世界の崩壊
今からたった数年。
そう遠くない未来。
人類は皆、2020年の東京オリンピックを迎えることはなかった。
人々は皆、嘆き、悲しんだ。
だれが神の教えに背いたか、誰が悪事を働いたか、誰が、誰が、誰が、誰が、誰が、誰が、誰が誰が誰がだれがだれがだれがだれがだれがダレガダレガダレガダレガ・・・・―――
神はこの世を捨てた。
途端、世界が枯れ始めた。
水は消え、草木は枯れた。動物たちはやがて姿を消していった。
草木もない、水もない。誰もが苦しんだ。
あるのは干からびた土、土、土、土、土・・・―――
何処までも、どこまでも、干からびた大地が続いた。
やがて水に飢えた人々は今にも倒れてしまいそうな体を引きずって地面を掘った。
何もでないはずの土地を、ただほり続けた。
***
「水だ!水が出たぞぉぉぉおお!!」
一斉にその場へ集まる人々。
水・・・・?
のどが渇いた。
早く、早く水が飲みたい。
「この子に、この子にその水を与えてください!この子だけでいいですから!!」
おかあさんは私の背中を押した。
一瞬にしてたくさんの人の前に立たされた私。
「いいだろう、お嬢さんほら、この水をお飲みなさい。ただし、一口だけだよ?」
人柄のよさそうなおじさんがニコリと笑った。
まるで水を得た魚のようにみんなが見詰めるその“水”へと目をやった。
「・・・・・・・・・み・・・・・・・・ず・・・・?」
そこのには水なんてなかった。
水なんてない。
そこにあるのは、いかにも有毒そうな怪しい黄色っぽい・・・・・・水?
「まって・・・・・これ・・・」
これは水じゃない。
その言葉は、あのおじさんの手によって消された。
口の中では酸っぱいような苦いような・・・・・・体中の水分がさらに唾液となって吹き出しそうな・・・・恐ろしい味。
酸っぱい、苦い、味じゃない、こんなの・・・・・・
『“水”じゃない』
そこで私の意識は途切れた。
それ以降、私はこの地球で目覚めることはなかった。
そう、一度も・・・・・―――