約束の1人(如月 皐月)
俺は、考える。今後について…俺は、生きていたいのだ。何としても…
しかし、今の現状的に…死ぬ?
この現状、打破しなければ死ぬ。間違いなく死ぬだろう。
何せ、食料危機なのだ
「食べ物がない=飢え死に=ふざけるな」は、何としても避けなければならない。俺は、「生きていたい」のだ。故に、食べ物が無いとかマジ論外。詰まり、食べ物を確保しなければならない。
「さて、どうしたものか?」
そう、此処から出れば俺が餌食になるだろう。ラノベやアニメ、ゲームの主人公は、きっと覚醒して見事撃退するだろう。もし、死にかけたとしても運良く生き延び鬼畜の最強主人公へと成り上がるのだ。
だが、俺は知っている
飽くまでも、創設の中だけなのであると…。都合良く覚醒して敵を倒したり、成り上がって最強になるとかガチ無いから…存在しないから。まぁ、でも偶に居るけどね…極稀にね…チッ。
俺は、知っている。
いたとしても、それは主人公であればの話だ。誰かの心の中の主人公でなければならない。誰かに認めて貰わなけれなら無いのだ。そして、誰かが「物語の主人公みたい」と思われなければなら無い。悪役も同じだ。
詰まり、俺は主人公になど決してなれやしない。ヒロインや脇役も無理。そもそも、俺に役などない。もし、あるとするなら……ああ、ごめん、。やっぱり、ないわ。
ということで、俺は詰んだ。じえんどでしゅ。
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ふ、ざ、け、ん、な〜☆
詰んで、たまるかってんだアホ。漸く、生きる渇望を見出した瞬間にthe endとかギャグでも笑えな…いや、笑えるかな。
さてさて、どうしたものか?
最善なのは、誰かに取って来て貰うのが一番ベストなの……あれ?この場合、能力を使って命令する事は可能じゃないか?おお、早速生きる残る為の活路を見いだせた。ツイテル〜。さて、誰に命令しよ〜かなぁ〜、あれ?俺の奴隷っていたっけ?…………?詰んだ?いや、確かに要るのはいるのだが。この場に…
「私の邪魔をするなぁっ!!」
ん?外から誰かの声が…
声音的には…
俺は、洞窟の中からコッソリと外を見た。
「犬如きが、私の邪魔をするなぁ」
1人の女性?が、数匹の狼(?)を剣で蹴散らしている。
す、凄ね…流石会長と言うべきか。しかし、食料危機に襲われていた俺にとっては嬉しい誤算である。食料を得る機会が出来たのだから。いや、何とも嬉しい限りだ。彼の頭は、会長の事など忘れかけていた。しかし…
「やはり、其処にいたかゴミめ」
あ、気付かれた。これ、マズくね?嫌でも、【強制奴隷】で俺に攻撃出来ないはず…そうだよね?きっと、そうだよね?
狼を蹴散らし終えた会長は、あろう事が此方に向かってくる。
「あの〜、会長?何しに此方まで?」
駄目元の会話を…
「ふん、どっかのゴミがこの私に【強制奴隷】とかいう能力を使いおったのでな。ゴミ掃除の為に、態々ここまで来てやった」
「へ、ヘェ〜、其れは又大変そうで…。会長ってモテますからね〜。奴隷にしたがる人もいるのでしょうね!しかし、誰でしょうねぇーその命知らずは、あははは」
「ああ、全くだ。だが、その人間は私の目の前にいる。なぁ?そうだろう?ナギ ユイト?私の約束の人よ」
うわぁ〜、名前と過去を覚えていやがった。最悪だな…しかし、賭けてみよう…
「は?」
彼の一言は、周り雑音を搔き消した。そう、スッとぼけである。
「?」
「?」
お互い、静寂に包まれた世界で見つめ合う。
「お前、ユイトじゃないのか?」
マヌケ顔になっている会長が尋ねる。
「だ、誰?」
「本当に覚えてないのか?」
「一応、言っておきますが…俺の名前は那岐 唯兎ですよ?読み方、間違えてますよ?だから、ステータス見せたくなかったんですよ。勘違いして『そんな、カッコイイ名前はおまには似合わねぇ〜』とか言われるだろうし」
口から出まかせを言ってみる。我ながら、良くその場でスラスラ出てきたものだ。しかし、彼は覚えていない。この世界の名前は、カタカナ表記だったという事を…
「なちまた? ただうさ?」
「はい、ただうさです。何ですか?」
「あ、あははは、スマン。人違いだ。改めて考えれば、キサマの様なゴミがユイトの筈ないしな。私は、どうやら冷静さが欠けてたようだ」
軽くdisるな。なんか、悲しくなるだろ。
「一つ、聞いても良いですか?」
「何だ?」
その、高圧的態度止めません?威圧されてる様な感覚に陥って嫌なんですけど。もしや、それ系統の固有能力を…
「その人、誰ですか?会長は、普段ならば冷静さが欠ける人ではない筈なので…気になりますね」
「私の初恋の人だ」
「はっ?」
今、コイツ何ていった?いや、えっ、マジで?ウソーン。衝撃的過ぎる。しかし、【強制奴隷】の発動可能な条件を充たせるし嘘ではなさそう。
「何だ?可笑しいか?」
会長は、此方を睨んでくる。怖…
「い、いや、驚いてしまって。まさか、会長が恋をしてたとは…」
「以外か?」
「ええ、以外でしたね。会長を惚れさせる程、魅力がある男がいた事に…」
「ああ、そうだな。優しくて、無鉄砲で其れでいて泣き虫。なのに、何時も何時も私を助けてくれた」
ねぇ?褒めてるの?それとも、貶してるの?
「ヘェ〜、そんな人がいるんですねぇ〜」
こういう時は、相槌に限る。
「ああ、しかし色々な事情で思いを告げる事なく離れ離れになってしまった」
「其れは、又々お気の毒に」
「だから、次こそ思いを告げる為に彼を探している。そして、キサマと勘違いしたようだ。どうやら、冷静さが欠けてたようだな」
いや、合ってるよ100%。でも、昔の俺なら…あの頃から変わらずに生きてきたとしたら…間違いなく…
「まあ、でも、100%振られますね。きっと」
「……」
おい、睨むな怖いだろ。
「だって、まるで会長の真逆じゃないですかぁ〜。高圧的態度で、人を傷つけて嘲笑う」
「………」
「そんな会長が、そんな理想の男性と付き合う?無理ですね。絶対にムリですって」
「………」
「きっとその人、先輩に会ったら減滅するでしょうねぇ。会長の淀ん目を見て絶望するでしょうねぇー。かつての、親友が此処まで変わり果ていると」
「………」
彼女は、何も言えない。きっと自覚が、あるのだろう。当然だ、今まで虐げてきた相手が目の前にいるのだ。
「知ってますか?昼に蹴られた所?」
「…っ……。」
そう、私は彼の顔を蹴った。いや、運悪く顔に当ててしまった事を。
「目にあたったですよ?そして、潰れました」
「なっ…、いや、でも…」
彼女は、驚愕した。…だって目は二つ開いているのだから。
「ええ、治ってますよ。女神様が治してくれましたので。でも、出血した時にハンカチで止血してたので…」
彼は、ポケットに手を入れて何かを取り出した。
「見えます?この真っ黒なハンカチを」
彼が、取り出したハンカチは真っ黒だった。
「このハンカチ、本当は白色で俺のお気に入りだったんですよ?」
「…ぇ?」
『でも、黒色』と彼女は混乱する。いや、分かっている。しかし、理解したくないのである。
「目の出血を、ハンカチで抑えていたらご覧の様に固まり黒くなりました。どれだけ、出血したか分かってくれましたか?会長?」
「すまん。いや、すまなかった。『謝らなくて良いですよ』本当にす…えっ?」
「謝らなくて良いですよ。許すつもりなんてないし」
許すつもりがない?彼女の頭は、この言葉により思考停止にした。
「其れより、会長。今は、俺の奴隷でしたね。知ってます?会長?主人の命令は、絶対らしいですよ?さぁ、何を命令しましょうか?」
彼は、笑っていた。その笑顔は、余りにも悪魔染みていた。
「あ、あああ」
思考停止になっていた頭がフル回転し始める。そして、頭はフル回転の末、一つの結論に達した。そう、彼は、私に「復讐」する気なのだと…。しかし、彼の返答は予想より斜め上であった。
「なーんてね。俺みたいなクズかそんな事、出来るわけないでしょ」
「へっ?」
「それに、会長に復讐的な事したら俺も同類じゃないか。そんなの、御免被ります」
「…復讐しないのか?」
弱々しい声だった。会長の何時ものクールさは、消えていた。
「うん、しないね。だって、会長が哀れ過ぎて無理。会長に同情するなんてやっぱり俺はクズだな。アハハハ」
「哀れ…?同情?」
自分が哀れ?どごが?同情?何に?
「ん?分からないの?だからさ、会長は異世界に来て元の世界には戻れない。詰まり、二度とその彼には会えないんだぜ?今まで、探し続けた初恋の彼を…。これを〈哀れ〉言わずに何と言うんだ?同情するねその哀れさには、てかある意味天罰?まぁ、会長に似合った天罰だね」
「な、ななな」
そうだ、私は彼にもう合う事が出来ないのだ。一生会うことが、出来ない。そんなの…そんなの…そんなの、
絶対嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ。
そ、そうだ。きっとこれは、夢なんだ。
そう、夢。あははは、夢。夢だよな。夢じゃなきゃ可笑しい。だから、自分が虐げた人間が私を追い詰めるのだ。現実なら絶対にあり得ないじゃないか。夢、これは、夢で悪夢。目が覚めれば…
「覚めてるよ?君は、ずっと」
彼には、分かる。彼女が、今何を何を考え感じているのか…。何せ、この状況、あの顔は昔の彼にそっくりなのだから。何度も、夢だと思いながらも覚めない夢。そして、現実が俺に笑いながら告げる「夢じゃないから」と…。
「何なら、俺が頬を抓ってやろうか?」
「や、…いゃ。や、めて、くれ…」
彼女は、泣き始めた。そして、現実を受け入れまいと一歩ずつ後退していく。
「命令、動かないで」
命令で彼女を動けなくする。そして、彼女の方へ一歩、一歩ずつ近づいていく。足音をわざと立てながら。ゆっくり、ゆっくり歩いていく。
「嫌ぁ、…くるな…お願い…だからぁ」
コツコツ。足音が近づいてくる。
「くるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ、」
ゴテン、どうやら恐怖で腰が抜けた様で尻餅をついた。
しかし…足音がコツコツと近付いてくる。
「…ぃや…ゃぁめ…て」
気が付けば、彼は目の前に立っていて哀れな少女を見下ろしていた。
「…や、ぁ、ぃや。やめ『止めない』」
「止めなる訳ないでしょ」
彼は、膝を折りしゃがむと手を頬へと向ける。
「ぁ…ああ」
そして、頬を軽く手でさすった。そして、親指と人さし指を輪っかにして頬を優しく摘んだ。
「痛い?」
彼は、尋ねる。
「いた……くない?本当に…夢だった?」
彼女は、夢だと分かり安堵した。
しかし…
「これから段々痛くなるから。しっかり、現実を味わいなよ」
彼は、摘んだ指に力を少しずつ入れていく。
「いたく、ない。いたくない」
哀れな少女は、徐々に感じる痛みを感じてないと言って自分のナニカを保とうとする。
「痛い?」
「…ひっく、いたひっくない。いたひっない」
泣きながら、感じてる痛みを否定する。流している涙、それは痛みによるものでない。
彼は、抓っている指を徐々に引っ張り始めた。
「痛い?」
「いひゃく、ない」
「痛い?」
「い、いひゃくない」
「痛い?」
「いひゃ…くない」
ニヤリ、彼は笑った。少女の言葉が濁ったことに。
「痛いだろう?」
「ひゃ、めてくへ」
そして、此処まで来た。遂に彼女に「やめて」を言わせた。
「何で?」
理由を問い詰める。何故、止めて欲しないのかを。
「…ひょ、れひゃ」
そう、言ったらお終いの言葉。
「痛いからだろ?痛いから止めて欲しいんだろ?痛みを感じてない事を突き通す為に。痛みをを感じてしまったら現実を知ってしまうからなぁ?」
「ひ、ひがう」
彼女は、否定するしかない。そう、彼女は否定しなければならないのだ…
だが…
「違わないだろう?痛いんだろ?頬が腫れてるぞ、痛いんだろ?どうだ、現実の痛みは?そう、これは現実だ。二度、最愛の彼には会えないし、思いも伝える事が出来ない。聞いた限り、優しくて聡明な人みたいだからねぇー〜彼女ぐらいいるんだろうねぇ〜きっと。それなのに、君は思いを告げる事も出来ずに最愛の人が君以外の誰かと付き合って。結婚して、さぞかし幸せな人生を送るのを指を咥ええ見てるだけしか出来ないんだよねぇ〜、あっ、ごめん見てることすら出来ないんだった…アハハハハハ」
「あ、あっ、ああ、あああ」
「アレ?聞こえてる?おーい、顔がR18指定になってるぞぉ〜。戻って、来ぉーい。かいちょーー」
「あああ、あっああ」
こりゃ駄目かも、てかどんだけ俺に依存してんの?正直、病気だよ其れもかなりの重症…まっ、俺には関係ないもんねぇ〜だ。ハァー、スッキリしたぁー。
それにしても…目が白目で口パックリ、顔は鼻水と涙でぐちゃぐちゃ、頬は赤く腫れている。うん、えっちいね。あと、可愛い。
「あああっ、あっあああ」
うん。そして、この発言。グッドです。小動物っぽくていい。そして、気付いたら頭を撫でてたり、頬を摩ったり、首を撫でたりと色々やっていた。 俺って以外と危ない性癖かも知れない…まぁ、自重する気は一切ないけどね。
「ユ……ィ…ト……」
あっ、いつの間に寝てるし。それにしても、彼女はまだ諦めていないらしい。いや、違うな。多分、自己安定させるためなんだろうね。あっ、面白いこと考えた…
彼女の耳元ので…
「ユイトには、会えない」
「ユ……イ…ト、あ、…え……な…い」
「そう、会えない」
「…い…あ……。」
「でもね、会えないんだ」
「い…ぁあ……」
「ユイトって言ってごらん」
「ユ……イ…ト」
「あと、千回言えたら会えるよ」
「ユ…イ……ト、あ…ぇ…る」
「うん、会えるよ」
「ユ……イ…ト、ユイ…ト」
こうして、彼女は坦々と呟く、そして、742回目で深い眠りについた様でそれ以後は呟かなっかった。
「チッ、女の子に名前を千回言って貰えると思ったのに…」
そうだ、能力で皐月のステータスを覗けるか試してみよう。
「命令、皐月のステータスを表示」
《キサラギ サツキのステータスを表示しますか? YES/NO 》
おっ、出来た。しかも、声音付きだ。しかし、本人の意識がなくても確認出来るようだ。詰まりは、本人の意思も無視できるだろう。どうやら、奴隷の人権はないようだな。
目の前の画面のYESの方をタップ。すると画面が切り替わり…
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Lv. 7
名前: サツキ キサラギ
種族:神に選ばれし勇者
職業:|勇者
LP: 6375/6500
MP: 1500/1500
能力
New「剣術Lv.3」
固有技能
【回復魔法】
称号
【勇者】
【神に会いし者】
【虐げる者】
【愛を追いし者】
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皐月のステータス高過ぎる。確か俺のステータスは…アレ?思い出そうとしたら何故か目から食塩水が…
それにしても、固有能力と能力の二分割されているな。それに、能力の「剣術Lv.4」にNewが付いているって事は手に入れてから、然程経ってない様だ。しかし、何処で手に入れたんだ?
まさか…と思うけど狼と戦っている最中に身に付けたとかないよな?流石にな…ないよな。
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剣術 Lv.4
剣筋だけなら騎士レベル。冒険者でならば生きる事には苦労しない。
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ほうほう、冒険者というテンプレが有るのか…。しかも、Lv.4で苦労せずに生きれるのか…羨ましい。人生とは、どれだけ楽をして生きていくかだ。楽の為なら、どんな苦労も惜しむ!?面倒いのヤダ。
あ、固有能力には回復魔法のヒールも有るのを忘れてた。回復魔法は、必須だろ色々な時に使える万能魔法だ。それはもう、色々な時にだ…(意味深)
てな訳でポチッとな…
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【回復魔法】
自己回復力を促進させる。
(但し、回復力は使用者のMP量に依存する。)
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ほぉ、回復魔法ってのは自己回復力を底上げする事で怪我を治すのかぁ〜。詰まり、病気になったとしてもMPがあれば、お医者様は必要ないのか。えっと、確か俺のMP量は…あれ?おかしいなぁ?又、目から何かが溢れてきた…。
《奴隷の能力を確認しました》
《これより、奴隷の能力を会得します。従って複製を実行致します》
おっ、これで回復魔法を手に入れられるっぽい。ヤバい嬉しすぎる。
《複製、完了しました。複製能力を擬似能力に改造します》
改造?はっ?どういう事?
《複製能力から擬似能力に改造が終了しました》
《能力を会得しますか?》
画面に、《 YES / NO 》が現れるが…迷いなくYESをタップ。
《能力を会得しました》
さぁ、さぁ、さぁ、俺のステータスは…
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Lv. 1
名前: ユイト ナギ
種族: 人間の上位種
職業: 無職の引き籠り
LP: 63/100
MP: 20/20
能力
New「剣技Lv.3」
固有技能
【強制奴隷】
New
【回復魔法(擬似)】
称号
【神を狂わせる者】
【使徒を狂わせる者】
【狂神に創り変える者】
【狂天使へと変える者】
【似せる者】
【本物を超える者】
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職業欄…酷く有りませんか?流石の俺も傷付きますよ?確かに、仕事はしたくないですけど…
其れより、「剣術」が「剣技」に変わってる…これが改造?説明、オネシャス…
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New「剣技Lv.3」
剣技とは、剣術の進化した能力でありLv.1で国戦力となりうる。
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…………。よし、次行こう。
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【回復魔法(擬似)】
傷を治し体力、MP、HPを回復させる(但し、回復力は使用者のMP量に依存する)
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ヒャフゥ〜、最高の能力じゃないか。MPを使ってMP回復…つ、強過ぎる。何という強さ。まさに、無敵だ。はっはっはっ〜俺のMP量は50。……アレ?駄目じゃない?
まぁ、能力が手に入っただけでも素晴らしいと思わなければ…
さて、皐月を起こすか…もう夕方だしな。
「起きて、会長」
そして、会長の顔にぺシッとピンダ。
「起きろ、クソ女」
そして、会長の顔をおも一気しピンダ。
「死ね、ビチグソお『やめろ』あっ、起きた…」
「会長、大丈夫ですか?特に頭の中が」
「んんん(殺すぞ)。」
起きて、そうそう殺人予告止めてくれない?寿命が縮んじゃうぞぉ?
「どうぞ、構いませんよ。殺せればの話ですけど」
「っ……」
そう、【強制奴隷】で侮辱行為は出来ない。なので、上手く言えなかったのだ。さらに、暴力行為も不可能。詰まり、結局殺すとか論外。
「理解が早くて助かるよ、会長さん」
「何が望みだ」
「まず、此処に来た時のこと覚えてる?」
「…っ……」
生徒会長が苦い顔をする。
「覚てえる?」
「……。」
ふむ、言いたくないのか…仕方ない。
「命令、言え」
「覚えてる…ぅっ」
コイツ、泣き虫?毛虫?茶碗蒸しのアレですか?
「何処まで?」
「頬を抓っられた時まで、だが、その後の記憶は…」
「失禁したんだよ。そんで、顔がヤバかった。オジサンがいたら…襲われてただろうね間違いなく…」
「嘘だろ?あはは、冗談だろ」
「いや、マジで。顔が鼻水と涙がぐちゃぐちゃで、目が白目になってて、あろう事か、漏らしてた」
「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
ふっ、しかし事実だ。漏らしたこと以外はな。
「嘘じゃない。流石に引いたよアレは…ね…。現実って残酷だね…」
「あ、あああ。もう、私…お嫁にいけない」
「そもそも、お前を貰ってくれる所なんてないだろ?」
「ううっ、酷い。いくら何でも、酷すぎる」
すまん、事実だからな。それに、俺が悪いのでは無くお前が悪い。
「いや、酷いのは日頃のお前だろ?バーカ、アホー。一生、独身で泣き続けてろ」
「……私だって……、好きであんな事…」
は?お前、鏡を見た事ないのか?俺を虐げてた時なんて1番生き生きしてたぞ?
「あっ、そういうの結構なんで。謝罪は、受け付けてないので」
「くっ…私だって…私だって……キサマらの様な人間とは、違って命掛けでこっちは生きてるんだ。同族の親に虐げられて…クソッ。それでも、私は生きてきたんだ。キサマらの様な、裕福な家庭で生まれ生温い人生を生きてきた奴が…何で私より上なんだ。クソッ……クソッ。何故なんだ…」
「バカだ、バカがいる」
「……どう意味だ」
うーん、分からないかなぁ?分からないかぁ〜、だから駄目なんだよねぇ〜きっと。
「自分は周りより上な筈だから何をしてもいいと?」
「…当然だろ」
え、マジで言い返せるの?凄いね、君の頭…てか、本能?
「だから、おとぎ話でテンプレの様に退治されるんだよ」
「へっ?」
「『へっ?』じゃねぇよ。だって、そうだろ?自分の力を過信し過ぎて調子に乗った挙句、人間に滅ぼされるのがお前らの種族だろ?九尾の化け狐さん」
「な、なんで…」
「いや、だってこの世界はファンタジー世界たぜ?能力で丸分かりだろ」
いや、実際は子供の時に遊んでた頃、結構な頻度で頭の上に狐耳があったし…思えば疑問も抱かず遊んでたあの頃は…。
「さてと、君の弱みも握れたし…命令、訊いてくれるよね?色々な意味で」
「ま、待て!?それよりも…私は既に皆んなにもバレて『其れはない』」
「俺は、違うけどお前達の種族は【神に選ばれし勇者】になってるから、多分ステータスを見られくらいではバレないね」
「そ、其れは本当なのか?」
「ああ、飽くまで仮説だがな。けれど、記憶を覗き見る能力とか、人物の歴史を見たりする《スキル》とか、自白系統はバレるだろうな」
「もし、いたら?」
「お前の言動次第だな。多分だが、さっき述べたような能力には何かしらの制約や対価、代償や条件がある筈だ」
「そうなのか?」
「ああ、俺の【強制奴隷】にも一応あるしな。言わないけど」
「……っチッ」
チッじゃねぇよ。何、舌打ちしてんだよ助けてやってるに…
「要するに、強力な能力であればある程、条件や制約、背負う対価や代償も高くなる。必然的に、態々、お前なんかの為に使わねぇだろうよ。何か仕出かさない限りはな…」
そう、俺の能力の【強制奴隷】は条件もキツイが奴隷にした後の対価という代償は異常だ。
「私は、どうすれば…」
「知るか」
何、絶望した顔になってるんだよ。バカか?何時ものクール会長に戻れよ。
「…と言いたい所だが……」
そう、コイツに何かあれば高い代償が付く。
「今は、とにかく今は城に戻れ。もう、日が落ちかけている。さっさと、戻らないと其れこそ怪しまれるぞ?」
「そして、もう二度と此処には来るな正直邪魔。てか、お前を見ていると…。それと、俺との関係や出来事をずべて忘れろ命r『待ってくれ』」
「何だよ〜?」
「何故、記憶を消す必要があるんだっ?確かに、此処には来て欲しくないだろうし私とは、二度と会いたくないのは分かる。だが、記憶を消す必要はないだろう!何故、記憶を消す必要があるっ!?」
「おい?何か勘違いしてないか?記憶を消すんじゃない、忘れるんだ。俺の事を話されては困るからな」
「ならば、『自分の事を話すな』と命令すればいいだろう?」
「あっ、それもそうだな。命令、俺の事を誰かに伝える事を禁ずる」
会長って、もしかして頭がいい子なの?いや、まさかな…そんな筈は……。
「な、何だ。何で、以外そうな目で見るんだ!」
「いや、だって会長が頭いい事を考え付くからさ正直…大丈夫かな?って心配しただけだよ」
「そんな、心配など要らん。わ、私は頭は良い方だぞ!何せ私は優良枠の人間だぞ!」
「有料枠だと、そんなバカな…。だって、会長なのに…。あの会長にも関わらず…その会長が優良枠だと…そんな…」
「な、何だ。そのこの世の終わりという顔は!?わ、私は、お金がないから頑張って優良枠に入ったんだぞ。凄いんだぞ!それなのに、それなのに、そんな私が頭いいだけで「この世の終わり」という顔をするな!?泣くぞ?泣いちゃうぞ?後悔するなよ?本当に泣く…ぞ。泣い…ちゃうぞ…ぐすん。」
『優良枠』、それは俺達の私立学校にあった特別制度であり中間と期末の3学期分それとと年末の試験で上位10%に入った場合のみ学費を免除するという有難い制度ある。
「よしよし、会長は良く頑張りました。それで、先月の期末は点数は幾つだったんですか?」
会長の頭をナデナデして落ち着かせる。
「449…」
うっ、マジか。確か、先月の上位10%の最下位は449だったよな…あれ?最下位って会長!
「うう、何故それを…うわーん、でも、頑張ばったんだよぅ…ぐすん。そ、それにキサマどうなんだ?ええっ?人に聞いといて自分は言わないのか?」
……。あれ、口に出てた?ごめん。
「言ってもいいですけど泣きませんか?」
「キサマの点数で泣くものか、どうせ300がいい所だろ?」
「俺は、『優秀枠』です」
「へっ?」
会長は、固まった。
「おーい、会長?」
返事がないただの会長のようだ。
「……ぐすん。ううっ…」
あっ、泣いた。だから、言わん子ちゃない。
『優秀枠』、それは上位3%に入れた時点で卒業するまで学費をタダにしてくれる、それはそれは有難い異常制度なのである。但し、1回でも上位10%から外れた場合は…退学。正に異常制度なのである。
「あっ、因みに先月の期末は498でした」
「……嘘?」
「本当ですよ、学年トップです」
因みに2位は476。つまり、20点差以上付けてぶっち切りでトップ。
「それより、話し戻しますね。命令、城に着いたら俺との記憶を忘れて下さい」
多少、強引に話しを戻す。
「だ、だから何故」
「会長の為ですよ」
「私の為?」
「そう、皐月の為」
彼は、皐月の頭を優しく撫でた。
「ゆ、ゆゆゆ、ユイト?」
彼女は、自分の頭を撫でいる人物が一瞬、ユイトに見えた。おそらくは、彼女の本能という「不確かはモノ」が、ユイトに残っていた過去の面影を彼女自身に見せたのだろう。本能が告げている『目の前の男こそが彼女の想い人本人なのだ』と…
「ごめんな、強くて優しいユイトはもう居ないんだ」
「ユイ…ガハッ」
「少し寝ていててくれ、起きたら全てが元通りだから…。それまでは…」
彼女は、目の前の想い人によって溝に拳を入れられ…
「ユ…ィ………ト」
と彼の名前を言いながら意識が遠のいていった。
「ごめんな、ユイトが俺で…。ごめんな…」
〈彼の謝罪は誰にも届かない〉