青と遊園地
本日はヒノリの提案によりコテツの奢りで遊園地に来てる、この遊園地は絶叫マシーンが有名な所、数々の奇抜なマシーンやギネス級のマシーン、後はデカイお化け屋敷があるのでも有名だ。
コガネは遊園地に入った瞬間から手が痙攣し始めた、そこまで怖いのかよ。
前にヒノリから聞いた情報によると、コガネは絶叫マシーンで泣いたらしい、って事は重度の高所恐怖症、今日は気絶するまで乗らせるか。
とりあえず俺らは一番人気のから乗る事にした、これは高さが半端な高さじゃない、つい最近までは世界一だったらしい、でもこれくらいなら登れるかも。
コガネは並んでる時からダダをこねてたけどヒノリが腕を抱いてたから逃走はできなかった、マシーンに乗る前になって大騒ぎしはじめたけど、俺とコテツで無理矢理乗せた。
「ちょっと待った!本気で無理なんだよ!マジで死ぬから!」
「コガネ、往生際が悪いよ」
俺とチカは先頭、その後ろにツバサとコテツ、更に後ろにはうるさいコガネとヒノリ。
「発車しま〜す」
「おいテメェ!何スタートさせてるんだよ!」
「行ってらっしゃ〜い」
発車させるのにコガネの了解がいるのもどうかと思うけどな、しかも係員は営業スマイルでシカトしてたし。
このジェットコースターの感想を一言で言うと、メチャクチャ楽しかった、人が集まる理由が分かるよ。
チカは軽く腰が抜けてる、コテツとツバサは相変わらずはしゃいでる、問題はコガネだ、隣で満面の笑のヒノリをよそに気絶してる。
俺らが頬を叩いても起きない、しょうがないから俺は魔法の呪文をコテツに耳打ちした、コテツはその魔法の呪文をコガネの耳元で言うと、コガネは目を開いてコテツにフックで殴った、コテツは軽々避けてたけど。
「カイはんわい殺す気でっか!?」
「どうせ当たらないだろ」
「確かに」
コガネはフラフラになりながら立ち上がった、ヒノリに支えながら何とか出たけど、かなり惨めな姿だな。
「私最近出来たクルクル回るの乗りたい」
「アタシも」
「僕は何でも良いよ」
「わいもOKやで」
「みんな、コガネの事忘れてない?」
虚ろな目をしてベンチに腰掛けるコガネ、軽く壊れかけてる。
「次は死ぬかもよ」
「コガネ大丈夫だよね」
頷いた……、ように見えるけどあれは意識が危ないんじゃないのか、しかもみんなYESと解釈してるし、ヒノリはコガネを立ち上がらせると腕を強く抱いた、あえて胸が当るように。
並んでる時のコガネは少し余裕だった、高さが無いからだと思うんだけど、本当の怖さを分かってないからだよ。
乗る時も全く嫌がらなかったし、もしかしてネジが一本抜けたとか。
走行中
「回る何て聞いてねぇよ!じ、地面が下にある!」
案の定分かって無かった、しかも涙声なんですけど、泣くくらいなら気絶した方がマシだよな。
「カイ何か回ってるぅ!」
チカは俺の腕を掴んだまま目を瞑ってる、それじゃあんまり意味ないよな、重力の変化を楽しむような乗り物じゃないもん。
「カイ!今度はバックしてるよ」
「座席回転してるからな」
「今度は目の前に空がある!」
俺の話をシカトされた。
終わるとコガネはフラフラだった、チカは目が回ってフラフラだけど。
俺らはとりあえずコガネのために休む事にした、テーブルを挟んで椅子に座ると、コガネは速攻机に突っ伏した、かなりの極限状態だったんだろうな。
コテツはトレーに飲み物を乗っけて六人分持って来た。
「ヒノ、悪いけど俺の取って」
「アイスコーヒー?」
「そう」
コガネは依然伏したまま、チカは俺の肩に頭を置いてジュースを飲んでる、チカもわりと絶叫系はダメとか。
「カイは大丈夫なの?」
「余裕、こういうの大好きだから」
「アタシはヤバめ、高くて速くて怖い」
俺らはコガネの懇願によりスローペースなモノに乗ってる、舟みたいな乗り物に乗って室内のセットを見ながら楽しむモノ。
コレはコガネも楽しんでる、チカも楽しんでるし、でも俺には下に水があるのが引っかかるんだよな、普通のなら舟なんていう設定にしなければ水はいらないだろ、俺の予想だけどコレはコガネがダメなタイプなうえに濡れるような気がする。
アトラクションも終盤に差し掛かりスピードも上がった、やっぱり俺の予想は当たったな、コガネはまだ余裕っぽいけど。
「カイ、何か明るいよ」
「落ちる準備しとけよ」
「えっ?」
とりあえずチカの片手はバーを掴ませ、片手は俺が握った。
明るいのは外にでるから、そして先に道はない、そのまま真下に落下、全員の悲鳴とコガネの奇声がこだまする。
終わるとチカは目が点、コガネはヤバそう、死んだ魚みたいな目をしてる。
あんまり濡れなかったのは幸いだな、コガネは降りようとした時にそのまま倒れた。
いつもは怖がられてるコガネのここまで情けない姿、他の奴らにも見せたいな。
とりあえず昼飯、女の子3人が弁当を作ってきたらしい、いつも作ってばっかりだから作られる立場ってのも良いな。
とりあえず弁当を広げた、なんか弁当って良いよな、心なしか和む。
「カイ、このタコさんウインナー私が作ったんだぞ」
「へぇ、タコ」
「何だよ?」
「可愛いじゃん」
チカの不安そうな顔が一気に笑顔になった、タコのウインナーなんて始めて見るかも、弁当なんて自分でしか作らなかったからな、俺が作ってたら引くだろ。
「何で玉子焼きが2種類あるんだよ?」
「コガネんよくぞ気付いた!どっちかが僕でどっちかがヒノノのだよ」
「じゃあこっちがヒノが作った玉子焼きだな」
コガネはだし巻き玉子の方を食べた、でも何故か雰囲気がおかしい、口をもごもごして明後日を見てる、俺は二つとも食べてみた、片方はだし巻き、片方は甘い玉子焼き、どっちも美味いんだけどな。
「美味いんだけど、いつものヒノのと違う」
「コガネん凄〜い!いつもは逆なんだけど今日は僕がだし巻き、ヒノノが甘い玉子焼きを作ってみました」
「コガネはだし巻きが好きだから、ツバサに作らしたら気付くかな、って思って」
コガネ凄いな、だし巻き玉子の味なんてそう簡単に分かるもんじゃないだろ、ヒノリの事なら何でも知ってると。
「ダメや、わいには分からへん」
「ダメだなコテツ」
「いやいや、コガネが凄いんだろ」
「そうか?唐揚げと、昆布のおにぎりと、エビフライ、ヒノが作ったんだろ?」
「凄い、正解」
みんな空いた口が塞がらない、長年連れ添った夫婦でも分からないぞ、作り方とか味付けとか個人差はあると思うけど、普通分からないって。
「コガネんカッコイイ!」
「普通じゃない、親のとそれ以外くらいは判断出来るだろ?」
「別々なら分かるけどごちゃごちゃになってたら分かんないし」
「アタシもカイのなら分かるよ」
「それはカイはんの料理がアホみたいに美味いからや」
「何か嬉しい」
ヒノリは顔を真っ赤にしてうつ向いた、コガネはこれがどれだけ凄いのか理解出来てないらしい。
勘で当てた訳じゃないし、ヒノリが作ったの全てを当てた、コガネって本当にヒノリしか見てないんだな。