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多色のクリスマス

今回も主観が変わります、今回は男だけです。

チカを連れてくがまま喫茶店に連れて行った、店に人は少なくて静か、軽く怪しい雰囲気が漂ってて薄暗い、俺が散歩中に見つけた穴場。

散歩が爺臭いとか言う奴は可哀想だな、穴場とかも見つかるし、東京でも静かな場所はあるんだよ。

適当に食べ物頼んで来るまで待ってる、ただ一人の店員のおっさんはかなり静か、店同様に何か裏がありそうな感じだ。

「カイ、ここ大丈夫なの?」

「一回来てチェック済みだから大丈夫だと思う」

チカはそわそわしながら周りをキョロキョロ見てる、俺的にはこの店の雰囲気よりチカの行動の方が怪しいんだけど、それでコンビニに入ったら挙動不信で捕まってもおかしくないくらいだ。

「今日はホントにゴメンな、アオミの相手しなきゃいけないから時間とれなくて」

「別に大丈夫だよ、お姉さんには貸しを作らないとな」

「頼むからその‘お姉さん’ってのやめてくれない、なんか怖いんだけど」

「ダメ、保険だから」

女って怖いな、この歳から将来の保険をかけられてるなんて、チカを手放したくないのは確かだけど、その先ってのは想像できない。

俺は昨日渡せなかった物を取り出した、本当は昨日渡す予定だったんだけど、あれだったからな。

「コレ、とりあえずクリスマスの方」

「プレゼント?」

「落し物には見えないだろ」

「ありがとう」

チカは細長い箱を開けると笑顔になった、この笑顔が見ると気持ちが安らぐんだよな、チカは中からネックレスを取り出した。

「可愛い………」

「変じゃない?」

「最高だよ、最高に可愛い」

チカはネックレスを付けて俺に見せてきた、子供のようにはしゃぐチカ、俺はキリがなさそうだから誕生日の方を渡した。

「コレは?」

「誕生日、金がないから大したもんは買えなかったけど」

小さな袋を開けて引っくり返す、中からは髪留めが一つ。

「チカの壊れてただろ」

「知ってたの?」

「当たり前じゃん、一日だけ付けてなくて次の日からはいつもと違う髪留め、他は気付かなくても俺は気付いちゃうんだよね」

「付けて良い?」

「当然」

チカは今着けてる髪留めを外して俺のプレゼントをつけた、窓ガラスを鏡がわりに見てる。

「貰ってばっかりじゃ悪いよね。はい、コレ」

チカは袋を机の上に置いた、大きさの割には重め、中には長方形の箱が一つ入ってる、俺は一瞬でピンときた。

「チカコレって?」

「大したものじゃないけど」

「大した物だよ!超能力でもあるの?丁度欲しかったんだよね」

中身は包丁、最近使い過ぎてて切味が悪くなってきたところなんだよね、しかも俺が欲しかったやつ、チカのプレゼント買って金が無いから諦めたのに、ココで出会えるなんて。

「何か高校生っぽくないけど」

「いやいや、最高に嬉しいよ。でもかなり高かっただろ?」

「そう、そんな高いとは思わなかった」

「ありがとう」

確かに高校生向けではないけど、俺向けではあるな、チカ様万歳だよ、しかもこれマジで高いんだよね、俺のプレゼントの総額でもまだ足りないくらいに。

「決めた!この包丁で最初に作る料理はチカに食べさせる」

「ホントに!?」

「ホントに、今年中に最高の料理をご馳走します」

「楽しみにしてるからな」

「夜眠れなくなるくらい楽しみにしてろ」

二人で声を上げて笑った、静かで薄暗い店内が明るくなるくらい大声で。

でもその前にアオミにチカの家への入室許可をとらないとな、十中八九OKだと思うんだけどね。









朝起きると俺は床に寝てた、何でか分からないけどとりあえず布団に戻った、何か暖かい、多分落ちたばっかりなんだろ。

俺は寝返りをうつとそこには見慣れた顔が、銀色の瞳、真っ黒な綺麗な髪の毛、これは多分ヒノだな、………………ヒノ?

「どわっ!」

俺は再び床に戻る、そういえば昨日ヒノが泊まったんだよな、だから俺は床にいたのか。

俺は頭を強く打ち付けたらしく、痛い、ベッドに寄りかかって頭を押さえてると耳元から声が聞こえた。

「朝這い?」

「なっ!ヒノ!?」

横にはヒノの顔がある、寝起きなのに何でこんなに笑顔なんだよ、多分俺は目を見開いてるんだろうな、何となく渇いてきた。

「違うって、すっかりヒノが泊まってるの忘れてて」

「私のこと忘れてたの?」

「いや、そういう意味じゃなくて」

「……………おはよう」

「お、おはよう」

毎日こんなヒノの笑顔が見れるなら同棲って良いかもな、多分誘ったら不純とか言うんだろうな、しかも物凄い冷めた顔で。

「なんか同棲してるみたい」

ヒノから言っちゃったよ、やっぱりヒノもそう思うのかな、それとも俺をからかってるだけとか。

「それとも新婚?」

「何かテンション高くない?」

「だって私達付き合ってるんだよ、幼馴染みならまだ可愛いけど、彼氏の家にお泊まりなんて…………」

そっか、俺ら正真正銘に付き合ってるんだよな、しかもさりげに爆弾発言連発なんだけど、こんな言葉をヒノの口から聞くなんて。

「よく我慢出来たね」

「何を?」

「不純な事」

「ば、馬鹿じゃねえの!?今まで何回か泊まってるじゃん!」

「幼馴染みとしてね」

「そっか、ヒノは俺の彼女か」

俺が天井を見上げて感慨に浸ってるとヒノが目の前に座った、今気付いたけどパジャマじゃん、しかもボタン開けすぎ、胸が見える。

「顔真っ赤」

「あ、暑いからだよ」

「今ノーブラだよ」

「馬鹿!仮にも俺は男だぞ!」

「でも何も出来ないでしょ?」

「今の効いたわ」

確かに何も出来ないけど、打ち明ける事でもないだろ、そんなこと言われたら気になるって。

「彼氏なんだから何しても良いんだよ」

「大胆過ぎだろ」

「だって好きなんだもん」

「…………………」

何か顔が熱い、こんなにヒノが積極的だったなんて、多分今までも色々あったんだろうな、俺が気付かないだけで。

「世界で一番大切な人が目の前にいるんだよ、それだけで嬉しいもんでしょ?」

「そうだな」

「今日も泊まっちゃおうかなぁ」

「おじさんとおばさんが不安がるだろ」

「大丈夫、コガネの名前を出せば喜んでOKしてくれるよ」

「あぁもう!好きにしろ」

積極的なヒノって怖い、俺の一般教養が間違ってなければいくら彼氏の家でも泊まらないよな、ってか幼馴染みでも親は許さないよな、それにガキの頃から知ってるとはいえ世間の評判は知ってるだろ、おかしいって。









昨日は悪い事したな、疲れてて寝てもうた、ツバサは怒ってないって言ってはったけど嬉しくは無いやろ。

そんな事ばっかり考えててもしゃあない、今日を思いっきり楽しませれええんや。

わいはツバサの家のインターホンを押した、かなりやかましい音と共にドアが開く、怖かったさかい一歩下がってて正確やな、こないスピードで当たったら打たれ慣れてるわいでものびるで。

出てきたのは当然ツバサ、ツバサは勢いを殺さず抱きついて来た、後ろの手すりはお世辞でも高いとは言えん、せやさかい必死こいて受け止めた、ツバサはどうやればそこまで眩しく笑えるんや、ってくらいの笑顔。

「待ってたよ!」

「悪い悪い。支度してきぃや、今日は楽しませてやるで」

「わ〜い!しかもそれ、僕があげたマフラーじゃん、着けてくれたんだ」

「当たり前やろ、コレで寒さ知らずや」

「そっか、少し時間かかるから家で待ってて」

わいは玄関に入って気付いた、ハイヒールがある、もしかして親いるんとちゃう、自然に彼氏アピール?

リビングに入るとワイシャツにパンツだけの綺麗な女の人がおった。

「わわ!すんまへん!」

「今日は男よく来るな。で、そんな所で何してるんだよ?」

「ズボン履いてないやん!」

「気にするな」

無理やって、女の人のこない姿始めてやもん、直視できひん。

そんなわいの気持ちを知ってか知らずか、女の人はわいに近付いて来た。

「パンツぐらいで騒ぐな、親のくらい見た事あるだろ」

「パンツぐらいやないで、それにこない綺麗な人のは見たこと無い!」

「お世辞はよせ」

「お世辞やないからはようズボン履いてや!」

「しょうがない」

履き終ったのを確認して視線を戻すと今度はワイシャツを脱いでる、この人は露出狂やろ。

「エッチな関西人だな」

「お姉さんが露出狂なんやろ!それに誰?ツバサのお姉さん?」

「関西人お世辞はよせ!嘘でも嬉しいぞ」

女の人は頭を腕で掴んできた、体に引き寄せられて胸が当たっとる、なんやねんこの人は?

「私は母親だ、関西人はツバサの男か?」

「そうやで」

「良い体してるな、何かやってるのか?」

「空手」

「ふ〜ん」

ツバサのお母さんはわいの体を念入りに触ってる、かなり手付きがエロい、上から下まで触ってその後再び上がる、その時に下腹部の辺りで止まる、そこらへんをしつこく触ってる。

「何しとるん?」

「チェック」

「娘の彼氏で品定するなや」

丁度ツバサが出てきて見られてもうた、スウェットとブラのみで下腹部を念入りに触ってる、ツバサと目が合ってフリーズした。

「ツバサ、これはちゃうんや」

「なんだいたのか」

「何してるママ!?」

「若者がダメだったから関西人の品定」

「コテツは僕の!誰にも渡さない」

ツバサはわいの腕を掴んで引き離した、さりげに嬉しい事言ってくれるやないか。

「これからデートか?」

「そうだよ」

「泊まるなら電話しろよ。それと既成事実を作る時はゴムの袋を開ける前に画鋲で刺しとけ」

「ママの馬鹿!」

ツバサに無理矢理腕を引かれて家を出た、ツバサのお母さんは本当に親か、普通娘にそない事教えないやろ、シングルマザーって怖いんやな。


街は人ばっかりや、いつもならツバサの自由にさせるんやけど、今日は手を離したらいなくなりそうやで、あんまり繋がへんのやけどごちゃごちゃ言ってられへんな。

「ツバサ!あんまり走るな!」

「時間は待ってくれないよ、今を楽しまなきゃ!」

「せやけど体力がもたへんやろ」

「だらしないぞ」

ツバサの暴走を止めるのは無理そうやな、体力を消耗するデートなんてありえん、ツバサにジッとしてろ言う方が無理やと思うけど。

でも走りながら振り向いた時の笑顔で許せる、この笑顔があるから馬鹿やれる、始めて見た時から笑顔に惚れてたんやな。

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