6話 『何系?タイプは無限大』
カノンたちが高校時代のアルバムを見つけたよ。
「あ! フューズいたよぉ。あんまり変わってないねぇ」
「そりゃあまだ一年しかたってないんだし」
「ウィールさんも変わってませんね」
「スナッファー、いつから髪ほどいたっけ?」
みんなを探している内に担任の先生も見つかった。
「わぁ、先生いたぁ。懐かしい」
「カノンは三年間一緒だったわよね」
「――馬?」
「何が?」
【ウマ系】
「動物で例えるとだよ」
「先生が、馬?」
「優しくって、きれいじゃん?」
「それは、そうね」
「でも怒ると怖いじゃん」
「アンタくらいにしか怒らないわよ」
「なんでよぉ」
「一時間目から爆睡してたら当たり前でしょ」
【イルカ系】
「そう言うアンタは何なのよ」
「う、うーん。どう思う?」
自分で考えるとよく分からないものだ。
「カノンはイルカじゃないかな。人懐っこいし」
「それだと頭良くないと」
「じゃあ、犬?」
「だったらもう少し指示に従って欲しいわね」
【オオカミ系】
「ウィールはオオカミだと思う。一匹狼って奴?」
「実際のオオカミは群れで生活するんだよ」
「じゃあオオカミね」
「オオカミですわね」
「え?」
「おじさん言ってたわよ。私たちの話してくれるって」
「あら、顔が真っ赤ですわ」
【動物系?】
「スナッファーは――竜?」
「まんまじゃない。と言うか、あれ動物なの?」
「生物、ではありますわね。そもそもわたくしはドラゴンですわ」
「お父さん龍族じゃん。て言うか違いあったんだ」
「クォーターまでは竜で通りますわ」
「へぇ、血の濃さなんだ。え? それで翼生えて火吹けるの?」
(竜の血、強っ!)
【羽系】
「結局何がピッタリかなぁ」
「タカとかワシとか、合うんじゃない?」
「分かる分かる! 鳥っぽいよね。狙った獲物は逃がさないって感じ」
「あら、これは喜べばいいのかしら?」
「私はバカにしてないよ!」
「普段怒られてるからってそんな過敏にならなくても」
高校時代を思い出すフューズ。
(いや、むしろうさぎ側ね)
スナッファーは元地味子。
【ねこ系】
「フューズは猫かな?」
「私はちょっと違うと思う」
「でも、ツンデレな感じは分かりますわ」
「別にツンデレじゃないわよ」
(そこで目をそらすあたりが、だよねぇ)
「分かった、ライオンだよ! 怖いもん!」
「アンタ本気で狩るわよ!」
【キツネ系】
段々楽しくなってきたカノン。
「次いでだから他の人でもやろうよ」
「他の人ぉ……鍛冶屋の姉妹、とか?」
「だったらメディはキツネね」
「キツネ?」
「商売上手でずる賢い」
「でも、看板娘だよ?」
「だからよ」
「ああ」
【チーター系】
「妹がこれだと、クレアさんは何かしら?」
「普段静かで」
「狙うと即行で真っ直ぐ」
まとめると。
「チーターだこれ」
「なんでも作れそうだね」
「そっちじゃないわよ」
【陸海空】
「つまり私はイルカで」
「僕がオオカミ」
「わたくしはタカ」
「で、私は猫か」
「全域制覇したね!」
「そんなに嬉しい?」
「だって私たち無敵じゃん」
「一匹打ち上がってる感じよね」
「ひどい!」
【我等捕食者也】
「んー」
「何よ急に唸り出して」
「みんな肉食だよね」
「まぁ、そうね」
「食われる側がいたらいじろうと思ってたのに!」
「アンタ性格悪いわね」
「ついでにおごってもらおうと思ったのに!」
「アンタいい性格してるわね」
【相性】
「タカとオオカミは気が合いそうだよね」
「確かに同じ舞台にいそうよね」
「主人の指示で動くの見たことあるなぁ」
「でしたら主はフューズさんですわね」
「べ、別にそんなんじゃ――」
流石に気が引けるフューズ。
「私じゃないのぉ?」
「カノンさんのショーも見てみたいですわね」
「それって使われる側じゃん!」
【しまいには】
「使うって聞くと『威を借る狐』ってことわざを思い出すわ」
「キツネは確かメディさんでしたわね」
「だったら、チーターの威を借る?」
「借りてるってことはないでしょうけど、実際利益の半分はクレアさんなのよねぇ」
「小隊の武器防具を半日で仕上げたそうですわよ」
(やっぱりチーターだ)
【すみ分け】
「じゃあ今日はお開きで」
「どこかに食べに行く?」
「僕も行くよ」
「じゃあわたくしも空からついて行きますわ」
「まだ言ってるのスナッファー?」
楽しそうに歩いて行く。カノン以外は。
【つながってるから】
フューズが戻って来た。
「何止まってるのよ。ほら、行くわよ」
「私海だし」
「は?」
「一緒に行けないし」
「そんなことでいじけないでよね」
「私いなくても楽しそうだし」
大きなため息を吐くフューズ。
「やっぱりアンタはイルカじゃなくて犬ね。そんなに構って欲しいなんて」
「だって」
「いいから行くわよ。犬なら追いかけてきなさい」
「フューズ――ナイスツンデレ」
「カノン今日は帰るってぇ」
「ごめんって!」