13話 『あの子とこの子』
極めて自由な冒険者たち。誰と噛み合うかはその日次第――。
「グリップぅ」
「おや、カノンさん」
「大きいからすぐ分かるねぇ」
(随分とストレートな)
今日も今日とて巡り合い。
【ここぞとばかり】
アットマートにて。
「いらっしゃい――珍しいな。スナ嬢」
「ひと月ぶり、でしょうか。研磨剤をいただけます?」
「何十キロ?」
「業務用ではありませんわよ」
【親しき中には礼儀なし】
「お金持ってるんだから買ってくれたとしてもいいじゃん?」
「出費は自分の稼ぎからと決めておりますの」
「もったいねぇ」
「メディさんのような商売人の方は特にそう思うかも知れませんわね」
「いや、それだけの意識があって一緒にいるのフューズたちなんだなって」
「仮にも貴女の親友ではありませんの?」
【"とも"と呼ぶ】
「ウィールさんはともかくさ、カノンちゃんはアレでしょ?」
「アレ、ですわね」
「で、フューズに至っては初めから諦めてる感があるって言うの? よく冒険者続けてるなぁって思う訳よ」
「流石は親友ですわね。良い理解者ですわ」
「付き合いはスナ嬢の方が長いんじゃない?」
「やいてます?」
「お嬢さまほどじゃないよ」
【……。】
道脇で見合うフューズとサイト。
「……」
(どうしよう。ばったり会ったはいいけど、何を言ってるかまるで分からないわ)
「……。……!」
何かを思い付き、バッグから何かを取り出すサイト。
「……」
「それを私に?」
――スプーン。
(ど、どうしろとっ!)
【何の話】
トリガーたちの拠点にはウィールとストックの姿が。
「へぇ、結構広いね」
「四人いますからね」
「いくつ?」
「言いませんよ?」
「いやいや、歳のことだよ」
「それなら――言いませんよ」
「惜しい」
【悲しいわー(棒)】
「それはさておき、実際どうなの」
「どう、とは」
「居心地。トッキー的には?」
「うーん、どちらにせよトリガーちゃんたちがいますから、あまり変わりませんね」
「僕たちはいなくても同じかな」
「あ、ごめんなさい! そんなつもりは」
(この大人はいじりたくなるなぁ)
【塞翁がうま】
「それじゃあお詫びをしてもらおっかな」
「あんまりひどいことはなしよ?」
「んー……。うちの新メニュー考えてよ」
「妖精料理を?」
「父さんも顔見たがってたよ。それに、僕も妹弟子の腕前を知りたいからね」
二人はウィールの実家で学んでいたときから親しい仲。
「どちらもその道には行きませんでしたが」
「いやぁ、あのときは軽く修羅場だったね」
【……!】
サイトからスプーンを渡されたフューズ。
(スプーンって何。スプーン……スプーン……曲げる……手品! 暇つぶしに見せてってこと?)
器用に曲げて見せるフューズ。
「はい。どうか――な?」
(すっごい首横に振ってる。え、待って泣かないで!)
違ったようです。
【ここであったが】
「暇なのです!」
(今日はみんないなくてクエストも受けられないのです。一応外には出たですが、変わらず暇なのです)
「ん?」
誰かを発見したトリガー。よく見ると?
「あー! お前は」
振り向く女性に近付く。
「廃工場の大会で邪魔して来た奴なのです!」
トリガーは現場を見てた人。
「アレがなければカノンを引きずり下ろせたのです!」
「――すみません」
(あれ? あんなことする人だから掛かって来ると思ったですが、分かりやすく落ち込んでしまったのです)
【今回は……】
「は、反省してるなら別になのです」
(噛みつく相手を間違えたのです)
「ん? 何なのです、その大荷物は」
「仕事。私、鍛冶師だから」
「――半分持つのです」
「え?」
「怒ったお詫びなのです。……ごめんなのです」
「――ありがとう」
【暇なだけなんだからねっ!】
「着いたーのでふ」
「お疲れ様。それで、さっきは何してたの?」
「そ……むぅ。みんな忙しくて暇だったのです」
「良かったら仕事見てく? あんまり面白くはないけ――」
クレアの袖をつまむトリガー。
「――ど?」
「い……です。見るのです」
「どうぞ。お昼食べた?」
「まだなのです」
「何がいい?」
「――いなり寿司」
【……♪】
(結局分からないわ)
「……」
「え、何? ああ、一旦返せと。ちょっと待って戻すから。それで、口? 食事か! 指差し? 私と、サイトちゃん。一緒に、ね。じゃあどこ行きましょうか――ん? 違う。え、違……あ、合ってる。バタバタして、急ぎ? じゃない、と。ああ、今じゃなくて、今度ね。なるほど。いいわよ。それじゃあまた今度ね。ばいばい」
(――次はウィールに同伴してもらおう)
【天然の鉱物】
ところ変わって。
「グリップ何してたのぉ?」
「トレーニングを少々。日々の鍛錬は日課ですので」
「へぇ、それで大きいんだね」
「――まさか、それが原因で」
「冗談だよ。体格は種族のでしょ。私がツッコむって何よ」
【気の回しどころ】
「ウィールもそうだけど気にし過ぎだよぉ」
「ですが、やはり気になるもので」
「女の子だねぇ」
「――一兵のおごりでしょうか」
「私は好きだよぉ? かっこいいし」
「カノンさん……」
「それに他にも好きって言ってくれる変わった人はいるよぉ」
「"変わった"はなくて良いのでは?」




