プロローグ
「ガウッ…ガウ。グルルルッ」
「く、来るなっ!」
見た目は、4歳ぐらいだろうか?髪は黒色で短髪、目はクリクリしていて身長は100cmもいかずに顔も小さい。このことから幼き少年は4歳ぐらい?だと判断できる?…。
その幼き少年なのだが…
彼は今、深刻な状況に陥っている。
まぁ、大人から見れば大した事(?)ではないのだが…。
分かりやすく言えば、野良犬に襲われているだけである。大人であれば簡単(?)に追い払う事が出来るであろう。
だが、子供逹にとっては違う。彼らから見れば化物だと言わざる得ない。
考えてみて欲しい、自分より大きな体を持っていて牙が生えている。これだけでも、結構クルものがある。にも関わらず、奴は吠えるのだ。大きな唸り声あげるかのように…。改めて考えると恐怖を感じないだろうか?
しかし、これはまだ運がいいと言えるのであろう。幸いにも彼が対峙しているのは犬である。そう、犬なのである。
彼が今いる場所は、森…いや、山が正しいだろう。故に、熊や狼などが多数生息している。つまり、もしかしなくても熊や狼に会うのは必然である。逆に山に野良犬が生息しているのが稀であろう。けれど少年は偶々、野良犬がいる山に居て偶々、熊や狼に会わずに偶々、犬に遭遇したとなる訳だ。確かに、ある意味では運がいいと言えるであろう。
まぁ、でも、野良犬に、遭遇してる時点で運が悪いとも言えるが…
少年は、手に持った木の枝を振り回し必死に目の前の野良犬を追い払おうとしている。見た感じ状態を悪化させている様にしか見えないが。完全に相手を刺激している。
それと、ここで一つ訂正しなければならない。この場に居るのは、何も少年だけでは無いということ。
(というかぁ〜さぁ〜、何時、1人しかいないって言った訳〜?)
そう、少年の後ろにいて気付き難いかも知れないが…
「…ううっ」
「ひぃっ!」
「だ、大丈夫だ!僕が、お前らを助ける」
4歳ぐらいの少女に、中性的で性別の判断し難いが多分少女であろう4歳児。彼女逹は、少年の後ろに隠れている。そして、少年の着ている服を掴んでいる手は震えていて、顔は泣きべそ状態である。
それにしても、「だ、大丈夫だ!僕が、お前らを助ける」なんて…何ともキザな男子である。
まるで、正直テレビに出てくるヒーローみたいである。しかし、年が4歳なら納得も出来るが…。
「生意気なガキだ」とか「正義の面に吐き気がする」という奴もいるだろう?
男性が子供の時は「生意気だ」と言われるがちだが実際は、「現実を知らない、知識が無い、自分自身を知らない」の方が正しいだろう。子供は、何も知らない故に自分が『正義のヒーローであり、最強の主人公』だと思っているのであろう。だからこそ、ヒーロー番組を観て変身グッズを買いたがるのである。自分も誰にも負けない最強ヒーローであり全てが正しいと…。
更には、子供は年功序列を知らない。故に自分が、上だと無意識に感じ、それが言動に現れるのであろう。
しかも、自分は優しい人間で正しい人間と本気で思ってるいる。
『そう、子供は何も知らないのだ。
だが、知らない事は罪だ。
故に、罪を犯し続けている。
それなのに、知ろうともしない。
そんな子供が、大人になる。
故に、大人も罪を犯し続ける。
そして、犯し続けた罪が裁かれる時…
皆、口々に言うのである。「知らなかった」と
知る時間など、大いにあった筈なのに…
だからこそ、「知らなかった」では済まされない』
話を戻そうと思う…
この2人の処じy…ゲフンゲフン、少女は幾つかの特徴がある。
一つは、
彼女逹がまだ、処じy…グハッ!?…、そして幼じy.グヘッ!?
… クッ。誰だ俺に蹴りをぶち込んだのは!?
「お兄様?起きて下さい朝ですよ?」
そんな、声が聞こえる。どうやら先程の出来事は夢だったらしい。まぁ、確かに第三者目線だったし…。
「うぃー、起きやすゼェ〜」
むくりと、起き上がり「お兄様?起きて下さい朝ですよ?」と連呼している目覚まし時計を止める。
えっ「妹じゃないの?」って?いる訳ないだろ。ていうか今時、「お兄様」なんて言う妹が本当にいると思ってるのか?冗談は、俺の存在だけにしてくれ…。それと、蹴られたと思った腹は、単に本が落ちてきて腹に直撃しだけだった。
ベットから出て学生服に着替える。
(省略されました)
てか、男の着替えとか誰得?カットして当然だろ?
財布と鞄、鍵を持って家を出る。
朝飯?金がねぇんだよ。えっ、親が作ってくれる?
エッ、ナニソレ、スゴクナイ?
正直、俺には親は居ない。居るにはいるのだが…。まぁ、単に厳しい家だったと言えば良いのだろうか。
俺は、那岐家の22代目として産まれた。那岐家は代々、那岐派流技刀を12歳までに完璧に受け継がなければならない家系であった。 そのため俺は、3歳から木刀を握らされた。最初に持った時、余りの重さに木刀を落として足を痛めて親には、「仮にも、刀を落とすとは何事だ!!」と顔面パンチを貰ったの覚えている。
だが、この時はまだ知らなかった…この家を…
5歳になった時だった。うん、今でも覚えてる。いや、忘れる事など不可能だ。
そう自分の5歳の誕生日。一生、忘れる事の無い誕生日を…
俺の誕生日には、プレゼントなんて物は無かった。が大きなケーキを毎年買って来てくれてる。その時は、ご馳走が出て父と母が笑って僕も笑っていられる日だった。
そして、5歳の誕生日もそんな日になると思っていた。
そう多分、俺の人生という歯車はここで壊れて砕け散ったのだろう…
「唯兎、話がある。こっちに来い」
稽古終わりの静まり帰った道場は、何故かこの時の父の声を異様なまでに澄んで響かさせた。
唯兎とは、自分の事だ。しかし、今の自分の頭には夕食の御馳走の事で頭が一杯になっており、父の声など聞こえる筈も無かった…はずだった。
その時の父の声は、自分にとって恐ろしく静かで、澄んでいたのに恐怖すら感じた。
「な、何でしょう、父上」
父の前に立ち尋ねる。自分は、知らずの内に何か、仕出かしたのではないかと思いながら。
「由姫子が、もう直ぐ出産を控えている」
そう、母のお腹の中には新しい命が宿っている。つまり、自分はお兄ちゃんになる訳だ。
「女の子だそうだ」
父の顔は、未だ見ぬ娘を思いつつ笑顔で告げる。
「故に、唯兎。キサマは、要らん。この家から出て行け」
へっ?この時、自分は産まれて初めて言葉を理解する事が出来なかった。正直、何を言っているのか分からない。
「それと、キサマの名前、苗字を剥奪する」
「待って下さい、父う『ゴッ』」
最後まで、言い切る前に沈む様な音が響いた。そう、蹴られた。当然、勢いを余して飛ばされ最後に床に後頭部を強打で着地?した。
「二度とその言葉を吐くな」
怒声とわまるで逆の静かな声だった。しかし、怒声より遥かに恐ろしさを感じた。
「キサマの様な才能ない息子持った覚えない。態々、2年も割いたというのに…全く。産まれくる娘は、キサマの様な『能無し』ではない。22代目は、娘に継がせる。娘に感謝しろ『能無し《クズ》』
「ど…ぅか、な…ま……っ…だけ……は」
そう、名前だけは…。父と母から貰った名前だけは…。そして、「唯一の友達と再会《約束》」のためにも…。一連の父の言葉は理解出来なかったが、『コレだけは』と本能が突き動かした。
「ふ、ざ、け、る、な、。キサマの様な奴になど名前は不必要だ」
自分の父だった男が此方に近づいくる音がする。目は、何故だか開けられ無かった。泣いていたのか、腫れていたのかは今でも分からない。
そして、『ドカッ』と腹の辺りから鈍い音がし彼の意識は其処で消えた。
そして、現在に至る(ドヤ顔
えっ?5歳〜の人生が聞きたいだと…
単純に地獄だったよ。蟻地獄の様だった。這い上がろとすればする程落ちていく。そんな、感じだ。
起きたら、児童養護施設に手紙と一緒に預けられていた。
手紙の内容は、
____________________________________
キサマはもう、俺の子ではない。
好きに生きるが良い。
キサマの名前だがな、
「乃羽無子」
どうだ?キサマ《クズ》に相応しい名前であろう?
そんな、クズに入れ知恵だ。
暴力行為を起こした場合…首が飛ぶ。
那岐家の事柄を口外した場合…首が飛ぶ。
其れだけだ。
さっさと死にやがれクズめ
____________________________________
であった。
流石に読み方は、施設の人に頼んで変えて貰い「乃羽 無子」となった。何だか、女の子ぽいが「のうなし」よりは全然ましだった。
まぁ、でも結局はバレて「のうなし」というあだ名で周りから色々受けた。
小学校に入った。色々受けた。
中学校に入った。何も変わらなかった。
高校に入る事が出来た。しかし、状態は変わる事はない。
つまり、自分が本当にクズだと証明出来た訳である。しかし、クズになったお陰で色々と学んだこともある。いや、大いにある。故に後悔は、していない。というか、何に後悔すればいいのだろう?
「着いた」
ようやく少年は学校に着いたのである。