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青の苦悩

俺は妹に昇格したツバサと一緒にコンビニに向かってる、あのバーからコンビニ行くのとツバサの家からコンビニ行くのだと、ツバサの家の方が近いからチカの方が先に着いてると思うんだよね。

ツバサは腕にしがみついてて歩きにくいし、何度も言うようだけど、ほんのちょっと前までは親友でしかなかったんだぞ、しかもコテツの彼女っていう肩書付きで、それが今は腕を組んでる、絶対におかしい。

しかも感じがアオミにメチャメチャ似てる、だからかは分からないけど無理にほどけない。

コンビニにつくとチカは雑誌のコーナーで立ち読みしてる、俺は店内に入ってチカを呼んだ、チカは俺の声に反応して目があった、その瞬間読んでた雑誌が床に落ちた。

「……………カイ?」

もの凄い険しい表情をしてる、俺はよく分からずに周りを見渡す、そして左腕で視線が止まった。

そこには満面の笑のツバサがいる、ヤバい、俺も順応速度の速さに影響されてた。

「チカ、コレには深すぎる事情が」

「最低!そんの見せるために呼んだの!?」

「何でチカチカ怒ってるの?ねぇ、お兄ちゃん」

「……………二人ともそういう関係だったの?」

「そういう関係だけど疑似ではない、本物なんだよ」

「本物?」

何とか治まったみたいだけど、表情は明らかにキレてる。

俺は全てをチカに話した、ヤヨイさんの過去、ツバサの親の事、俺とアオミの親の事、そして納得して、…………フリーズ。

「分かるよ、俺もテンパったから」

「それでツバサが腕組んでるの?」

「あぁ、四色はブラコン家系らしいからな」

チカは大いに納得したらしい、何で姉妹そろって誤解を生むんだよ、俺には荷が重すぎる。

「でもツバサでしょ?」

「それが問題なんだよ、アオミはともかくツバサがコレは正直しんどい」

「お兄ちゃん酷い、やっと出来た兄妹なのに、僕はずっと一人で寂しかったんだよ」

「いや、それは分かるけど、チカが目の前にいるんだぞ」

仮にツバサを妹として受け入れたとしよう、でも彼女を目の前にしてコレは無しだろ、いや、普通に腕を組むのは有り得ないけどそこは大目に見るか。

「じゃあチカチカは右腕を良いよ」

「そういう問題じゃなくて………」

俺はツバサの頭を押して引き離した。

「とりあえず離れろ」

「僕の事嫌いなの?」

「嫌いじゃない、でも俺にも優先順位ってものがある」

「しょうがないな」

ツバサは納得したらしい、チカでコレだけ苦労したって事は、コテツの時は一発殴られるくらいの覚悟でいかないとな、でもコテツの一発だろ、不良殴った時に一発で頬骨折ったらしいし、逃げる事だけ考えるか。



俺達は俺の家?に向かってた、当然握ってるのはチカの手、逆サイドには後ろ手に組んでるツバサがいる。

ツバサには今度兄妹の許容範囲について教えとかないとな、最悪の場合添い寝が有り得る、アオミが夜這いをかけるくらいだからな。

俺はマンションにつくといつものようにオートロックをあけた。

「凄い」

「ねぇねぇ、コレホントにお姉ちゃんの家?」

「そうだよ」

「もしかしてお姉ちゃん、ホステスとか?」

「違うよ、それはまた後で話す」

俺はエレベーターの上のボタンを押した、最上階にあったエレベーターは徐々に降りてくる、一旦10階で止まったけど再びスムーズに降りる。

チンという音とともにエレベーターのドアが開く、中には二人の男の人がいた、でも何故か出てこようとしない。

「すみません、出ない…………」

「チカ?」

男内の一人がチカの名前を呼んだ、俺はビックリしてチカを見ると、チカはそれ以上にビックリしていた。

「兄貴」

「えっ!?」

「チカ嬢じゃねぇか!おい、コウ、チカ嬢がいるぞ!」

「うるせぇ、分かってる葉夜ハヤ

「チカ、もしかしてお兄さん?」

チカは無言で頷いた、奇跡的感動の再会?ってか世界は狭いな、ツバサの件といい、チカのお兄さんの件といい。

兄ことコウは赤に近い茶色で、メガネをかけている、一言で言うと冷めた奴、チカとは反対側の人間みたいだ。

ハヤと呼ばれた男は印象的には好青年だ、しかもどことなく雰囲気がユキに似てる、そしてハヤの一番目を引くのがドレッドの髪の毛。

「チカコイツら誰だ?」

「俺はチカの彼氏の四色海です」

「僕はチカチカの親友兼カイの妹の鷲鷹翼で〜す」

そういえばツバサって親友にしかあだ名つけないんだよな、普通の友達は名字だし、コテツはコテツ、ってことは俺はクラスアップしたのか?

「コウ、チカ嬢に彼氏だってよ!良かったなぁチカ嬢。あぁ、忘れてた忘れてた、俺は蘭葉夜、で、こっちがチカ嬢にお兄様の紅」

蘭?どこかで聞いた事ある名前だな、蘭、蘭蘭、蘭真珠子!マミ姉だ、って事は。

「もしかしてマミ姉のお兄さん?」

「おぉ!マミコの事知ってるの!?そう、俺はマミコのお兄様です」

「そんなのは後だ、チカ、彼氏ってなんだ」

怖っ、この人ただでさえ冷めてるのに声を低くすると怖さがでる。

「アタシの彼氏だよ」

「何だコイツは」

「何だとは何ですか!?」

「吠えるなガキが。こんな変な頭しやがって」

「色は自毛です、コウさんやチカと同じように。髪型は言っちゃ悪いですけど、ハヤさんよりはマシだと思いますよ」

「変じゃない、これはファッションだ」

「俺と同じですね」

コウさんは顔色一つ変えずに俺を睨み続ける、チカのお父さんでもこんな怖い顔しなかったぞ。

「チカ、これからどこに行くんだ?」

「カイの家だけど」

「男の家か?」

「そうだよ」

「おいガキ、テメェチカに手ぇ出したらただじゃおかないからな」

うわぁ、何も言い返せない、時既に遅しだし、もうこれ以上ないくらい手を出しちゃったよ。

この人の怖さは尋常じゃないな、もしかしたら今まで会った人の中で一番威圧感があるかも。

「チカ、コレは俺の部屋の鍵だ、コイツに変な事されたら俺んとこ来い」

「その条件だったら行く事は無いかな」

チカはこのマンションのカードキーを受け取った、絶対にチカを行かせないようにしなきゃ、俺が殺される。

「ゴメンなカイ君、コウはシスコンだからさぁ、妹が可愛くて可愛くてしょうがないんだよ」

「ハヤ!そんなに殴られたいか?」

「別に良いけど、そんなことしたら、カイ君にコウのシスコン列伝を夜通し語っちゃうから」

コウさんは顔を真っ赤にして舌打ちと共に歩きだした、ハヤさんも後を追って走って行った。

ってかコウさんのシスコン列伝ってのも聞いてみたいな、一晩かかるくらいのもんなんだろ。

その前に、コウさんがいなくなる前に言わなきゃいけない事が。

「コウさん!俺、コウさんよりチカを幸せにする自信ありますから!絶対に泣かせませんから!」

コウさんはそのままシカトして行った、ハヤさんは親指を立ててコウさんの後について行った。

俺が向き直ってチカを見ると顔が真っ赤になってる、ツバサも騒いでるし。

「カイの馬鹿」

「お兄ちゃんカッコイイ!あんなに堂々と宣言しちゃうなんて」

「俺は嘘つかないから」

チカの手を引いてエレベーターに乗った。




飯も食べ終わってみんなでテレビを見てる時だった、急に携帯が鳴りだした、ディスプレイを見るとアオミの名前が出てる。

「もしもし」

“カイ〜?私今日姉御と語り明かすからツバサとチカちゃんを家に泊めちゃって、カイが泊まりに行っても良いけどね………、プツッ”

「お、おい!」

一方的にきりやがった、しかもかなり酔ってたっぽいし、しかも泊めろって何だよ泊めろって、ヤヨイさんからの命令とか?

「カイ、どうした?」

「アオミとヤヨイさんが語り明かすってから、二人を家に泊めろだって」

“それは許さねぇ!”

大きな音と共に誰かが入って来た、赤茶の髪の毛にメガネの男とドレッドの男、コウさんとハヤさんだ。

それより何でココにいるんだよ、俺は部屋番号どころか階も教えてないのに。

「コウ〜、聴くだけって約束だろ?」

「チカ!男の家に泊まるなんて許さないからな!」

「その前に何でココにいるんですか!?」

「コイツチカ嬢が心配だから、ポストで部屋番号調べてずっと聞耳たててんだぞ」

スゲェ、そこまでやるとはアオミも真っ青だな、犯罪犯してまで妹を守りたいのかよ。

「でもカイなら安心だよ、ツバサもいるし」

「ダメだ!俺の家に来い」

「コウさんも男じゃないですか」

「兄はOKだ」

「今時兄が妹に手を出したって例もありますからねぇ」

ちょっとからかったら顔色が変わった、この顔は完璧ぶちギレモードだ、殺される。

「すみません、冗談です」

「とりあえず、チカ、俺の家に来い」

「カイ、ゴメンな」

「別に良いよ」

コウさんとハヤさんとチカが出ていった、コレで俺とツバサの二人っきりになっちゃったな、…………ツバサと二人っきり?

「お兄ちゃん!」

「おい!馬鹿!」

ツバサが飛び付いてきた、最悪な予感的中だ、今のツバサはアオミ級に危ない、ブラコンモードマックスだよ、コウさんと良い勝負だな。

「お兄ちゃんと二人っきりだ、ねぇ、何する?背中流しっこ?」

「しねぇよ!コテツに殺される」

「大丈夫だよ、兄妹なんだから」

「あのな、兄妹でも風呂には一緒に入らないし、抱きつきもしない、実際のところ親友よりも浅い存在なの」

「えぇ、僕の見てるアニメはキスもしてたのになぁ」

どんなアニメを見てるんだよ、しかもツバサの兄妹の基準はそこからか、アオミの言った妹萌えが半強制的に執行されそうだな。

「じゃあさぁ……」

「添い寝もダメ」

「ケチ」

「ツバサは‘お兄ちゃん’って存在とどこまでしたいの?」

「ファーストキスはしたから…………!」

ツバサは慌てて口を押さえたけど全部聞いちゃいました、顔を真っ赤にしてる、コイツ墓穴掘りやがった。

「キスぅ?お兄ちゃんによく話してみな」

「馬鹿馬鹿!お兄ちゃんの馬鹿!」

「冗談だって、それより、キスまでするつもりだったの?」

「そうだよ」

コイツ危ない、完璧にアオミと同族だ、アオミは更に高みにいるけど、問題はそこじゃない、こんな姉妹に囲まれてたら俺は犯罪に手を染めそうだよ。

うらやましいとか思ってる変態ども、ちっとも嬉しくないからな。

「でも言ってたじゃん、兄でも妹に手を出すって」

「それは間違った例だよ」

「でも添い寝くらいなら許されるよね?」

「許されない、それにコテツがいるだろ、コテツと寝ろよ」

「男の人と寝たことないから恥ずかしくて出来ないよ」

俺は男じゃないのかよ、ツバサの中では兄ってのはまた違った部類に入るのか?

コテツ、助けてくれよ。

「お兄ちゃんってチカチカには積極的なのに、それ以外には硬派なんだね」

「いや、俺がノーマルなの、よりによって何でツバサに四色の血が流れてるんだよ」

「僕が妹じゃ不満?」

「いや、四色のブラコンの血が不満」

「僕の事嫌いなんだ………」

なんだかしょんぼりしちゃった、鼻をすすりだしたし、何で女の子に泣かれると何でも許しちゃうんだよ、女の涙は核兵器だな。

「ツバサ泣くなよ」

「お兄ちゃんに嫌われたぁ」

ガキかコイツは、でもこの場をどうやってやりきるか。

……………ゴメン、チカ、コテツ、殴るなら殴れよ、俺は目の前で泣いてる妹を平気で放っておけるほど悪魔じゃない。

俺は仕方なくツバサを抱き寄せた、罪悪感が身体中を支配してる、これは兄としてだ、決してツバサを女として抱き締めてる訳じゃない。

「大丈夫だよ、妹を嫌う兄なんていない、兄として好きだよ」

「ホントに?嫌いじゃない?」

「当たり前じゃん、知らなかったとはいえ兄妹だもん、アオミもツバサも同じくらい俺には大事だ」

「チカチカは?」

「ツバサとアオミが二人がかりでも勝てないくらい好きかな、でもコテツとかコガネやヒノリよりも、ツバサが大事だよ、家族だもん」

「…………お兄ちゃん」

みんなマジでゴメン、俺って最悪の男だよな、数時間前までは親友だった奴を抱き締めてる。

確かにツバサの事は好きだよ、でもチカの好きとは全く違ったもの、チカのタメならツバサやアオミでも投げ出せる、でもツバサとアオミのタメならコガネ達を投げ出せる。

親友ではない事は確かだ、でもまだ複雑なのも確か、それもこれも全部あのクソ親父のせいだ。

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