15話 『一掃収穫キノコ狩り』
秋、と言えば――読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋、そして――食欲の秋。
「キノコ狩りじゃー!」
「おー!」
「店で待ってっから、期待してるぞー」
期間限定クエストに出発です。トリガーやメディたち、アテナも一緒に秋の味覚を堪能します。
【優先度】
「今年もこの季節がやって来たー!」
「うるさい」
「ごっ飯ー、ごっ飯ー、キっノコーごはーん!」
「飯より勝負なのです!」
「ご飯よりもか?」
「よりもなのです」
「じゃあ代わりに取り分ちょうだい」
「それは困るのです!」
【実力主義】
「ストックぅ、ルールを決めるです」
「ん……では、より多く、より大きなウメタケを討伐してきた人が勝ちにしましょう」
ウメタケ、キノコ型のモンスター。秋になると山に大量発生する。片っ端から狩り尽すのが毎年の恒例行事――いわゆる松茸狩り。
「自分の分は自分で倒すのです!」
「待って」
「ウィールねえ?」
「それだと二人の巻き添えでサポート組が白飯になる」
【第三者の余裕】
「せっかくですからチームを組みましょう」
「それなら平等なのです」
「では、私とアテナさんで決めましょうか」
「お二人は参加されないと?」
「ええ。審査と調理をしまぁす」
「へぇ」
(――被害なくない?)
「じゃあ発表しますよぉ」
「早ぇ!」
【相性】
「一組目、スナッファーちゃん、クレアさん、グリップさんの冒険者チーム」
「私、冒険者じゃないけど」
「違和感はありませんわ」
「二組目、ウィールちゃん、トリガーちゃん、サイトちゃんの通訳者チーム」
「……!」
「うん、頑張ろう」
(――サポート二人?)
「三組目、カノンちゃん、フューズちゃん、メディちゃんの保護者チーム」
「大人の貫禄ってやつだね」
「言っとくけど、アンタの保護者ってことだからね」
「それじゃあ皆さん、たくさん採って来てくださいね」
「ちょっとバランス悪くねぇですか⁉」
【灯台下見る気なし】
冒険者チーム――。
「と、始めたは良いものの」
「なかなか見当たりませんわね」
「ねぇ」
「どうしました?」
「さっきから――」
足元を小型のウメタケが駆けて行く。
「――どうして狩らないの?」
「わたくし、動き過ぎると眠くなってしまいますの」
「自分は細かい動作が苦手で」
(案外、難あり?)
大物狙いで行くようです。
【一点集中】
通訳者チーム――。
「二人とも今は何ができるのです? しばらく一緒に戦ってないから分からねぇです」
「僕は障壁と回復。サイトちゃんは?」
「……。……、……」
「うーん、障壁に回復、強化と弱体化ぁ……。うん」
「うん」
「……」
「戦力はどこですか!」
「頑張ってトリガー」
小型を狙うことにしました。
【放任主義】
保護者チーム――。
「じゃあ私は倒した分を担ぐわ」
「まぁ、名前の通りに行こうぜ」
爆音と風が落ち葉とモンスターを吹き飛ばす。
「おりゃおりゃおりゃー!」
「あー、結構向こうまで飛んだな」
「拾ってくるわね。カノン見てて」
カノンに任せることにしました。
【上手に焼けました】
崖にて――。
「グリップさん、後ろ、頼みますわよ!」
間に置かれたウメタケめがけて火球が放たれる。燃える炎は背後を抑えていたグリップにも達する。
「――すごい。熱も感じないとは、流石はクレアさんの盾」
「うまくいきましたわね」
「ついでに焼けた」
「一石二鳥ですわ」
【負の信用】
「後はどうしましょうか。これだけで、欲張っても三人分はありそうですが」
「二人に合わせる」
「わたくしは十分ですわ。勝負に負けて何かあると言う訳でもありませんし」
「ストックさんたちの分は」
「多分、大丈夫」
「どうせ処理し切れないほど採って来るのが落ちですわ」
(うちの人たちって妙な信頼あるなぁ)
【始めにやっとけ】
「二十、二十一、二十二!」
バフ込みで縦横無尽に飛び回るトリガー。
「トリガー、戻って。一旦休憩」
「疲れたですっ」
「……」
「サイトちゃんもお疲れ。ところで」
「ん? じっと見てどうしたのです」
「いや、今の時点で一人七つだから、どこまで取るのかなって」
「もちろん時間ぎりぎりまでなのです!」
「――あれ? 制限時間、言ってたっけ」
「……!」
「だったらカノンに勝つまでです!」
(頼むカノン、早く飽きてくれ!)
【何?】
「飽きたぁ!」
「そりゃ、これだけ撃ってりゃ飽きるわな」
「二人とも手伝って。カノン、足元の踏まないでよ」
散乱しているウメタケを回収。
「なんか、別のが交じってるように見えるんだけど」
「じゃあ勝負関係ないね。食べていい?」
「ん? やめときなさい。それ毒持ちよ」
「なしてそんなもんが一緒くたになってん⁉」
「メディ、分かるでしょ。そんな余裕はなかったわ」
「大丈夫ぅ? うめぇウメタケ食ったら元気出るって!」
「Oh……cannot say what」
【確かにモンスターだけど】
一同集合――。
「皆さぁん、お疲れ様でぇす」
「では結果を見てみましょう。まずは冒険者チーム、討伐数は一ですが、大きさと室は一番ですね。通訳者チームは、すごい数ね」
「流石に一番なのです!」
「そうねぇ。質も良くて、暫定一位ですねぇ」
「それでは最後に保護者チーム……ウメタケ、ボロボロね」
(あれだけいつもの調子で狩ってたらそうなるわよね)
「でもストックさん」
「はい?」
「もろいキノコの方が悪いと思います!」
「砲弾を受けて無事なキノコなんて食べたくありませんよ」
【虫の声】
「ウメタケ狩りはこの辺りでお開きにして、お店に戻りまし――」
でかい腹の虫が鳴いた。
「カノン」
「食べたい」
「あのねぇ――」
「いいじゃん。食べよう。七輪とか醤油とか持って来たんだぜ。諸々込みでこのお値段」
「アンタがめついわね」
「で、食べる? 食べない?」
「――ストックさん」
「焼きましょうか」
「やったぁ!」
――どっかの誰かは、嫌な予感がした。
【憂いなし】
――戻って来た。
「お帰り。どうだい収穫の方は」
カノンが親指を立てる。
「おお!」
「超うめぇ」
「うぉい!」
「安心しろ店長。残りはうちで確保してある――格安で提供してやるよ」
「ありがとよ畜生!」




