らかい女性が対応してくれた。


「先程はギルドの傭兵が失礼致しました」


「慣れてるので大丈夫ですよ」


 先程の事態に気づいていた様だ。

私も丁寧に返すとあえて地上げ屋のことは伝えずに依頼を伝え、ローレンス夫妻から預かっていた写真を渡した。


「確かに受けたまりました」


 私は一言受付の女性に礼を言い、そそくさとギルドを後にしようとしたが、


「兄さん良かったらこちらで少しはなさないっすか?きっと役に立てると思うっすよ」


 気さくな雰囲気が漂う男が声をかけてくる。


「急いでいるから大したようじゃないならきりすてるぞ」


 そう言い手を剣に近づけると、おっかねぇと言うふうに男は両手を挙げ、おどけたふうに話を続けた。


「俺はクライス。この街じゃちょっと名の知れた情報屋なんっすけど、兄さんは地上げ屋の情報が欲しいんじゃないっすか?」


「……」


 タイミングが良すぎると思ったが、確かに地上げ屋の情報は手に入れておきたい。

 そう思った私はクライスに促されるままバーの隅の席に座った。


「どんな情報なんだ?」


「その前に兄さんの名前を教えてくれっす」


 私は仕方なく具現化していた過去の主の名を名乗った。


「フェリクスだ、一人旅をしている」


「いまどき珍しいっすね」


 そんな事を言いクライスは話を続けた。


「地上げ屋の情報っすけど、悪いことは言わないんで関わるのはやめるっす。相手が悪すぎる……」


「関わるかどうかはまだ分からないが、相手?」


「地上げ屋の大元はここいらを牛耳っているキメラってマフィアっす」


「ほう。ちなみに何故私が地上げ屋を探していると?」


「邪の道は蛇ってやつっすよ、俺の情報網に兄さんと同じ剣を持った珍しい髪色の女性がキメラが地上げしている一帯の店に入ったって情報を得たんっすよ。そこにその店の子供を探す兄さんが現れたら関係を疑わないほうがおかしいっす」


 少し関心しながら、クライスの話をきいて剣は仕方ないにしろ髪色までは変えなかったことを後悔する。

 しかし、今の話を聞いているとラルクは確実に地上げ屋に攫われた可能性が高いだろう。


「今の話ぶりだと、ラルクはキメラに攫われたと思ってもいいのか?」


「ええ、間違いないっす。しかもすぐにでもあの一帯を地上げる気でいるっすよ。今頃やさしーく取引でもしてるんじゃないっすかね?なんでも物凄く強い傭兵が用心棒として仲間に入ったとか」


 真偽は定かではないが大した情報網だ。

 クライスは事も投げにそういうが、だとしたら早めに店に戻ったほうがいいだろう。


「兄さんはあの女性と旅をしてるんっすよね?なんで一人旅って言ったかは知らないっすけど、この件からは手を引いた方がいいっす」


「何故そこまで私たちにこだわる?ほっておいてもいいだろう」


 私がクライスの話を否定せず単刀直入に聞くとクライスは


「情報屋の感っすよ、兄さん達と知り合っておけば得をするって」


「情報屋が曖昧な事をいうんだな。まさかとは思うが、俺たちの事を誰かに話すか情報を売ったりしたか?」


「まだ、誰にも話しても売ってもいないっすよ。信用がこの仕事の肝っすからね。この話も今後のためにタダでいいっすよ。だから…」


「一応気にかけておこう、物はついでだが…」


クライスの言葉を遮り、声をワントーン下げる


「キメラのアジトはしってるか?」

10/28改稿

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