青と甲板
今日は夏休み以来の帰省、半ば強引にアオミやらツバサやらをふりほどいて来てる。
いつもなら今頃は船内で爆睡してるんだけど、今日はチカに無理矢理甲板に連れて来られた、寝ようと思えば寝れるんだけど、元気なチカを見てると寝れなくなる、いや、寝るのがもったいないってのが妥当かも。
最近何故かチカが落ち着いてきて、こんだけ無邪気にはしゃいでるのは見てなかった、だから何だか嬉しくて。
俺はチカに腕を引かれるがまま船首に行った、風をもろに受けて気持良い。
「カイ!向こうで飛び魚が飛んでるぞ」
「ホントだ」
「また飛んだ!」
久々にこんなチカ見た、大人しくしてる時の100倍可愛い、癒されるなぁ。
「カイ、顔が赤いぞ」
「チカが可愛いからだよ」
「………………馬鹿」
チカは顔を真っ赤にして、また海を眺め始めた、やっぱり可愛いな。
でも何でチカは大人しくなったんだろ、今までは人目を気にせずに騒いでたのに、最近は控えてるように思える。
「チカ、何で最近大人しいの?」
「そ、そうかな?」
「そうだよ、何か元気そうじゃない」
チカは人指し指で頬を掻いて、目線を海から空に移した。
「カイが疲れちゃうだろ?」
「はい?」
「いや、だからぁ、最近コテツとかツバサのお守りやってるし、コガネとヒノリのコントロールもしてる、何かカイが全部動かしてるだろ。それにアオミさんとツバサの家族の事もあるし、アタシが甘えたらカイが余計に疲れるから………………」
「それだけ?」
チカは無言で頷いた、チカも下らない事考えるんだな、まぁ確かに疲れるけど、そこでチカがセーブするのは筋違いだと思うんだし。
俺は柵に捕まってるチカを被うように抱き締めた、チカは多少ビックリしたらしく、俺の顔を真ん丸の目で見てきた。
「バ〜カ」
「何がだよ!?」
「俺はチカのモノなんだから、甘えたい時に甘えれば良いし、頼りたい時に頼れば良い。チカにだけは我が侭して欲しいんだから、自分に嘘付くなよ」
「でもカイが疲れるだろ」
チカは物凄い不安な顔で俺の目を見てきた、少し惚気させてもらうと、この顔もメチャメチャ可愛い。
「あぁ、チカに気を使われるとこっちが疲れる」
チカは笑顔になって地平線に視線を移す、その瞬間俺は柵に背を預けて座りこんだ。
「どうしたの?」
「チカに気を使われたから疲れた」
「大丈夫か?」
「ダメだな」
「あぁあ、ゴメンゴメン!アタシのせいだよな!?」
あたふたしたチカも可愛いな、ってか俺さっきから惚気てばっかりだな。
「そうだよ」
「何かアタシに出来る事はある?」
「キスして」
チカの顔がみるみるうちに真っ赤になってく、あたふたが止んで、うるんだ目で俺の事を見てくる、そんな事されたら俺からしたくなるだろ、でもコレはチカへの罰?だ。
「ホントにキスだけで良いのか?」
「あぁ」
「分かったよ」
チカは目を瞑って、勢い良く触れるだけのキスをした。
でも俺は戻る途中でチカの両頬を両手で挟んだ。
「ダ〜メ」
「んん!」
そのまま無理矢理、今度は俺からキスをした、いつもよりも長く、五感が全て無くなるようなキスを。
チカを離すとそのまま床にへたれ込んだ、体に力が入って無い、目はトロンとしてるし。
「もしも〜し」
「久しぶりなんだから、………優しくしてよ」
そっか、チカはクリスマスの記憶が無いから久しぶりなのか、まぁ良いか、こんなチカも見れたんだし。
「チカ、早く立たないともっと激しいキスしちゃうよ」
「それはダメ、抑えきれなくなる」
何をだよ、何を抑えきれなくなるんだよ、試してみたい気もするけど、試すと怖そう、確実に変態路線に行きそう。
「カイ、カイのキスでアタシの心臓が壊れそうだよ。ほら」
チカは俺の手を取って自分の胸に押し当てた、しかも確実にこれは狙ってる、そうと分かってても何故か鼻が熱くなる、寒いからかな、鼻水が出てきた。
「カイ鼻血!」
「えっ、嘘?」
鼻に手を当てると手が真っ赤に染まってた。
チカにティッシュを借りて処置はしたけど、我ながら情けねぇ、この程度で鼻血出すなんて、コガネの事からかってられないな。
「これはアタシの勝ちだな」
「勝ち負けの問題か?」
「勝ち負けの問題だよ」
チカは俺と同じように柵に背を預けて座った、背中から風を感じるから余計に冷える、でもチカが俺の腕を抱いててくれるから、そんなの全くもってお構いなし。
「カイ、卒業したら結婚しよう」
「ハハ、気が早いな」
「良いだろ」
「良いよ、結婚でも何でもしてやるよ」
チカは俺の腕を抱きながら喜んでる、遅かれ早かれこの言葉が出てくるとは思ったけど、ココまで早いとはな。
「ねぇねぇ、アタシとカイの子供って紫色の髪の毛してるのかな?」
「単純に考えればそうだけど、遺伝子ってそんな単純な物なのか?」
「良いの!カイの子供だからカッコイイんだろうな」
「女の子だったらうるさいだろうな」
「それどういう事!?」
チカは頬を膨らまして怒ってる、このまま海に入っても頬だけで浮けるんじゃねぇの。
「冗談、可愛くて子離れ出来ないと思うな」
「男の子だったら蒼紫、女の子だったら紫紅って可愛くない?」
「気が早い」
チカの額を指で小突いた、でも確かに可愛いかも、後何年先だか分からないけど、現実になったら良いな、いや、現実にするか。
ガキの戯言、でも俺らは本気だよ、絶対に二人で幸せになる。