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黒と大騒ぎ

冬休みは島で楽しんだし、宿題も全部終わったし、今日は家で思いっきりのんびりするか。

いや、アオミがいる時点で無理だってのは分かってる、実際チカと島にいた方が疲れないかも、それにかなりの間家空けたし、多分疲労が溜まる一方だろうな。


チカは10階で降りた、俺は14階まで昇り自分の家へ。

カードキーを滑らしてドアを開けると中からどんよりした空気が、そしてどんよりが凄まじい勢いで近付き、俺に抱きついた。

どんよりの根源はアオミ、目を真っ赤に腫らして、頬には涙がつたった痕が、どうしたんだよコイツ?

「カイ〜〜〜!寂しかったぁ」

それか、だからってそこまで号泣することじゃないだろ、俺の服はアオミの涙でビショビショだし、普通そこまで泣かないだろ。

「寂しかったよぉ、私死ぬかと思った」

「大袈裟だろ」

「寂しくてご飯も喉を通らなかった」

確かに多少やつれてる、俺は何も悪い事してないのに罪悪感が襲ってくる。

アオミを慰めてると肩をつつかれた、そうだ、すっかり忘れてた。

「アオミ、コレで少しは元気になってくれる?」

俺は玄関の外から人を呼んだ、アオミはその人を見た瞬間に一気に顔が明るくなり、涙を拭いてもう一度見直した。

「……………マミコ?」

「マミ姉東京のお兄さんの所に住むことになったから、いつでも会えるよ」

「マミコ〜〜〜!会いたかったよぉ!」

アオミはマミ姉に飛び付いて胸に顔を埋めてる、うらやまし…、じゃなくて!元気が戻って良かった。

「マミコ髪の毛可愛い」

『気分転換したの、似合う?』

「凄く似合うよ」

えっ?今マミ姉は手話を使ったのにアオミは理解した、アオミが手話を使えるなんて聞いた事ないし、もしかして親友特有のテレパシーとか?

「アオミ、何で分かったの?」

「カイの練習見て覚えた」

すげぇ、見ただけで覚えたのかよ、確かにアオミは頭が良い方だと思うよ、でも俺も2ヶ月近く必死に勉強したのに、アオミは見ただけで覚えやがった、恐るべし。

「こんな所じゃなんだから入ってよ」

マミ姉は頷いて家に入って行った、アオミも良い顔してたな、マミ姉も楽しそうだし、良かった良かった。


マミ姉とアオミはリビングで話が盛り上がってる、て言ってもアオミの声しか聞こえないけど、でも少しはマミ姉も回復に近づくでしょ。

俺は部屋で雑誌読んだり音楽聞いたりしてる、マミ姉のお陰で訪れたやっとの安息、最近はフル回転で毎日過してたからコレはコレでありがたい。

でもそんな事を知ってか知らずか誰かが家に入って来た、いや、この家に入れるのは俺とアオミともう一人だけ、って事は消去法で一人しかいない。

侵入者はリビングに行ってアオミと話して俺の部屋に近付いてる、ドタドタと大きな音をたてながら走って来た、ドアを開けると同時に俺に飛び付いてくる。

「お兄ちゃ〜ん!」

ツバサのダイビングをキャッチするのも慣れた、って何でツバサも泣いてるの?ツバサにはコテツがいただろ。

「ツバサは何?」

「じゅぐだぁい!」

クシャクシャになりながら泣いてたからとりあえず拭いてやった、で、今のを解釈すると、宿題をやってないから見せろ、と。

「コテツとやった方が楽しいだろ」

「コテツは稽古があるから無理だって、コガネんもヒノノも付け入る隙が無いし。………ダメ?」

そんな上目使いで言われたら拒否出来ないだろ、コガネとヒノリは納得出来た、コテツが稽古を理由に拒否するのが意外、そこらへんは真面目にやってるんだな。

そしていつの間にかマミ姉とアオミがドアに立ってる、俺らの騒ぎを聞き付けて来たのか。

マミ姉は俺とツバサの関係を知らないから焦ってるし、関係って言うと何か変な感じに聞こえるな。

「マミ姉、コイツは俺の異母兄妹だから、つまりアオミと俺の妹」

「はじめましてですよね?僕は鷲鷹翼です、いつもお兄ちゃんがお世話になってます」

お世話って、下らないところはしっかりしてるんだな。

マミ姉の自己紹介を通訳するとさすがのツバサでもショックを受けてた、説明したけど実際に直面すると違うもんな、でもツバサの良いところは適応が速いところだからな、既に気にしてない。

「マミコさんって呼んで良いですか?」

マミ姉は無言で頷いた、ツバサはマミ姉の手を取って飛び跳ねながら喜んでる、何が嬉しいのか俺には理解出来ないんだけど。

「マミコさんっておっぱい大きいですよね?」

「マミコのおっぱいは柔らかくて気持良いよ、ツバサ、触ってみたら?」

いやいや、アオミが許可することじゃないだろ、ツバサは既に揉んでるし、この光景は男子高校生には刺激が強すぎる、マミ姉の苦悶?の表情を浮かべてるし、俺の理性を発破で壊そうとしてくる、耐えられるか?俺。

「ん!んぅ…」

「「「喋った!」」」

今喋ったよな、いや、声を出しただけだけどかなりの進歩だよ。

でも何故かアオミとツバサは不適な笑を浮かべてる、確実に何か企んでるな。

「ツバサ、もっと揉めば喋れるようになるかもしれないわね?」

「お姉ちゃん!僕手伝います」

二人は一斉にマミ姉の胸を揉みだした、マミ姉は二人の攻撃に、俺は自分の理性の限界と戦ってる、既に限界に達している理性を抑えるのは、コイツらを排除するだけだ。

俺は二人の首に腕を回してマミ姉から引き離した、二人はバタバタしながらマミ姉の胸を揉もうとしてる、マミ姉に至っては壁に持たれながら床に座った、真っ赤にした顔が俺の理性にダイナマイトを投げ込んでくる。

理性の前に身体がもたずに俺の鼻から真っ赤な血が、何で僕はこんな所から流血を?

「お兄ちゃん鼻血だしてるぅ、エッチィ」

「カイも男の子なんだ、私のならいつでも揉ましてあげるからね」

俺は二人を無視して鼻にティッシュを詰めた、我ながら情けねぇ。

「じゃあカイ、私はマミコとまた話すから。ツバサ、キスまでは許す、それ以上は私が先よ」

「は〜い」

アオミはそのままドアを閉めた、その瞬間ツバサがキスを迫ってきたけど、手で押さえながら俺の宿題を机の上に出した。



ツバサは黙々と宿題を写してる、俺は隣で雑誌を読んでると、インターホンが鳴った、俺は部屋から出て、顔を確認するとチカがいる、何となく想像できるんですけど。

俺がドアを開けると本日三度目の抱きつき、俺の周りにはハグ魔しかいないのかよ。

「カァイ〜!」

「宿題だろ」

「そう、写さして」

「部屋に先客がいるから一緒に写せよ」

チカは喜びながら部屋に入って行った。

ってかヤバい、この家は女子人口率が80%に達した、俺の鋼の理性で今後起こる何かに耐えられるのか、正直自信がない。

女の子が多くて身の危険を感じたのしょっちゅうだけど、理性の限界を感じたのは初めてだ。

「カイ、そんな所でつったってないでこっち来いよ」

「あぁ」

「お兄ちゃんココはどうするの?」

まぁみんな自分の事で手一杯だから大丈夫だろ。




宿題をやっと半分写し終えたお昼時、俺はキッチンに立ってます、この状況下で率先して作るのは俺だけだしな。

本日は人数が多いので鍋です、昼から鍋はおかしいとか思ってる偏見野郎、料理ってのは作る奴の独断と偏見で決まるんだよ、俺の気分が鍋だから鍋、それに有り合わせで作りやすいし。

俺はコンロをセットしてだしの入った鍋を置いた、中に野菜やら肉やらを放り込んで、味噌やその他調味料で味付けすれば出来上がり、今日はいろいろありすぎて疲れたから楽させてもらいました。

「飯出来たぞ!」

俺の一声で全員が集まってきた、大勢で囲むのは鍋か焼肉が通例でしょ。

「カイ、鍋?」

「しょうがないだろ、有り合わせで作るにはコレが一番だし、何より疲れた」

「でも美味しいよ!お兄ちゃん」

「ホントだ、鍋もカイが作るココまで変わるのね」

マミ姉は無言で頷いてる、そこらへんの雄の鍋と一緒にされちゃぁ困るよ、なんせ俺が作ったんだから、鍋も三ツ星級だね、と自惚れてみたりする。

「ツバサ、野菜も食べなさいよ」

「僕野菜が苦手なんだもん、それにマミコさんが食べてくれるし」

「マミ姉は肉食べなよ、ツバサとかチカに取られるぞ」

「胸が大きくなるからあんまり食べないんだよね、マミ姉」

マミ姉は顔を真っ赤にしながら頷いた、何でコイツら胸の話しか出来ないんだよ、もっと話題はあるだろ。

でもまぁマミ姉も楽しそうだ良いか、ハヤさんの言う通り自然で心を休めるのも良いけど、みんなでワイワイも一つの手だよな。

もう一回マミ姉の声で喋れるその日まで、俺らは騒ぎ通すか。

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